グロービスが「エンジニア採用」を変革、Wantedlyの積極活用で得られた成果とは?

連載「ホットベンチャー・ケーススタディ」では、注目ベンチャーのクラウドサービスを利用するユーザー企業の事例を紹介します。今回はソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly(ウォンテッドリー)」を利用しているグロービスの経営管理本部 人事・総務チーム シニアアソシエイトの金田 裕香子氏とリードエンジニアの田邉 裕貴氏にインタビューしました。

グロービスが「エンジニア採用」を変革、Wantedlyの積極活用で得られた成果とは?

「教育 x テクノロジー」でビジネスパーソンの学びにイノベーションをおこす

ーーまずは、グロービスとはどんな会社かご紹介をお願いします。

グロービスは現在、日本最大の社会人向けビジネススクール(注1)ですが、もともとは、創業者の堀が1人でゼロから作ったビジネススクールです。

バブル崩壊の頃、20代の堀は米国ハーバード大学経営大学院に留学をしていたのですが、そこで考えたのが「ヒト」「カネ」「チエ」の生態系です。「ヒト」は、経営大学院の創設と企業内リーダーの育成。「カネ」は、ベンチャー企業への投資。「チエ」はは、経営ノウハウの出版と発信です。当時思い描いたイメージが、今のグロービスのビジョンになっています。

(注1)文部科学省「専門職大学院一覧入学定員」(平成29年5月)調べより

経営管理本部 人事・総務チーム シニアアソシエイトの金田裕香子さんとリードエンジニアの田邉裕貴さん

ーー具体的な事業について教えてください。

金田氏:「ヒト」の領域ではグロービス経営大学院は日本最大のビジネススクールとなり、年間800名を超える社会人が入学してくださっています。また、トヨタや花王といった日本を代表する企業のリーダー育成を通して、企業の変革支援を行っています。

グロービス経営大学院のウェブサイト

「カネ」の領域では、日本最大規模のハンズオン・ベンチャーキャピタルとして多くのベンチャー企業の成長を支援、「チエ」の領域では、書籍「MBAシリーズ」などの出版や、ビジネスナレッジに関するメディア「GLOBIS知見録」で役に立つ知恵の発信を行っています。

ビジネスのナレッジを公開している「GLOBIS 知見録」

ーー新たにエンジニアやデザイナーを採用しようとした経緯は?

金田氏:堀は以前より、ダボス会議(世界経済フォーラムが毎年開催する年次総会)をはじめとする海外カンファレンスに多く参加し、ベンチャーキャピタルとして先端ベンチャーに投資をしていますが、その中で、テクノロジーが既存のビジネスのルールを大きく変えていくことに危機感を持ちました。教育の領域も大きく変わって行かなければならないと。

その変革期の中、グロービスとしても既存のサービスをテクノロジーによって大きく変えていく、「教育×テクノロジー」でビジネスパーソンの学び方そのものを変えることを目指すことになりました。

そこで、2016年からは、ビジネス動画を学び放題としたサブスクリプション型サービス「グロービス学び放題」や、人工知能を活用したAIラーニング、学習者にとってのユーザビリティの高い学習環境である「グロービス・ラーニング・プラットフォーム」といったサービスの自社開発をスタートしました。

以前はすべて外注だったのですが、サービスのクオリティとスピードを両立するためにすべてのプロダクトを自社開発する方向に舵を切り、そこで初めて、開発経験があるエンジニアやデザイナー、データサイエンティストを採用する、ということになったのです。

定額制でグロービスのコンテンツを動画で学習できる「グロービス学び放題」

ーーなぜ、Wantedlyを利用しようと思ったのですか?

金田氏:Wantedlyは2014年ぐらいから利用していましたが、あまり活用ができていませんでした。新たにエンジニアやデザイナーを採用することになり、他社のエンジニア採用を行っている人事の方や、エンジニアにヒアリングしたところ、Wantedlyを使っているという話が多かったので、再度使ってみることにしました。

また、グロービスは、大学院やビジネススクールという形で認知いただいている場合が多く、テクノロジーやエンジニアリング企業であるというイメージを持っている方がとても少ないと感じていました。Wantedlyはフィード機能などもあるため、サービス開発に関する記事や、社内のエンジニアの勉強会の様子などを発信できることも再活用を決めた一つの理由です。

Wantedlyでグロービスが掲載しているページ

ーーどのようにWantedlyを活用しましたか?

金田氏:最初は求人票を出して、我流で運用してみました。ランキングを上げようと、社員全員に拡散してもらって、瞬間的に一位になったこともあるのですが、採用につながらず、手ごたえを感じられませんでした。

そんな中、田邊に誘われてWANTEDLY AWARDS 2017(2017年12月15日)というイベントに参加しました。そこで積極的にWantedlyを活用している企業の人事の方から、Wantedlyの営業担当の方にアドバイスをもらっている、という話を聞き、早速連絡を取ったところ、すぐにコンタクトをとってくださり、ランキングのロジックや、最適なスカウトプランなど、とても具体的なアドバイスをいただきました。

ーー具体的にどんな施策を行いましたか?

