NEC経営陣に成果主義導入へ、メリット・デメリットと企業の成功・失敗の事例紹介

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日本ではバブル崩壊後、年功序列・終身雇用制度の失敗から成果主義がもてはやされた時期があります。そして色々な企業が成果主義の評価制度を導入しましたが、導入成功企業と失敗企業で明暗が分かれました。本記事ではあらためて成果主義のメリット・デメリットや導入企業例について説明します。
NEC経営陣に成果主義導入へ、メリット・デメリットと企業の成功・失敗の事例紹介

NEC、経営陣から成果主義を導入へ

NECは4月、カルチャー変革本部を新設し、経営陣に対し、成果主義を導入すると発表しました。

2020年度までの3カ年の中期経営計画「2020中期経営計画」で掲げた「実行力の改革」の一環だというこの取り組み。同本部は人事評価・報酬制度を時代と戦略に合ったものに改め、期待される行動規範を実践し結果を出した人が報われるフェアな仕組みを作るための導入だといいます。

このように大手企業も成果主義を導入し、本人の実力に合った給与体系にすることで社員全体のスキルアップをはかっているのです。本記事では、成果主義についてのメリットや、実際の導入事例をみていきます。

成果主義とは

成果主義とは仕事の成果と人事評価を連動させて、成績や会社への貢献度をもとに昇進や昇給を決めるという考え方のことを指します。日本ではバブル崩壊以降、それまで採用されていた年功序列制度にとって代わって、成果主義制度がさまざまな企業に導入されました。

その当時は成果主義が最新の人事評価だと持て囃されていました。しかし浸透していくにつれて、個人主義に走ってしまい組織力の低下につながるのではないかなど、成果主義の持つ問題にも注目が集まっています。年功序列の良さを"いいとこ取り"してはどうか、という意見も見られます。

本記事では年功序列制度と比較した成果主義のメリットとデメリットからあらためて成果主義制度について考察していきます。

年功序列制度の良さとは?

成果主義と対比して説明されることの多いのが勤続年数や年齢に応じて賃金や役職が決まる年功序列制度です。

年功序列制度は高度経済成長期の日本にとっては最適な制度でした。日本の景気は右肩上がりで労働人口も増加しています。会社に所属さえしていれば給料は上がるし昇進ができ会社が面倒を見てくれます。

年功序列制度は終身雇用制度と結びつく事により会社に対しての社員の帰属意識を高め、企業組織が社員の第二の家族のような役割を果たしました。心理的安全性が確保され、組織のために尽力しようという意欲と団結力のあるチームを構成できる、良さがあったのです。

しかしいまでは、年功序列制度は経済成長期に適した制度だという見方が大半です。人を雇った分だけ業績が上がるのは大量消費・大量生産の時代であり、顧客ニーズが多様化したいま年功序列制度を維持していては企業の競争力は低下の一途をたどるのではないかと考えられているのです。

年功序列制度が崩壊し成果主義の重要視されるようになったのは、バブル崩壊の時期とほぼ同時期です。

成果主義の3つのメリット

バブル崩壊による急激な景気の減退により、今までの右肩上がりの人件費と採用数を見直すことによって導入されたのが成果主義です。

では、成果主義を導入することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。

スキルアップと給与アップが比例する

まずメリットとして挙げられるのがスキルアップと給与アップが連動するということです。成果主義の会社では自分がスキルアップして成果をあげられれば給与や昇進につながります。頑張ってスキルアップして成果を出した社員を評価するということは年功序列制度よりも社員の頑張りをフェアに評価していると言えます。

それゆえに、どうすれば自分の評価が高まり、昇進や昇給につながるのかもわかりやすいので社員もモチベーションを高く持って仕事ができます。

人件費を削減できる

年功序列制度では成果に問わず社員の給料は上がっていきます。当然社員の中には払っている給料に対して出している成果が見合っていない人材も存在しています。

一方で成果主義では成果と給料が連動しているので、年功序列制度と比較すると経費における人件費の割合を適正に保ちやすくなります。単純に言えば、成果に見合っていない給料を払っているベテラン社員の人件費を削減できるのです。

