グーグルCEOも卒業生 インド工科大学(IIT)とは
インド工科大学(Indian Institute of Technology・IIT)は工学と科学技術などを中心とするインド国立大学の総称である。1951年に第1校目が設立され、PIITsによると現在23校まで増えたという。デリー校は英国、ムンバイ校はロシアの支援を受けてスタートし、日本はアンドラ・プラデシュ州ハイデラバード校を支援している。
※以降、複数系でIITsと表記。
入学には60~100倍という高い倍率を突破しなければならない超難関校。2015年にGoogleのCEOに就任したサンダー・ピチャイ氏は、IITカラグプル校の出身だ。またIITの中でももっともレベルが高いとされるデリー校は、米国サンマイクシステムズの共同創業者、インド中央銀行総裁などを輩出している。
IITデリーがはじめた起業支援
世界のスタートアップニュースなどを配信しているBIZZTORによると、そのIITsで学生たちの起業を支援する画期的な取り組みがあるという。
博士課程の学生の「スタートアップ起業」を論文の代わりとして、支援するというのだ。
IITデリー校のV. Ramgopal Rao氏は、以下のようにコメントしているという。
「ブロックチェーンからAIまで、企業を介して深い技術を活用するプラットフォームとなるだろう。目的は、論文をスタートアップに転換することだ。」
またRao氏によれば、現在、約25,000人の研究者がCFTIで博士研究を進めていると述べた。そして、IITデリー校ではその一部に、独自のインキュベーションセンターでベンチャー企業するという選択が可能になるという。
最終選考に残った人には、事業を追求するために、業界給与と同等の月額報酬が提供されるほか、立ち上げ直後のベンチャーに投資するシードキャピタル、対話による人材育成であるメンタリング、宿泊施設、IITデリーラボへのアクセスも提供される。
またこれらのスタートアップが資金を必要とする際、ベンチャーキャピタルをつなぐ手助けも行う予定だ。
IITデリー校ではまた、ハリヤ―ナー州ソニパッドにも、年間約50社のスタートアップを支援・育成する、独立したインキュベーションセンターを設立するという。
IITs学生14人と日本の学生が「働き方改革」を議論
超エリートIITsの学生と、日本企業のマッチングサービス企業がある。インターンシップ経由でIITの学生を採用できるプロジェクト「PIITs・ピート」を運営するWillings・ウィリングスだ。同社は7月10日、「異文化PBL2018」というイベント開催報告をリリースした。
PBLとはProject-Based Learning 、課題解決型学習の略で、インドと日本の学生が決められたテーマをもとに課題設定・解決策の検討、発表などを行うもの。芝浦工業大学が運営するGTIコンソーシアムと共同で開催され、今年で2回目。
IITsの学生14名と、日本からは芝浦工業大学、東京理科大学、東京都市大学、東京女子大学などから17名、社会人4名の計35名で、「働き方改革」をテーマに議論が交わされたという。
日本におけるIT人材不足は、たびたび指摘される問題である。海外からの優秀な人材獲得を進めると同時に、日本国内の人材育成も急務だ。
教育のプログラム自体も、IITsのような起業支援など、より実践的なプログラムが求められているのではないだろうか。個々の教育機関だけでなく、官民、または産学連携のオールジャパンで進まなければ、インドには到底太刀打ちできそうにない。
(参考)
三菱総合研究所:平成27年度新興国市場開拓事業(相手国の産業政策・制度構築の支援事業(インド:IT・エレクトロニクスに係る日印政策対話))報告書
JICA:インド工科大学ハイデラバード校(IIT-H)支援プログラム