タスク管理に悩む人は、「忘れる」スキルが足りていない

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記事の情報は2018-08-10時点のものです。

タスク管理とは効率を上げるためのスキルではなく、ミスを減らすためのスキルでもありません。その本質は、生産性を向上させ、幸福を最大化するところにあります。そのために必要なのは、意外にも「忘れるスキル」なのです。
タスク管理に悩む人は、「忘れる」スキルが足りていない

タスク管理とは何か?本質とコツ

あなたは、「タスク管理をして効率がよくなった」とか「細かいミスが減った」とか、そんな表面的なタスク管理をしていませんか。

ビジネスシーンで頻繁に「タスク管理をしよう!」という文言を見聞きすることが増えてきました。

しかし、タスク管理をする理由を尋ねると「効率がよくなるから?」「ミスが減るから?」と、本質を捉えられていない人が多いのが実情です。

たしかに、タスクが一覧で見えるようになり、副産物的な効果として効率が上がりミスは減少するでしょう。しかし、それは成果のほんの一部分でしかありません。それだけではタスク管理の恩恵を最大限享受できているとは言えないのです。

タスク管理は元来、生産性を向上させるために確立された手法です。しかし私は、その本質はその先にある「幸福の最大化」だと考えています。

タスク管理をしても、あまり効率化されない

たしかに、タスク管理は効率化を推進してくれます。しかし正直な話、頭の中のタスクをすべて書き出し並べ替えたところで優先順位を可視化できるくらいしか成果はありません。

タスク管理に関連する多くの書籍やサイトでは「効率化」をうたっています。しかし、優先順位が可視化されたメリットは「タスクを管理する」という手間が増えるデメリットで相殺されてしまうでしょう。

生産性向上のために、記憶の外付け化を実践する

タスク管理をする最も大きな意味合いは、生産性を向上させること。

「効率化」というのは処理するタスクの負担を減らすことですが、生産性を向上させるというのは自らの能力を向上させること。ニュアンスは似ていますが、意味はまるっきり異なります。

タスク管理の効果を最大限に享受するためには頭の中のタスクをすべて外に出す=「記憶の外付け化」できるかどうかが一番重要です。

記憶の外付け化とは何か?

記憶の外付け化とは、端的にいうと、頭の中で覚えておかなければならないことをすべて頭の外のツールに依存させるということです。

人は多くの時間、潜在意識下で「あれをやらなければ」
「これをやらなければ」と、次に消化しなければならないタスクのことを考えています。

これはビジネスシーンに限った話ではないでしょう。

「トイレットペーパーが切れていたので帰りにコンビニで買わなければ」
「友人に今度の旅行の件で連絡をいれなければ」というように、公私におけるあらゆるタスクが頭の中に散らばっており、それらを意識せずとも潜在的に考えてしまっていることがほとんどです。

高次なタスク管理では、この脳内のタスクをすべて頭の外に追い出します。これが、記憶の外付け化です。

PCに例えてみると、脳内の記憶のストレージに不用意に散らばっている情報をすべて、外付けHDDにデータ移行した後、データの整理を行うイメージです。


こうすることでCPU、いわば脳に負担をかけていたものが減り、サクサクと動くようになるというわけです。

タスク管理とは公私を充実させるもの

これまでは主に生産性、いわゆるビジネスシーンでのタスク管理の有用性について説明しましたが、タスク管理はプライベートも充実させてくれます。

これこそが冒頭で述べた、「幸福の最大化」です。

記憶の外付け化で、タスクを忘れるスキルが身につく

記憶の外付け化を意識的に行えるようになると、「一時的にタスクを忘れる」というスキルが身につきます。

たとえばあなたが営業マンだったとして、手違いで先方に古い資料を渡してしまったとしましょう。

金曜日の夕方に上司から「来週の月曜、先方のところに行って謝ってこい!」という気が滅入ってしまう指示が下ってしまいました。自身のミスですから反論もできません。

しかしその週末に、あなたは友人と伊豆旅行に行く予定でした。さて、あなたはこのミスと滅入るようなタスクを忘れ、伊豆旅行を存分に満喫できるでしょうか。

「忘れること」こそタスク管理の本質

当たり前ですが、旅行中くらい嫌なことを忘れて楽しみたいですよね。

ですが人間は生まれてから「考える努力」ばかりさせられてきて、「考えない努力」はまるっきりしてこなかったわけですから、考えまいと思っても脳がそれを許してはくれません。

あなたは月曜日、先方から怒られることにびくびくしながら伊豆旅行に行かなければならないのです。

こんな悲壮な事態も、タスク管理による「一時的な記憶の忘却」スキルが身についていれば避けられます。

一度月曜のことは完全に忘れ土日の旅行を楽しみ、月曜の朝にリマインドされてから気を滅入らせる。タスク管理をマスターすると、このように意図的に嫌なことを忘れる能力が身につくのです。

忘れるスキルを使いこなして、毎日を楽しく

上述では少し大げさな例を出しましたが、たとえばアフターファイブの飲み会の時、恋人と過ごしている時間、その他あらゆるプライベートタイムでこの忘却スキルは役立ちます。

ストレスの元自体を忘れてしまっている状態のため、過度なストレスがかかった時の自己防衛手段としても非常に有効で、タスク管理が上手な人はストレスフリーな人が多いです。

あなたは記憶力ばかりを鍛えてしまい、忘れたいことまで記憶のすみに残ってしまっていませんか?

そんな方は、タスク管理を通じて、忘れるスキルを鍛えてみてはいかがでしょう。

※本記事は、タスク管理とは「忘却する」スキルの記事を、編集・再構成した記事です

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