優秀な人材を確保できる

1つ目のメリットでも説明したとおり、社員のスキルと成果によって待遇を決める成果主義制度は年功序列よりもフェアな評価制度です。

年功序列制度を採用して上のポストが詰まっているという理由でなかなか若手の優秀な社員を出世や昇進させてくれない企業よりも、若手でも能力次第で大抜擢を行う成果主義の方が成長意欲の高い社員にとっては居心地が良いでしょう。

成果主義制度のもとではこのような優秀な社員の離職を防げるのです。

成果主義の3つのデメリット

一方で成果主義は手放しで称賛できる制度ではありません。もちろんデメリットも存在します。

給料に対してのプレッシャーが大きい

まず、成果に対して給料を出すということは社員に対してプレッシャーを与えます。年功序列制度では給料と成果の相関関係を強く意識することはありませんが、成果主義では成果が給料に大きな影響を与えています。

ある年に成果を上げてたくさんの給料をもらえても、次の年に成果を上げられなければ年収が急下降してしまうので、社員には常に成果をださなければならないというプレッシャーが課せられます。

もちろん、会社としては社員に成果に対するプレッシャーを適度に与えるべきですが、過度のプレッシャーを与えすぎると、突然の離職や休職にもつながりかねません。

個人主義になってしまう

成果主義を導入すると、社員は成果に対するプレッシャーに晒されているために、自分の業績をあげようと個人主義に走ってしまう傾向があります。たとえば、自分の成果をあげることを最優先にするため、情報やナレッジを組織に還元しようという意識は低下しがちです。さらには、部下の手柄を自分の手柄にして報告しまうなどの弊害も散見されます。

社員が利己的な個人主義に走ってしまうと、チームワークが機能しなくなり、チームとして連携して大きな仕事に挑戦できなくなってしまいます。

中長期的なビジネスが発展しづらい

成果主義は、中長期的にビジネスが発展しづらいというデメリットもあります。

たとえば、中長期的にビジネスを発展させるための必要なのは若手社員の人材育成ですが、個人の業績や実力ばかりが評価される企業文化においては、若手の育成が進まない、新たに入社した人へのフォローが少ない、などの組織的課題が常態化し、中長期的には会社が衰退してしまいます。

また、4~5年経過してからようやく成果が表れ始める仕事はせずに、すぐに自分の成績があがるような仕事ばかり行うようになります。結果的に短期な成果はあげるけど、中長期の戦略がない、経営層は考えていても現場は実現しようとしない会社になるかもしれません。

成果主義導入失敗例:三井物産

成果主義を導入して失敗した会社として三井物産が挙げられます。

三井物産は昔から「人の三井」と称えられていたほど優秀な人材が集まる会社でしたが、2002年には北方四島支援事業に関する不正入札、2004年には排ガス浄化装置の虚偽データ問題とたて続きに大きな不祥事を起こしてしまいました。

この原因の1つとして成果主義の導入があるのではないかと話題になりました。

1999年に徹底的な評価主義を導入した結果、多少グレーな案件に対しても取り組んだり、業界知識や人脈を他人に教えず、個人主義に走りがちになったりしたことで、三井物産は失速したと評されました。

成果主義導入成功例:花王

一方で成果主義を導入して成功した企業もあります。その代表例が花王です。

花王は1965年から能力開発支援および目標管理を導入していた珍しい企業の1つです。現行の制度には2000年前後になったと言われていて、一般職層は役職と職種ごとに評価の仕方を変える職群制度を採用して「成果」を柔軟に評価できるような体制を作っています。

また、単純に結果のみを評価するのではなく、成果を上げるために必要な行動(コンピタンシー)をどの位実践しているのかという視点からも社員を評価しています。

日本の企業に適した成果主義の手法を導入している企業だと言えるでしょう。

年功序列制度から成果主義への移行を

バブル崩壊後、成果主義が各企業に浸透しその功罪はいろいろ言われることではありますが、年功序列制度はあくまでも経済成長・労働人口増加という限られた局面で効果を発揮する評価制度です。

終身雇用・年功序列制度の会社では、1つの会社の中でいろいろな部署回りながら出世していくメンバーシップ型雇用が採用されています。これは自社で通用するゼネラリストを育成するシステムとして優れていますが、ほとんどの国の企業では特定の業務のプロフェッショナルを雇用・育成するジョブ型雇用を行っています。

日本企業がグローバルで戦っていくためには、成果主義をベースとしたジョブ型雇用に切り替えることが急務なのです。