NTTドコモ、5G活用し沖縄で歴史教育VR/ARコンテンツ配信の実証実験

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7月10日、NTTドコモ、凸版印刷、 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が第5世代移動通信方式(以下、5G)を用いた歴史教育向けVR/ ARコンテンツ配信の実証実験を実施する予定があることを明らかにした。
NTTドコモ、5G活用し沖縄で歴史教育VR/ARコンテンツ配信の実証実験

実証実験の舞台となるのは、沖縄本島の北部、本部半島にある歴史的なグスク(御城)である今帰仁城跡。那覇市から車で約1時間30分に位置し、世界遺産にも登録された代表的なグスクだ。

今回の5GとVR/AR技術を活用した実証実験では、今帰仁城を再現した高精細な4KVRコンテンツを、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やタブレット端末などに配信する予定。さらに、AR技術を活用することで、史跡や出土品に関する遠隔講義をリアルタイムにタブレット端末へ配信するという。

NTTドコモ、5G活用し沖縄で歴史教育VR/ARコンテンツ配信の実証実験

こうした技術の活用により期待されるのは、歴史に関する直感的な学習体験が可能になることだ。歴史学習においては、その時代、その光景を真のあたりにできない。どうしても「他人事」として捉えがちなだ。しかし、その場にいるようなリアルな体感を得られれば、歴史上の出来事を自分ごととして引き寄せるきっかけになる。「歴史に学ぶ」が身近になるのだ。

さらに本実験では、歴史再現による文化の継承と観光資源の付加価値向上、さらには新たな学習モデルや観光体験の創出を目指す。ICT技術の活用による産業振興、持続的発展を求めるエリアは日本各地に点在する。沖縄での実証事件が地方創生に貢献できるかどうか期待が高まる。

監修は、法政大学沖縄文化研究所国内研究員の上里隆史氏。実施時期は2018年12月〜2019年1月(予定)。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が実証フィールドの選定・調整、凸版印刷がVR/ARを活用した歴史教育コンテンツの企画と制作、ドコモが5G実証環境の提供を、それぞれ担当する。

5G、AI、IoTなどのICT技術を活用する「沖縄振興推進重点取り組み6分野」

ドコモは今回の沖縄振興推進の取り組みについて、「沖縄振興推進重点取り組み6分野」を策定したという。以下6分野を中心に、5G、AI、IoTなどのICT技術の活用を進める予定だ。

  • 自然/文化保護推進

失われつつある沖縄県独特の自然や文化、景観。これらをどのように保護していくか、という課題に対し、ICT技術を活用し自然自然/文化保護の取り組みを推進する。まずは「やんばる」の環境保全に取り組む。

  • 観光/インバウンド推進

ビッグデータ解析やVRを活用し、効果的な観光施策を立案する。翻訳ツールやキャッシュレス決済環境の整備を推進し、インバウンドを視野に入れた観光振興を行う。宮古島で取り組みを開始するという。

  • 暮らしやすさ/働きやすさ向上

暮らしやすい環境づくりや健康・長寿の実現、働きやすい職場環境の整備にも取り組んでいく。まずは、石垣島での実証実験(「石垣市におけるスマートアイランド実証実験」)から得られたIoTによる水道メーターの遠隔監視などの知見を活かしていく。

  • モビリティ向上

沖縄は自動車依存度が高く道路の交通渋滞が起きやすい。公共交通機関の乗り継ぎ情報がわかりにくいという課題も抱える。これまでの実証実験(*)から得られたモビリティシェアリングに関する知見を活かし、効率的で利用しやすい交通インフラの整備に取り組むという。

*「与那国町におけるAI運行バスの実証実験」「道の駅「豊崎」における観光客向け交通情報サービスの実証実験」「沖縄県でのバイクシェアサービスの展開」

  • 教育改革推進

沖縄における時代のニーズに対応した人材育成を目指し、沖縄県内の学校に対するLTE教育タブレットの提供による教育改革に着手する。

  • 産業振興推進

沖縄の持続的発展の基礎となる地域産業の振興を目指し、5Gを活用した新たな利用シーンの創出に向けた取り組みを推進する。

ドコモは、5G活用による沖縄県の産業振興や社会課題解決に向け連携を強化するため、沖縄初の常設5G技術検証環境「ドコモ5Gオープンラボ OKINAWA」を開設する。東京、大阪に続き沖縄は全国で3か所目。2018年9月開設予定。ちなみに機器提供はNEC。

5Gとは

「5G」とは、「高速・大容量」、「低遅延」、「多数端末接続」を特長とする次世代の無線通信規格のことだ。NTTでは2020年5Gサービス開始に向けて準備を進めているという。

総務省でも昨年11月「電波有効利用成長戦略懇談会」が立ち上がり、公共用周波数の有効利用、周波数の割当て、移行制度や電波利用料制度の見直しなど、電波の有効利用方策についての議論が重ねられてきた。

電波有効利用成長戦略懇談会 報告書(案)」によると、2020年の5G実現に向けて、研究開発・総合実証、国際連携、5G 用周波数の確保などが急ピッチで進められている。

電波は、周波数帯によって伝わり方や伝送できる情報量、利用技術の難易度が異なる。周波数の用途については、国際電気通信連合(ITU)憲章に規定する無線通信規則において、業務の種別等の国際分配が規定されているという。日本でも、この国際分配に基づく国内分配として、電波法に基づいて、割当可能な周波数、業務の種別、目的、条件等を定めた「周波数割当計画」を作成・公表してきた。

しかし、主に携帯電話やPHS、無線LAN、TV放送などで使用するUHF帯の電波がひっ迫。固定系システムをより高い周波数帯に移行し移動系システムに再配分する、高い周波数への移行を促進する技術の研究開発を行うなど、電波の有効利用を促進することが必要となっているのだ。

AI、IoT、ブロックチェーン、自動運転など様々な技術開発が進むにつれて、電波がインフラとしての存在感を増すことは想像に難くない。5GとVR/ARを掛け合わせたサービスは、いまでこそ目新しいかもしれないが、あっという間に我々の生活や仕事に溶け込んでいくのではないだろうか。