英バーバリーの廃棄問題から考える「サスティナビリティ」とは?

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BBCが20日、英国の高級ブランドバーバリーが売れ残りの衣料品やアクセサリーなど、約42億円相当を焼却処分していたことを報じた。これに対し環境団体からは非難の声があがっている。ここで注目すべきは、企業の持続可能性と社会的責任、つまり「サスティナビリティ」と「CSR」の問題だ。バーバリーは本当に正しい判断をしたといえるのだろうか。
英バーバリーの廃棄問題から考える「サスティナビリティ」とは?

英バーバリー、42億円の衣類など焼却処分

BBCによると、英バーバリーが廃棄したのは約42億円相当の同ブランド衣料品、アクセサリー、バッグなど。また過去5年に処分された製品は9,000万ポンド(約131億円)にのぼるとみられる。

バーバリー側は、ブランドが安く転売されること「ブランドの価値」低下を防ぐための措置だという。また同社の広報は、「余剰在庫を最小限に抑えるためのプロセスはある」としており、それでも処分しなくてはならない場合は、焼却の際のエネルギー再利用も行っているとしている。

また、ブランド品の廃棄問題はバーバリーだけのことではないという。「カルティエ」や「モンブラン」といった高級腕時計を提供するスイスのリシュモンは、過去2年で約629億円相当の商品を処分したという。

売れ残りが安く取引され、高級ブランドとしての価値を下げたくないというファッション業界のこうした問題は、「サスティナビリティ」を推進する、現代の流れには反した動きだろう。環境保護団体からは、反発の声もあがっている。

「企業ブランド保護」と「サスティナビリティ」の両立は、非常に複雑な背景をはらんだ問題である。

サスティナビリティとは?

そもそも、サスティナビリティとはどんな概念なのか。日本語では「持続可能性」と訳され、一般的には環境問題やエネルギー問題に対し、企業や消費者としても一定の責任を負い、持続可能な世の中をつくっていくという考え方である。

1987年の国連の「環境と開発に関する世界委員会」で「持続可能な開発」という言葉が提唱されたのがはじまりだ。2015年に国連本部で採択された「SDGs(エス・ディー・ジーズ・続可能な開発目標)」が、サスティナビリティをより具体的に取りまとめた指針となっている。

企業のサスティナビリティといえば、企業活動で利益をあげ続けるだけではなく、CSRの観点もふまえて考えることである。また最近では、この「サスティナビリティ」が投資家たちにとってのひとつの判断基準になっているともいわれている。

アパレル業界でも進む「サスティナブルファッション」とは?

アパレル業界でも、「サスティナビリティファッション」の動きは広がっている。提供する洋服の素材や染料が、環境を破壊していないか。生態系に影響を与えていないか。また労働者の環境は適切か、など衣類に関わる過程を広くみて評価するものである。

早くから環境への配慮に高い意識を持っている「パタゴニア」では、フェアトレード・コレクションを展開している。フェアトレード・サーティファイドの工場で製造された製品は、消費者が購入するごとに、労働者へ賃金として還元されるしくみになっている。

また2017年、反毛皮製品の気運が高まったことをうけ、グッチは2018年春夏のコレクションに、ミンクなど6種の毛皮を使用しないことを発表した。

もはや単なる利益追求型では、社会的な評価を得られない。バーバリーにも、今後ハリウッドなど影響力のある著名人からのボイコットなど、廃棄への批判が高まるのではないか、との推測もでている。

ダボス会議2018で発表された「世界でもっとも持続可能な企業100社」とは

最後に、サスティナビリティをけん引する企業を紹介する。

世界経済フォーラムが毎年開催する「ダボス会議」では、サスティナビリティに優れた企業を選出する「サステナビリティの観点で世界各国の企業を評価する「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World (Global 100 Index)」が発表される。(2018年1月発表)

TOP10は以下のとおり

1 ダッソー・システムズ
2 ネステ
3 ヴァレオ フランス

4 Ucb
5 アウトテック
6 アムンディ
7 シスコシステムズ
8 オートデスク
9 シーメンス
10 サムスンSDI

企業による環境、社会、財務、イノベーションなど取り組みのKPI (主要業績評価指標) の他、企業の製品が備える持続可能性価値 (サステナビリティー・バリュー) も評価対象となっている。

100社の傾向でみると、サスティナビリティはヨーロッパの企業がけん引している形となっている。また日本企業のランクインは、本田技研工業、武田薬品工業、積水化学工業、日産自動車の4社であった。

3年連続でランクインしている武田薬品工業では、「Sustainable Value Report」を作成しており、企業としての「サスティナビリティ」「CSR」についての考えを表明している。

こうした先進企業の事例は、多くの企業の参考になる。単なるスローガンだけではなく、消費者の購買行動にも影響を与える「サスティナビリティ」は、企業にとって今後ますます重要な課題となることは間違いない。