GTDとは
「GTD(Getting Things Done)」は代表的なタスク管理法で、生産性に関する世界的な権威であるデビッド・アレン氏が提唱したタスク管理のやり方です。
これは収集→処理→整理→見直し→実行という順序で、タスクを洗い出し整理した後、順を追って処理していく手法です。
フォーチュン100企業の半数がGTDを導入
タスク管理手法であるGTDは、アメリカではすでに主流になっており、フォーチュン100企業(米グローバル企業の総収入ランキングトップ100)の40%程が導入しています。
日本でも多くの大手企業が研修を実施するなど、提唱されてから十数年経過した今でもなお、注目されているタスク管理のやり方と言えるでしょう。
「2018年流」GTDのやり方
GTDの歴史は古く、デビッド・アレン氏がGTDを提唱したのは2002年。その際に紹介されたやり方は、主に紙やメモ帳といったオフライン媒体を用いてタスクを管理するというものでした。
ですが今は2018年。時代とともに、我々のワークスタイルやライフスタイルも当然のごとく変化しています。
モバイル普及で、GTDは紙からデジタルへ
各スタイルが変化しているのであれば、それらのタスクを管理するGTDも今の時代に順応させて実践すべきです。
現代のGTDは、これまで提唱されてきたGTDと決定的な差があります。その差とは、モバイル端末が出現し普及し、GTDを行うツールが紙からデジタルへと変化したことです。
朝は会社でPCを開き、移動中はスマートフォンを操作、夜はタブレットで動画を見る。現代では仕事でも私生活でも、さまざまなネットワーク端末を複数用いることが当たり前となりました。
そしてGTDにおいても、紙やメモ帳などといったオフライン媒体で管理するのではなく、PCやスマートフォンといったオンライン媒体、つまりネットワーク端末で管理するのが主流となっています。
複数端末の同期も可能
最近ではGTD専用のアプリやWebサービスも多くあり、端末が別であっても同期によってタスクを共有できるものがほとんどです。
こういったネットワーク端末を使いオンラインのツールでタスクを管理するのが現代流のGTDで、従来のやり方と比較してタスク管理自体の効率も上がっています。
GTDをやるために用意するもの
従来のGTDには紙やペン、箱などといくつか用意するものがありましたが、システムを使う現代流のGTDでは特に用意するものはありません。
が、その分ツールの選定が重要になってきます。
GTDをやる際のツール選定ポイント
ちなみに私はTodoistというツールと、Googleカレンダーを併用しています。
本当はTodoistにまとめてしまうと楽なのでしょうが、仕事柄どうしてもスケジュール、および期限付きタスクを共有、確認するのにGoogleカレンダーが必要なので、2つのツールを使うようにしています。
ですがツールはなるべく1つにまとめてしまう方が無難です。これについては記事の最後の「GTDのポイント」でお話しします。
GTDのやり方・手順
ここからは実際のGTDの手順について紹介していきましょう。
GTDは基本的に収集→処理→整理→見直し→実行といった手順で行います。
収集
頭の中のタスクをすべて外に出す作業です。PCのメモ帳でも紙でもいいので、とりあえずすべて書き出します。重要なのは、ある程度時間がかかってもいいので必ずすべて書き出すことです。
処理
書き出したものを大枠で分類していきます。基本的なGTDのやり方では、次の5つのリストを作成し分類するのがポピュラーです。
- インボックス
- 今すぐやること
- 連絡待ち
- プロジェクト(2つ以上のタスクを内包)
- いつかやる
私の場合は上記リストに加えシーンごとにカテゴライズしています。たとえばビジネスタスクとプライベートタスク。副業をしていたら副業タスク、イベントを主宰しているのでイベントタスク、といった具合です。
整理
処理で分類したものを、自身が使っているGTDのツールに落としこみます。これは処理と同時並行しても問題ありません。
GTDのツールは無料のものから有料のものまで、さまざまなものがあります。スパンを決めて使い、一番しっくりくるものをパートナーとして選びましょう。