田邊氏:スカウトメールは、人事から出すのではなく、エンジニアやデザイナー自らが出すことにしています。じっくりとWantedlyに記載されたプロフィールやポートフォリオに目を通し、「あなたのこういったスキルが、我々のこのプロダクトの開発に活きると思った」「あなたのポートフォリオのここが素敵だと思う」といったコメントをスカウトメールに入れています。

Wantedlyのスカウトプランをプレミアムプランにしたら、SNSなどのソーシャル連携があるので、得られる情報が多く、スカウト文面も書きやすいと感じています。

また、昨年12月には、Qiitaというサービスを利用してエンジニアを中心にアドベントカレンダーを書いていたのですが、この記事をWantedlyのフィードにも掲載しました。そうしたら、アドベントカレンダーを見て、技術力が高そうと思い話を聞いてみたいと思った、というエンジニアが増え、アドベントカレンダーもQiitaのランキングで総合16位までになりました。

グロービス Advent Calendar 2017

ーーWantedlyを活用した結果はどうでしたか?

田邊氏:Wantedlyを見たといってコンタクトをしてくれる、エンジニアやデザイナーの方は、スキルが高い方が多いという印象を持ちました。スカウトを出すのは正直大変なのですが、それでもお会いしてみたい、という方が多いと、もっと頑張ろうという気持ちになります。

いろいろな施策を行った結果、現在ではWatedlyを通した応募を、ほぼ毎日いただくようになりました。応募してくれる人が増えれば、会いたい人に出会う確率も高くなります。

今年に入ってWantedlyで採用につながったフロントエンジニアがいるのですが、事前にGitHubを見せてもらったり、Qiitaの記事を読んだりもできたので、初回面接のときから、かなり深い話ができたいと思っています。

ーー今後の展望や予定などを教えてください。

田邊氏:2016年秋に初めてエンジニアを採用してから、現在までで正社員のエンジニア・デザイナーは20名体制になりました。業務委託として来ていただいている方も含めると40名を超える体制となりましたが、まだまだ開発したいプロダクトは多く、エンジニアもフロントエンド、バックエンド、アプリ、QA、などほとんどすべての領域で、募集を続けています。

グロービスはすでに創業から26年が経過していますが、我々の部門はまだ3年目なので、ベンチャーの立ち上げ期のような組織です。

一人ひとりのプロフェッショナリズムが高く、一緒に仕事をしていて、常に学べる環境だと思っています。実際に勉強会なども頻繁に行われており、全員がさらに一段上を目指して行動しているので、刺激的な環境です。これからは2020年までにエンジニア・デザイナーを100名体制にすることを考えています。

教育×テクノロジーでビジネスパーソンの学びにイノベーションをおこすことが、日本の発展につながると信じていますし、この思いに共感していただける仲間と一緒に、挑戦を続けていきたいと思っています。

金田氏:入社したメンバーに聞くと、「入社前はあまりエンジニアリングのイメージがなかったけど、実際にはかなりハイレベルで、最先端の開発を行っていますね」と言われることがあります。

今後は、エンジニアやデザイナーが社内で行っている勉強会を、外部にもオープンにしたいと思っていますので、 グロービス=エンジニアリングカンパニーというイメージを作っていくためにも、多くの方々にお会いしたいです。Wantedlyはあまり採用色が強くないので、情報交換目的でどんどん使っていけたらと思っています。

記事中で紹介したサービス「Wantedly(ウォンテッドリー)」

Wantedly(ウォンテッドリー)は、企業なら採用時に、ユーザーはインターンから新卒、転職、副業、業務委託といったさまざまなシーンで活用されているソーシャルリクルーティングサービスです。求人サイトではなく、あくまでもビジネスSNSと謳っているので、年収などの掲載はNG。ワクワクして働ける社会を作りには、年収よりもどんなチームとどんな思いを持った会社で働くのかを重視しているのが特徴となっています。そのため、企業ページはビジョンを掲げたり、徹底したデータの公開を行い、ユーザーにアピールしています。Wantedlyは2017年9月には東証マザーズに上場し、さらに活躍の場を広げています。

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インタビュー後記

筆者の周りにも、グロービスに通っていたり、これから通うという人たちがいるので、名前は知っていましたが、会社としてここまで本格的にエンジニアやデザイナーを採用しているのはお話を聞くまでは知りませんでした。

すべてがWantedly経由とは限りませんが、毎日数人の応募があるというのはスゴイ結果です。Wantedlyを通じて、企業や働く環境の魅力をきちんと伝えられていることがわかります。

素晴らしい成功事例ですが、大きな要因は二つあると感じました。

まずは、グロービスというしっかりしたブランド力。たしかに、テクノロジーというイメージはこれからですが、すでに大学院や企業研修で培ったコンテンツをどう届けるかというところは、エンジニアとしてやりがいがありそうだと感じてしました。

そして、社員が自発的に動く環境。特に命令したりしていないのに、働いているエンジニアやデザイナーが募集要項を創ったりスカウトメールを送ったりしているそうです。この素晴らしい環境を見て、会いに来た人が一緒に働きたくなるという好循環が生まれているのだと感じました。