ライドシェアが広がらないワケ - 規制にソフトバンク孫社長も怒りのコメント

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ソフトバンクグループ孫社長は7月19日に開かれた会見の中で、ライドシェア禁止の現行法に怒りをあらわにした。ソフトバンクは世界で配車アプリ事業に投資を行っているが、日本では法の規制により、普及できない状況にある。そもそもライドシェアとはどんなサービスで、なぜ政府はライドシェアに消極的なのだろうか。詳しく解説する。

ライドシェアとは

「ライドシェア」という言葉からどんなことを連想するでしょうか。日本にもUberが進出していることから「オンラインを活用した配車サービス」を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、ライドシェアを日本語に直訳すれば「相乗り」となり、同じ目的地、もしくは近い場所まで1台の乗用車に複数人数が同乗することを意味します。これはアメリカで一般的に行われている「カープール」であり、Uberなどがビジネスモデルとしている「TNC(Transportation Network Company)サービス」とは区別して捉えられています。

日本ではライドシェアという言葉の定義が曖昧になりがちであり、一部で混乱が生じる原因となっているようにも思えます。

まずはライドシェアとはなにかを定義する前に、カープールとTNCサービスがどのようなものかを解説していきます。

カープール

国土が広く、住宅が点在するアメリカでは公共交通機関が発達しにくく、必然的に通勤や通学、生活の移動手段としてクルマが必要不可欠。1世帯で複数台の乗用車を所有することも珍しくありません。

このため、通勤・通学時間帯の渋滞が深刻化すると同時に、環境への影響が懸念されるようになり「1台の乗用車に複数人数が同乗する」カープールを推奨することによって、走っているクルマの総数を減らす試みが行われるようになりました。

一般的には、出勤の際に近くに住む知人同士で相乗りすることが多く、その性格から「運転者と同乗者の利害が一致」した場合に、無償もしくは実費のみで行われるのが、カープールだといえます。

TNCサービス

旅先などで自家用車が使えないケースでは、多くの場合タクシーなどが利用されます。しかし、大都市などではともかく、少し郊外に出るとタクシーを捕まえることは容易ではなく、移動手段に苦慮することも。

これを解決するサービスがTNC(Transportation Network Company)であり、UberやLyftなどのマッチングソリューションが知られています。

具体的には、スマートフォンを介して登録されたドライバーとライダー(利用者)をマッチングし、乗車・決済までを行うサービスです。リソースを有効活用したい一般ドライバーと、タクシーよりも安価で利便性の高い移動手段を求める利用者、お互いの利害が一致したことにより爆発的に普及しています。

ライドシェアの定義

TNCサービスが普及したことにより、従来型のライドシェアであるカープールでもスマートフォンなどを介したマッチングが行われるようになってきました。TNCとカープールの境界は曖昧になってきているともいわれています。

本記事ではライドシェアの定義を「スマートフォンアプリやWebサイトを活用して、ドライバーと利用者をマッチングさせる」サービスとして解説していきます。

スタイルの異なる2つのライドシェア

カープールとTNCサービスの境界は曖昧になってきているとはいえ、ある意味では大前提になる動機がまったく異なり、ライドシェアを2つのスタイルに分けて考えることが必要です。

それぞれを「TNCサービス型」「カープール型」として、まずはその違いを見ていきましょう。

TNCサービス型

「Uber」や「Lyft」などがTNCサービス型ライドシェアの代表です。

登録されたドライバーとライダーのマッチングをスマートフォンアプリを介して行い、乗車・決済までを行うもので、TNCサービス事業者は仲介手数料によって収益を得るというビジネスモデルをとっています。

このことからもわかるように、TNCサービス型は事業としての側面が大きく「利用者が希望する場所へドライバーが送り届ける」ことが前提となっており、登録しているドライバーの目的も実費以上の「収益を得る」ことが主になります。

こうしたビジネスモデルを維持するため、ドライバーとライダーの双方がお互いを評価するシステムが装備されていることも特徴でしょう。

TNCサービス型に多い利用ケース

複数のクルマを所有する世帯が多いアメリカでは、タクシー代わりにTNCサービスが利用されるケースが多くなります。

つまり、旅先などで自家用車が使用できない場合や、飲酒後に移動する場合などであり、短距離での利用が多い傾向にあるといえるでしょう。このことから、TNCサービス型はタクシーやレンタカーと競合しがちです。

カープール型

一方、1台の乗用車に複数人が同乗するカープール型の代表は、ヨーロッパで普及が進んでいる「Bla Bla Car」です。

ドライバーと利用者のマッチングをスマートフォンアプリやWebサイトを介して行う点はTNCサービス型と同じですが「ドライバーの目的地と利用者の目的地」をマッチングさせる、という点でTNCサービスと大きく異なっています。

このことから、カープール型はソーシャルサービスの側面が大きく、登録しているドライバーは「ガソリン代などの実費」以外の利益を受取ることがありません。

国が陸続きになっているヨーロッパでも、鉄道などの公共交通機関がそれほど発達しておらず、これを補完するインフラとしての役割がライドシェアに期待されている、という側面もあります。

カープール型に多い利用ケース

多くの国が陸続きのヨーロッパでは移動が長距離に及ぶことが多く、必然的にカープール型は長距離バスや鉄道代わりに利用されるようになります。

また、目的地に加えて共通の趣味などをマッチングさせる場合も多く、共通のフェスティバルやコンサートに参加するときに活用されることもあるようです。