ホリエモン「学校教育は多様性を否定する」 ゼロ高が目指す行動ありきの高校とは

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記事の情報は2018-07-27時点のものです。

ホリエモンこと堀江貴文氏が、ゼロ高等学院――「ゼロ高」の開校を発表した。コンセプトは「座学を目的とせず、行動を目的とする」。ファッション、農業、経営などさまざまな分野のプロに実践を学べることを特徴とし、高校卒業資格も取得できる。「学校教育を壊す(ディスラプトし再構築する)」と話すホリエモンが挑む、新たな学校とは。

会見でホリエモンが語った「本音」

そもそも「学校をつくろう」という話が動き出したのは、2018年2月だったそうだ。半年足らずで実現に至った背景にはさまざまな出会いと運があったという。

左から、堀江氏、坪田氏、佐渡島氏

ゼロ高はサッカーから生まれた?

ゼロ高の誕生には、実はサッカーが深く関わっているそうだ。先日、日本代表の新監督へ就任すると発表された森保一監督の名前もあがった。

Jリーグのアドバイザーも務める堀江氏は、以前より、高校サッカーと比べてユースが盛り上がらない、また客が入らないことに課題を感じていたという。

堀江氏:

(ユースは)トップチームの下部チームなんで、要はそのトップチームのサポーターからすると劣化版みたいな感じだから客が来ない。客が来ないとユースも盛り上がらない。でも高校サッカーは同級生が来るから盛り上がる。

だったら高校作っちゃえばいいじゃん、そう思って、それこそ日本代表の監督になった森保監督がサンフレッツェ(広島)で2連覇かなんかしたときに対談して、「誰か高校つくんないすかね」みたいな話をしてたら、FC琉球が本当につくっちゃって。作り方を聞いたら、「実は通信制の高校と提携してやってるんです」って。「え、そんな方法あんの?」って(驚いた)。

一からドワンゴの「N高」みたいに、めちゃくちゃ面倒くさい手続きをしなきゃいけないのかなと思ってたら、なんだこんな簡単なんだって。それから、方法をそのまま教えていただいて、作らせていただいた。

「高校くらい行っとけ」へのアンチテーゼ

堀江氏は月額制のオンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」を運営しており、ここで得た知見はゼロ高にも深く関わっている。

堀江氏:

時代がテクノロジーによって急速に変化するなかで、生き方を変えなければいけない、アップデートしないといけないと思って、HIUをまずつくったんです。HIUは学校法人ではないし、何の資格もとれないけど、でもそこにいま1,700人くらいいます。そこで「実践すること」はもうできているんです。

以前から「高校生も入れますか」とか聞いてくる人がいて、「ああ入れないと思ってるんだ」って思いながら「1万円払ったら誰でも入れるよ」って言ってるんだけど、「だったら学校辞めてHIU入ろうとかっ」てやつはいない。なので、じゃあ学校の殻はつくろうと。

それはもうはっきりいって言い訳ですよね、「とりあえず高校くらい行っとけよ」に対する。

何のために学校へ行くのか

「何のために学校へ行くのか」「何のために勉強するのか」。誰しも、一度は疑問に感じたことがあるのではないだろうか。ゼロ高は、この疑問にも答えを出すと堀江氏らは話す。

堀江氏:

(現代社会では)概念的には、多分人と同じことはやらなくていいし、ぶっちゃけ協調性もなくていいし、一人でも生きていけるみたいな時代になっちゃったので、みんな、子どもはとくにそれに気づいていて、なんで俺たちこんな事やってんだろうって思っちゃう。(中略)

学校教育の弊害って、同世代としかつるまない文化をつくっちゃうところにあると思っていて、全く同じプロファイルを持っている人ばっかりとつるんじゃうと多様性を受け入れられなくなっていく。

僕らはバラエティ豊かな選択肢をたくさん用意しようと思っていて、合うやつをしっかりやりゃあいいと思うんですよ。1か月間すし職人コース入ったけど、「だめだわセンスねえわ」と思ったら、次はロケットエンジンつくってみようとか。

坪田氏:

僕が現場で生徒さんと話すなかで一番いわれるのって、「何のために学校に行ってるんですかね」とか「何のために勉強するんですかね」っていう目的なんですよ。

じゃあ周りの大人は何て言ってんの?って聞くと、それこそ集団行動を学ぶためとか、論理的な思考を学ぶためとか。じゃあ集団行動って学校じゃないと学べないのかって言われたらそんなことはないし、論理的な思考だって、数学じゃなくたって学べるはずなんですよ。

つまり、学校に行く目的って、すごい遠回しに説明してるんですよね。直でこれっていうのがないんです。

ゼロ高校だと、多分聞かれないと思うんですよ。自分がやりたいことをやる、それを素敵な大人の人たちに学ぶ。誰も何のために学校行くのかってならないのかなっていう。

堀江氏:

それはある。ゼロ高は、これから必要とされている人をつくることが主目的なんで。

「ゼロ高」で描く教育の未来

ゼロ高代表の内藤氏が課題として掲げるのは「選択肢を知ることができない世界」「未来を諦めなければならない世界」だ。そのうえで、ゼロ高で実現する世界を次のように示している。

選択肢があることを知ることができる
仲間と共に
選択肢から選び、行動し、学び、
成功するまで失敗ができる

かつ、生徒の行動を後押しする環境も整っている。「起業家」たちと学生の出会いから生まれる未来が楽しみだ。

堀江氏:

HIUの人ってお金持ちの人も結構いて、たとえばすし屋でこいつセンスあると思ったら、出資する人がいっぱいいますからね。すぐすし屋出して。俺「高校生すし」つくりたいもん。高校生すしがミシュランをとるみたいなのをやりたいんですよね。