「スマホ中毒」を悪化させるSNSの4要素 対策に乗り出すシリコンバレーだが……

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社会生活に支障を来すほどスマートフォンに依存する「スマホ中毒」が、シリコンバレーの技術業界でも問題視され始めた。問題解決を目指す団体が設立されたほか、グーグルやアップルも具体的な中毒対策に乗り出している。こうした対策ツールは効果を発揮するだろうか。

「スマホ中毒」を悪化させるSNSの4要素 対策に乗り出すシリコンバレーだが……

スマホが手元にないと不安?

常にスマートフォンを持っていないと不安だという人は、「スマホ中毒」を疑った方がよい。SNSの通知が気になって仕方ない、という状態になったら重症だ。

スマホ中毒は、原因の一端といえるシリコンバレーの技術業界でも問題視され始めた。解決を目指す団体が設立されたほか、グーグルやアップルも具体的な中毒対策に乗り出している。

専門家は「意志の力だけで中毒は克服できない」と話すのだが、米国では「中毒は自己責任」「解決は本人に任せる」という意見の消費者が多い。AndroidとiOSに搭載される対策ツールは効果を発揮するだろうか。

問題視され始めたスマホ中毒

スマホ中毒は社会全体の不利益

スマートフォンの画面からひとときも目を離さず、絶えず操作している人をときおり見かける。街角や列車のなか、飲食店など、どこにでもいる。時間の有効活用であれば問題ないのだが、ほかの人とコミュニケーションすべき場面でスマートフォンをいじり続けたり、ベッドに入ってもSNSの通知が気になって寝付けなくなったりすると、生活に支障を来す。そこまでになると、立派な中毒といえる。

依存し過ぎる人が増えれば、社会全体の不利益につながりかねない。そこで、この問題を見過ごさず、消費者に注意喚起するとともに、技術系企業やSNS運営会社、政府に対策実施を働きかけようとする団体「センター・フォー・ヒューメイン・テクノロジー(Center for Humane Technology)」が作られた。設立メンバーとして、グーグルやフェイスブック、ツイッター、アップルなどの元関係者が参加している点は興味深い。

出典:Center for Humane Technology

SNSの中毒性を高める4つの特性

この団体は、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、グーグル、ユーチューブなどを完全否定してはいない。これらが世界に膨大な恩恵をもたらしたとして、メリットを認めている。ただし、利用してもらった時間や頻度に応じた広告収入を得るビジネス・モデルを採用しているため、いずれも使い続けさせる仕組みの開発に心血を注いできた。

テレビやラジオ、PC自体に対する中毒も以前から指摘されているが、SNSには技術革新の影響でより中毒性が高められるという。具体的には、旧来のメディアとは異なる次の4つの特性を挙げた。

(1)人工知能(AI)によって生成されるスクロールをやめられないニュース・フィード
(2)1日に150回もチェックしてしまう24時間365日動き続けるサービス
(3)社会的な立場や自己肯定感に影響を与えうる仕組み
(4)ユーザーの行動に最適化されるコンテンツ

同団体は、人類がスマートフォンやSNSのメリットを享受しつつ、より人間性を失わず豊かな生活を送れるように、技術のあり方を見直そう、と呼びかけている。

中毒対策に乗り出すシリコンバレー

スマートフォンやSNSに対する中毒を問題視しているのは、センター・フォー・ヒューメイン・テクノロジーだけでない。現在シリコンバレーでは、過剰依存から抜けだして「時間をより有意義に使おう」というムーブメント「Time Well Spent(TWS)」が広まっている。

そうした流れに押されたのか、グーグルが「Android OS」、アップルが「iOS」でそれぞれ対策に乗り出した。

グーグルがAndroidに導入する4つの対策

グーグルは、2018年5月に開催した開発者向け会議「Google I/O」で、スマートフォン用OSの次版「Android P」に搭載する、4つの中毒緩和機能を発表した。各機能の概要は以下のとおりだ。

(1)ダッシュボード(Dashboard):スマートフォンの使用状況を一目で確認できる

(2)アプリ・タイマー(App Timer):アプリごとに使用可能時間を設定しておくと、制限時間に達したアプリのアイコンがグレーになる

(3)ドント・ディスターブ(Do Not Disturb):画面を下に向けてスマートフォンを置くと、自動的に通知がオフになる

(4)ウィンド・ダウン(Wind Down):設定した就寝時刻になると画面がグレー表示へ変わり、目に対する刺激を抑えることで入眠しやすくする

アップルもiOSに中毒緩和機能を

アップルも6月の開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)」で、次期OS「iOS 12」にデジタル・デトックス機能を追加するとした。

基本的にはAndroid Pと同様で、スマートフォンの使用状況を確認する「スクリーン・タイム(Screen Time)」、就寝時刻以降の通知などをオフにする「ベッドタイム(Bed Time)」(「おやすみモード(Do Not Disturb)」に追加される新機能)がそれだ。さらに、アプリの利用時間を制限できる「アプリ・リミッツ(App Limits)」機能もある。