エアコンスポットを意識した席配置
施策導入難易度 ☆
先日、NECとダイキンがオフィスでの居眠りを防ぐシステムを共同開発すると発表し、「まぶた監視」というワードはツイッターでもトレンド入りするなど話題になりました。
眠気を減らすために室内の温度を下げることが効果的だというデータもあるそうですが、快適な室温は人それぞれ。卓上タイプのマイ扇風機を持ち込んで暑さをしのぐ社員とカーディガンとひざ掛けで冷えと戦う社員が混在する、これが真夏のオフィスの実態ではないでしょうか。
それぞれが快適な環境をつくるには、エアコンスポットを意識した席移動が有効です。フリーアドレスの会社であれば、エアコンの設定温度高めのエリアと低めのエリアを設け、社内にアナウンスしてあげるとよいでしょう。
ある会社では、空調位置の関係でどうにも蒸し暑い会議室があり、思い切ってホットスポットとして社員に開放したところ、冷えと戦う内勤の社員に人気の業務スペースになったそうです。快適な室温下で仕事をする場合とそうではない場合では、疲労の蓄積や生産性に大きな影響があります。たかが席と思わず、検討してみてはいかがでしょうか?
フリードリンクの導入
施策導入難易度 ☆☆
無料の紙コップ式自動販売機を設置したり、持ち出し自由のペットボトル飲料を常備したり、福利厚生の一環でフリードリンクを実施する会社は増えています。フリードリンクは社員満足度が高く、求職者にも人気の福利厚生施策。これだけ猛暑が続くと、健康管理の面での意義も大きいでしょう。
コスト面が気になる会社は、猛暑対策ということとで夏季限定で試験導入してみてはいかがでしょうか?出勤してきた社員や外出から戻った社員がしっかり水分を補給できる仕組みを設けることは、熱中症予防と疲労からの速やかな回復につながります。
朝型勤務(時差出勤やサマータイム)の推奨
施策導入難易度 ☆☆☆
政府は、夏の生活スタイル変革(ゆう活)と題して、始業時間を早める朝型勤務の実施を推奨しています。通勤ラッシュの回避、暑い時間帯を避けた通勤、夕方以降の時間の有効活用などをねらいとする取り組みで、猛暑を乗り切る施策として魅力的な取り組みです。
ただし、「1時間程度出社時間を早めただけでは通勤ラッシュの混雑状況は変わらない」といった声や、長時間にわたって30度超えが続く日も多いことから「時間をずらしても変わらず暑い」という声もあり、適切な時間の設定が難しい施策でもあります。
オフィスの所在地や個々の社員の通勤経路によっても、効果が変わりやすい施策なので、まずは希望者のみの選択制で導入することをおすすめします。また、出社してから始業前に朝食をとることができるよう、おにぎりやバナナなど朝ごはんの提供を行うことで、社員満足度も健康も向上できる施策となるのではないでしょうか。
他方、東京都での時差ビズ施策は、早朝出勤しても終業時間が変わらなければ長時間労働につながるなど賛否両論を呼んでいます。猛暑に負けず生産性を維持・向上させるという目的にあった制度設計が求められるでしょう。
近距離通勤者の支援
施策導入難易度 ☆☆☆☆
オフィス至近に居住する社員に対し、近距離通勤手当を支給する企業が増えています。都内のオフィスの多くは地価が高いエリアに所在しています。会社にできるだけ近いところに住みたいと思っていても、予算の関係で実現できないという社員は多く存在します。
近距離通勤には、会社にもメリットがあります。通勤には気力と体力を使いますが、暑ければなおさら体力を使います。通勤の負担が緩和されれば、気力と体力のパラメータが高いまま仕事にあたることができるということです。
コストがかかる施策ですが、会社の人件費負担という意味では、遠方から通う社員に通勤交通費を支給することも、近距離通勤者に一律の近距離通勤手当を支給することも変わりがないのではないでしょうか。猛暑をきっかけとして、ぜひ検討いただきたい施策のひとつです。
気を付けたいのが、近距離通勤推奨に伴う自転車通勤希望者の発生です。自転車通勤を可とする場合は、通勤途中に事故に巻き込まれる可能性を考慮し、自転車保険加入を義務付けること、路上駐輪を防ぐために駐輪スペースを確保することを検討しましょう。