無期転換ルールでも「待遇は社員同等にはならない」否定的な人6割

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日本労働組合は6月28日、「有期契約労働者に関する調査2018」の結果を公表した。改正労働契約法により定められた「無期転換ルール」が2018年4月1日より施行された。しかし調査によると、このルールを知らない労働者は約7割にのぼり、依然として認知率が低いことが明らかになった。
無期転換ルールでも「待遇は社員同等にはならない」否定的な人6割

2018年4月から適用「無期転換ルール」

日本労働組合は6月28日、「有期契約労働者に関する調査2018」の結果を発表した。インターネットリサーチにより全国の20歳~59歳の有期契約労働者(週20時間以上労働)の1,000名から、有効回答を得たという。

この調査は2013年に改正された労働契約法の第18条(無期労働契約への転換)や第20条(不合理な労働条件の禁止)についてを検証するためのものであり、本記事では第18条についてを抜粋して紹介する。また第18条について、以下「無期転換ルール」と表記する。

無期転換ルールについては、以下の記事で詳しく解説している。

「無期転換ルール」の認知率は31.7%

まず無期転換ルールについて、「ルールの内容まで知っていた」31.7%、「ルールができたことは知っているが、内容までは知らなかった」は 37.0%、「ルールができたことを知らなかった」は 31.3%。

内容を知らなかった人の合計は68.3%。昨年は84.1%が知らなかったと回答しているため、少しではあるが認知率は改善がみられる。しかし4月からの法適用で、実際に契約を変更できる人がいる中では、まだまだ内容の広報には不足があることがうかがえる。

また、このルールについてどこで知ったか、という問いには5割以上の人が「マスコミ」と回答しており、勤務先からの説明と回答した人は4割と続いた。

出典:有期契約労働者に関する調査2018

同組合が2016年10月に行った企業調査で、3社に1社が「無期転換ルールの説明について」未定・わからないと回答しており、この1年半で企業側は一定の周知努力を行ったと考えられると、独立行政法人労働政策研究・研修機構 労働政策研究所副所長 荻野 登 氏はコメントしている。

とはいえ、まだまだテレビや新聞報道による認知が多く、情報を積極的に取りに行った人だけがその恩恵を預かれるともいえる状態だ。すべての対象となる労働者に確実に知ってもらうためには、やはり企業による周知が第一だろう。

無期転換ルール対象者は17.5%、うち26.9%が権利を行使

全回答者中、2018年4月以降の無期転換申込権があるかどうかについて確認したところ、「無期転換申込
権対象者となっている」人は 17.5%、「無期転換申込権はまだ発生していない」が 36.2%、「無期転換申込権があるか、ないか、わからない」が 46.3%であった。

そもそも内容を知らない人が多いという前項の結果から見れば、自分が権利者かどうかわからないのは当然のことだろう。

出典:有期契約労働者に関する調査2018

また、無期転換申込権を持っている 175 名の中で、「無期転換を申し込んだ」人は 26.9%、「無期転換を申し込んでいない」人は73.1%という結果だったという。

「正社員と同じ待遇ではないのなら意味はない」6割

無期転換ルールについて、どのようにとらえているかという設問では、約6割の人が「待遇が正社員と同等になるわけではないから意味がない」に同意しているという。

安定した雇用が見込める半面、期間がなくなっただけではあまり意味がないと、否定的にとらえる意見が多いことがわかった。

出典:有期契約労働者に関する調査2018

大手人材会社の話によれば、企業側が説明をしたとしても、実際に申し込みをしてくる人は少ないのではという。パートなどある程度時間や責任の範囲を狭めて働くことを選んでいる人にとって、それ以上に背負いきれないという本音もあるという。

期間の不安はなくなっても、労働者が前向きに無期転換を希望するためには、越えなくてはならない障壁は多いようだ。