銀行を次のステップに導く5つのITトレンドとは―アクセンチュア

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アクセンチュアは7月26日、世界のテクノロジートレンドに関する調査レポート「Banking Technology Vision 2018(バンキング テクノロジービジョン2018)」を発表した。ここでは、銀行における創造的破壊の次の波となる、5つのITトレンドを紹介している。
銀行を次のステップに導く5つのITトレンドとは―アクセンチュア

銀行幹部の約半数がデータ品質の検証や確認を十分に行っていない

このレポートはアクセンチュアが毎年発表しているもので、銀行業界の動向についてまとめている。北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域、アフリカ、南米25か国の銀行の経営幹部およびIT部門責任者、約800人を対象にアンケート調査を行い、その調査結果に基づいて作成した。主な回答者は、年商5億ドル以上(大多数の企業は年商60億ドル以上)の企業の上級役職者および部門・部署の責任者である。

今回は、回答した銀行の経営幹部および IT部門責任者の94%(日本では94%)は自行で保有するデータを信頼している一方で、全体の約半数がデータ品質の検証や確認を十分に行っていないことがわかった。

さらに、今回のレポートでは、銀行における創造的破壊の次の波となる5つのITトレンドを紹介している。

銀行を創造的に破壊する次の波となる5つのITトレンド

トレンド1:市民によるAIの活用

まず、一つ目のトレンドとして挙げているのはAIだ。データによると、AIはバックオフィスにとどまらず、行員と一緒に接客など、銀行のフロントオフィスでも活躍する日も近いようだ。ただ、

●「2年後には、AIが協力者兼信頼できるアドバイザーとして、人と一緒に働くようになると考えている」79%
●「従業員と顧客はAIの意思決定で用いられる一般原則を理解すべき」90%
●「AIによる意思決定や行動を透明化する最大のメリットは、顧客からの信頼や信用を得ること」71%
●「接客時のAIの意思決定について完全に透明化する予定である」29%

トレンド2:拡張現実

現在、先進的な考えを持つ銀行では、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の利用を開始しているという。2018年4月に、中国建設銀行で無人の実験的な店舗がオープンした。そこではVRゴーグルを利用した外貨両替などが行えるという。

他行に先駆けた拡張現実ソリューションの採用が重要だと考えている回答者は80%、日本では90%にのぼる。そしてこうした技術が、顧客や従業員との物理的な距離を縮めてくれると、同社は分析する。

トレンド3:データの信憑性

銀行のエコシステム内でデータを統合する際、データ品質が低いと膨大なコストが発生するという。しかし94%の回答者がデータの整合性を信頼している一方で、52%がデータ品質の評価・確認を十分に行っていないという。

データの信ぴょう性を確保するためには、ここが銀行にとって大きな課題となりそうだ。

トレンド4:摩擦ゼロ・ビジネス

さらに、四つ目のトレンドとして摩擦ゼロ・ビジネスを挙げている。今回の調査では多くの回答者が、柔軟性のない古いシステムの問題解消には、マイクロサービスとブロックチェーンの導入が最適だと考えているという。

マイクロサービスとは、AmazonやLINEなども採用している、分割された個々のサービスを組み合わせて1つのサービスを提供する方式である。これにより、システム全体ではなく、個々の変更や開発などを個別に行えるため、柔軟性が高いのが特徴だ。

またブロックチェーンの活用により、送金にかかるコストを大幅に削減できると期待されている。

これについて回答者たちは、「平均で2.6年後には、銀行のバックオフィスではブロックチェーン・システムが始動する」と予想しているという。

実際、44%の回答者は「2年前と比べて、パートナー企業の数は、2倍以上に増加した」と述べている。しかし日本の同回答は19%と低く、グローバルと差が出る結果となっている。

トレンド5:インターネット・オブ・シンキング(Internet of Thinking)

また、最後に、銀行がデジタルと融合した優れた顧客体験を提供するためには、適切なテクノロジー基盤への刷新が必要だとしている。

84%(日本では94%)の回答者は、エッジコンピューティングによって、多くの技術の成熟が促進されると考えているという。

エッジコンピューティングは、デジタル大辞泉によれば、「コンピューターネットワーク上で、利用者に近い場所に多数のサーバーを配置し、負荷の分散と通信の低遅延化を図ること」である。現場のIT資源を最小化し、通信遅延を大幅に減少させることが期待されている。

また、このレポートでは、銀行にとってブロックチェーンは、極めて重要な技術となると強調している。今後3年間で自社にとって重要になる技術にブロックチェーンとスマート・コントラクトを挙げた回答者の割合は、銀行業界がもっとも高かったという。