見直し
先ほど分類したものを自身の状況と照らし合わせ実行可能かどうかを検討します。時間がかかるわりに成果が見込めないものや、そもそもやる必要がないものなどの優先順位を下げましょう。
優先順位の付け方は各ツールで違いますが、(5段階評価だったり、順番で並び替えたり)自分がわかればそれで問題ありません。
実行
ここまでくればGTDの下処理の段階は完了です。あとは実際にタスクを処理していきましょう。
新しいタスクが生じたらインボックスに入れるか、直接分類します。週一くらいでタスク全体の見直しをするといいでしょう。
GTDをやる際のポイント
さて、上述ではGTDのやり方についてお話したのですが、
「GTDをやってはみたものの、GTDの良さがよくわからない」
「途中からタスクを管理しなくなってしまう」
といった意見を多く聞きます。
そんな方たちのために、GTDを実践する際のポイントについてお教えしましょう。
ツールはなるべく1つに
究極的に言ってしまえば、現代流のGTDでは「1つのツールを見ればやることがすべてわかる状態にする」のがゴールです。
というのも複数に分散されている状態ではどのタスクがどのツールに収納されているかを「覚えておく」、そして「思い出す」必要があるからです。
頭の中を空っぽにするためにタスク管理ツールを使用しているのに、タスク管理ツールを使うために何かを忘れずにいるのは本質からズレてしまいます。
GTDは依存がポイント
GTDをしっかりと手順どおりにやっているけれどなかなか上手くいかない。タスクが漏れてしまったり、そもそもタスクを管理しなくなったりしてしまう。
そんな方たちは、たいていの場合「依存度」が足りていません。タスクを管理しないと破滅する状況に一度陥らないと、GTDは完成しないのです。
忙しくなることがキー
GTDを習得する最初の一手としてもっとも有効なのは「死ぬほど忙しくなる」ことです。社内で新しい仕事をとってきてもいいですし、副業を始めても構いません。
はたまた趣味を増やし、その趣味を一プロジェクトに見立てタスク分解してみるといいでしょう。
たとえば旅行に行くとしたら…
ここで1つ例えを出してみましょう。あなたは1か月後に行く旅行を企画するとします。この旅行プロジェクトをタスク分解するとしたら、企画から旅行当日までに、次のようなタスクが発生します。
・日程の策定
・予算の策定
・観光地の策定
・参加者の選定
・参加者へ連絡
・参加者の確定
・どこを巡るか、何をするかの決定
・宿の選定
・宿の予約
・交通手段の選定
・交通手段の予約(必要な場合)
・旅行に必要なものの買出し
・旅行の準備
・宿代などの立替費用の徴収
もっと細かくタスクを分解するならば各選定に必要な軸(たとえばQCDなど)の洗い出しや比較作業、決定作業も必要になってきます。
このような同様のプロジェクトを、GTD無しで複数個一気に始めてみましょう。
脳がパンクしてからがタスク管理の出番
すると、人の脳は必ずパンクします。そんな時にあなたを救ってくれるのがGTD、もといタスク管理ツールです。タスク管理ツールは錯乱したあなたに、「そこを見ればやることがわかる」という安心感を与えてくれます。
そしてその状態が一定期間続くと、人はタスクを管理しながら、タスク管理のツールに管理されるようになるわけです。
こう表現すると聞こえは悪いですが、この状態になってようやくGTDを使いこなせていると言えます。そして一度依存してしまえばその依存状態からは中々抜け出せなくなるため、途中でやめてしまう心配もありません。
「2018年流」GTDのやり方をマスターせよ
今回紹介したGTDのやり方は飽くまで2018年流のもの。この先も時代が変化するにつれ、現在とはまた異なった手法が確立されていくかもしれません。
ともあれ今は2018年。実践していくうちに多少自己流にカスタマイズされていくこととは思いますが、まずは現代流GTDの基本的なやり方を身に着けておきましょう。
※本記事は、【GTD編】タスク管理は「依存」が最大のポイントの記事を、編集・再構成した記事です
連載「ビジネススキル2.0」

