出戻り社員とは?再雇用するメリット・デメリット、出戻り採用の制度化ポイント

最終更新日: 公開日:

記事の情報は2018-07-19時点のものです。

最近増えている出戻り社員。その理由とメリット・デメリットを解説しています。 即戦力となる出戻り社員は労働不足の今、再雇用を積極的にすすめる企業もあります。出戻り社員は、企業から見ても、出戻る社員から見てもメリットが大きいからです。しかし、再雇用の制度化は進んでおらず、その都度再雇用の対応しています。結果として、不公平感を生みやすいのが現状です。 本記事では出戻り社員を受け入れで失敗しないために制度化を検討する場合の注意点や、制度化の重要性を解説しています。
出戻り社員とは?再雇用するメリット・デメリット、出戻り採用の制度化ポイント

出戻り社員とは

出戻り社員とは、退職した会社に、再度入社して働く社員を言います。アメリカでは「ブーメラン社員」とも呼ばれています。会社にも一度退職した社員にもメリットがあり、い出戻り社員の採用は増加しています。人材不足が続く日本では、今後も出戻りは増えて行くのではないでしょうか。

会社を嫌になってやめたとしても、転職先の会社と比較したら、実は前の会社の方がよかったという人は少なからずいます。また、やむを得ず退職した人は、働ける環境が整えば、働き慣れた前職でもう一度働きたいと思うでしょう。

企業の約7割が出戻り社員を受け入れている

エン・ジャパン「人事のミカタ」は、2018年に「出戻り社員(再雇用)について」を調査しました。その結果、72%の企業は、一度退職した社員を再雇用していたことがわかりました。

2年前の67%から5ポイント増え、出戻り社員は増加傾向にあります。出戻り社員を受け入れる既存社員も、83%(とても良い 19%、まあまあ良い 64%)は良好な関係を築けています。

また、約7割の企業は、「条件があえば、出戻り社員として再雇用したい」と考えており、雇用を前向きに検討しているようです。

出典:人事のミカタ/出戻り社員(再雇用)について

出戻りの理由

出戻り社員が再入社するきっかけは、「本人からの直接応募」が59%と一番高くなっています。

次いで、「在職時の上司からの紹介(31%)」「在職時の同僚からの紹介(25%)」「社長・経営陣からの推薦(18%)」「在職時の部下からの紹介(5%)」と、多くは前職のつながりから再雇用に至っています。

そのため、円満に退職した場合は、上司や同僚との関係により、出戻りしやすいと言えるでしょう。

出典:人事のミカタ/出戻り社員(再雇用)について

出戻り社員受け入れのメリット

出戻り社員は近年増加傾向にあることがわかったかと思います。では、出戻り社員を採用するメリットには何があるのでしょうか。いくつかあげてみます。

即戦力として活躍

元々働いていたので理念の共感があり、仕事内容も把握しています。社内システムやルールへの理解もあるので、即戦力として活躍してくれます。

また、転職していた場合は、他社で新しい技術や経験を積んでいるので、以前よりスキルが上がっているでしょう。中途採用で新しい社員を採用するより、メリットを得やすいのです。

コストの削減

出戻り社員は、既存社員の推薦で再入社することが多いです。そのため、採用媒体やエージェントへの登録は不要です。

エージェントを利用すると、紹介料として年収の30%~40%を請求されます。それゆえ、直接コンタクトできる出戻り社員の採用は、採用コストの削減が期待できるのです。

また、社内ルールやシステムが以前と変わっていなければ、教育期間もさほどかからず、教育コストも削減できます。

人となりの把握

一般的な中途採用では、面接で人柄を見極めるのは難しいです。

しかし、出戻り社員であれば、人となりや得意な仕事、価値観はすでにわかっています。これを活かせば、所属先の決定を間違えにくく、採用後に「こんなはずでは」と感じることは最小限に抑えられます。

出戻り社員受け入れのデメリット

メリットを説明してきましたが、続いてデメリットも紹介します。かつての雇用関係がメリットになるだけでなく、むしろネックとなるケースもあります。

既存社員との軋轢

出戻り社員が他社で経験を積み、以前よりもスキルが上がるなど市場価値が上がっている人物であれば、以前よりも良い待遇で迎え入れるのは当然です。

しかし、過去の実績だけを考慮して管理職に任命するなどの好遇では、辞めずに頑張ってきた既存社員の努力が実りません。また、実際には現在の市場価値を考慮した好遇だったとしても、既存社員の目にも同様に映るかどうかは別問題。

出戻り社員の待遇は、既存社員とのバランスを考慮することも大切です。不平不満が出たり、モチベーションが下がったりして組織の生産性が落ちてしまっては本末転倒です。

企業になじめない

以前働いていたとはいえ、会社が全く同じなはずがありません。以前は新人だった社員が、中堅社員に成長したり、部下だった社員がマネージャーとして活躍していたりします。

会社は、常に進化・変化しているので、社内システムが変わっている場合もあります。出戻り社員は「昔はこうだった」と過去比べがちなので、浮いた存在にならないよう「以前との違い」を以前にインプットするなど配慮する必要があるでしょう。

出戻り社員採用の制度化について解説

では、出戻り社員の採用制度はどうなっているのでしょうか。残念ながら、まだ制度化には遠いのが実態です。

進まない制度化

7割以上の会社が再雇用の経験をもち、『人事のミカタ』調査では出戻り社員も増加しているものの、再雇用制度のある会社は8%に留まり、87%の会社では制度化が進んでいないことがわかっています。

サイバーエージェントの「ウェルカムバックレター制度」やトヨタ自動車の「プロキャリア・カムバック制度」、KDDIの「退職者の再雇用制度」など、一部大手企業には再雇用の制度がありますが、ほどんとの企業では制度化が進んでいません。

制度化のメリット

既存社員との軋轢を生まないためにも、待遇や再入社条件の制度化が必要です。出戻り社員にとっても、待遇面や諸条件でミスマッチがなく、安心して入社できます。

制度化する場合には、就業規則に明記して既存社員に周知、理解を得ましょう。

出戻り社員採用で企業イメージアップを

多くの企業が取り入れている出戻り社員の採用は、うまく活用すれば企業に利益をもたらします。直接雇用なので採用コストもかからず、一般的な中途採用社員と違い、教育にあまり時間も要しません。

社外で構築した人脈や新たに得たスキル・ナレッジを、自社に持ち帰ってくれるメリットもあります。出戻り社員が増えると、「他社よりもいい会社」と社員たちにアピールでき、モチベーションアップにもつながります。

未曾有の人材難を乗り切るため、組織力強化のため、ぜひ出戻り社員の再雇用をポジティブに捉え、ときには積極活用してはいかがでしょうか。

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