楽天ドローンがアマゾンに一歩リード?東電、ゼンリンとドローンハイウェイでの配送に成功

7月12日、東京電力ベンチャーズ、ゼンリン、楽天の3社が「ドローンハイウェイ」を活用したドローン物流の共同検討を開始し、送電設備を安全な空の道として利用した配送の実証実験に成功したことを発表した。これは世界初の成功事例であり、今後の実用化拡大が期待される。

楽天ドローンがアマゾンに一歩リード?東電、ゼンリンとドローンハイウェイでの配送に成功

楽天ドローンが配送したのは、個人がオンライン注文したお弁当だ。楽天は2016年以降、ゴルフ場での配送サービスやコンビニとの共同配送サービスなど、ドローン物流の実用性拡大に挑んてきた。個人宅への配送に成功したのは今回が日本初だという。

楽天ではこれまで、ドローン配送に必要なハードウェアとソフトウェアを独自に開発してきた。自律制御システム研究所と共同で、配送用の国産ドローンを開発。配送サービスに必要な専用アプリケーションも、ユーザーが直感的に操作できるなどのインターフェースにこだわり開発を進めてきた。

引用:プレスリリース

今回はそんな楽天ドローンと、東電ベンチャーズとゼンリンがかねてより進めてきた「ドローンハイウェイ構想」の夢のコラボが実現。世界初となる、送電設備を安全な空の道として利用した配送の実証実験に成功したのだ。個人宅へのドローン配送が実現すれば、過疎地域住民や高齢者など「買い物弱者」への支援に役立つ。また、EC業界が引き起こしてきた物流の人手不足問題に対するひとつのソリューションにもなるだろう。

ドローンハイウェイ構想とは

楽天ドローンの配送をインフラとなったのは、2017年3月29日、東電ベンチャーズとゼンリンが発表した「ドローンハイウェイ構想」である。

ドローンを安全に自律飛行させるためには、運行管理システムの構築が必要だ。機体情報はもちろん、気象状況、通信環境、地図情報など様々な情報をリアルタイムに把握できなければ、目視不可能な遠方までトラブルなく、ドローンを自律飛行させることは不可能。また、ドローンのバッテリーはまだ開発途上で長時間飛行できないという課題もある。

こうした課題を解決しドローン実用化に向けたインフラとして「ドローンハイウェイ構想」は着想された。ゼンリンは日本最大手の地図制作会社。日本全国の99.6%の地図を保有しているという。また東電では、送電鉄塔5万基、配電柱約590万基を有し、配電線長さは地球8周分にも及ぶ。

(電線の是非ともかくとしても、)両社既有のリソースを活用することで、ドローン安全飛行のためのインフラ整備とルート確保は大きく前進するというわけだ。

  • ドローンの飛行障害となるインフラ情報の3次元化
  • 充電設備を有したドローンポートの開発
  • インフラ設備点検に必要な誘導プラットフォームの研究 ・開発

2019年までに段階的にこれらのインフラ整備を進める予定だ。

楽天ドローンでお弁当を配送!

6月27日、埼玉県秩父市にてドローンハイウェイを活用したドローン物流の検証が行われた。レベル3(山間部での目視外自律飛行による荷物配送)を想定した飛行だという。

引用:プレスリリース

飛行ルートはコース総延⾧:約3km 引用:プレスリリース

注文はスマホから 引用:プレスリリース

ドローンが到着 引用:プレスリリース


中身もキレイですね! 引用:プレスリリース

取り組み概要

(1)埼玉県秩父市にて、ドローン配送サービス「楽天ドローン」と、「ドローンハイウェイ」を利用した片道約3kmの自律飛行に成功。送電設備から安全な距離を保ち、各種技術要素を活用しながら、地元住民へドローンによるお弁当の配送を実施。

(2)送電鉄塔の三次元化、ジオフェンス及びモニタリングアプリの開発、送電鉄塔を三次元データ化。送電鉄塔や送電線に接近すると自動的に接近を検知する機能(ジオフェンス)を開発し実装。飛行中の機体の状態やジオフェンスの形状がリアルタイムで表示可能なモニタリングアプリを開発。

(3)リアルタイムに気象状況を把握するための観測機器を設置。観測機器から取得した気象状況に応じたドローンの飛行制御を実施。

楽天ドローンはアマゾンに勝てるのか

三菱総合研究所「海外における無電柱化実態調査報告」によると、世界では無電線化が進む。イギリスやフランスでは「架空線は不必要」「無電柱化は当たり前」という認識が一般的で、ロンドンやパリでは地中化率100%だ。地上に高くそびえ立つ送電設備ありきの「ドローンハイウェイ構想」が、グローバルで通用すると見るには難がある。

とはいえ欧米でも、山間部などの地域では100%無電柱化は実現していない。短期的には、主に都心部から離れた地域への配送手段として現実的なソリューションとなるだろう。しかし都心部において、送電設備ありきのドローン物流システム構築が進めば、防災対策への弊害も懸念されるのではないだろうか。

こうしたなか、やはり注目すべきはアマゾン。2016年にはすでに、ロンドンで個人宅へのドローン配送に成功したことが報じられている。ドローンに手を振るなどジェスチャーを送って動かしたり、話しかけて音声で動かすなど、荷物を受け取る側の利便性を考慮した実験も進んでいるようだ。また、正常な運行ができなくなったり、制御が効かなくなった場合には自動分解させるなど、様々なケースに対しての検証が進められており、特許出願数も飛び抜けて多い。

ドローンの実用化は大きな可能性を秘めている。期待される領域は幅広く、農業、測量、物流から、インフラ維持、防災など人々の暮らしに大きく関わる。

東京電力ベンチャーズ、ゼンリン、楽天の3社は今後もドローンの安全飛行インフラ構築に向けて提携していく方針だ。グローバルトレンドも見据えたインフラ構築が進むことを願うばかりだ。