JR大阪駅「困っている人と支援者をLINEでつなぐ」実証実験スタート

大日本印刷は3日、支援が必要な人と支援者をつなぐ「スマホで手助け実証実験」をJR大阪駅で行うことを発表した。事前にLINEでともだち登録を行い、大阪駅の実験対象エリア内に入ると、LINEを通じて支援要請がやりとりされるしくみだという。

JR大阪駅「困っている人と支援者をLINEでつなぐ」実証実験スタート

「声をかけない」ではなく「かけられない」

平成29年3月に東京都が出した「心のバリアフリーに関する事例収集及び意識調査」によると、車イスの人が段差で困っているなどの光景を「よく見かける」または「たまに見かける」と回答した人は計81.4%であった。

一方で、「積極的に声をかけ、手助けをする」と回答した人は20.5%、「しばらく様子を見る」18.6%、「何もしない」が7.5%であり、すぐに声をかけない人が多くいる。問題はこの人たちが、声をかけないのか、かけられないのか、という点だ。

同調査によれば、「しばらく様子を見る」「何もしない」と回答した人の理由は、4割が「なにをしていいかわからない」というものだった。また「以前断られた」経験が、声かけをためらう理由になっているとの意見もあったという。

これは、電車の座席を譲る際にも、よく聞く話である。気にはしている。でも本音は「声をかけない」ではなく、「かけられない」人が多いのだ。

「スマホで手助け」実証実験とは

大日本印刷と西日本旅客鉄道、ミライロの3社が共同で行う「スマホで手助け」実証実験は、こうした「声をかけられない」課題を、LINEを活用して解決する試みである。

支援の対象となるのは、段差などの障害物により、移動が困難になる高齢者、ベビーカー利用者、車いす利用者、観光案内所などの駅施設や乗換ルートに迷っている訪日外国人や観光客などである。

実験の流れを以下でまとめる。

「&HAND」のLINEアカウントに友達登録を行い、自分が「手助けを必要とする側」か「手助けする側(サポーター)」かを表明する。
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●事前登録を行った人が、JR大阪駅の実証実験対象エリアに入ると「&HAND」アカウントから自動的に対象エリアに入ったと通知が届く。
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●手助けを必要とする人は、LINEのチャットボット(自動会話プログラム)からのメッセージに会話形式で答えていき、サポートの依頼する。
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●サポーターは、LINEのチャットボットを通じて、サポートを必要としている人から依頼が届き、サポートの意思を表示。サポート依頼者がいる場所へ、誘導される。

出典:プレスリリース

また、このチャットボットは、訪日外国人の対応にも使えるよう、英語にも対応しているという。

ここまで紹介して、「こんなものがなくても、困っている人がいたら助ける世の中じゃなくては」と嘆く人もいるだろう。しかし「声をかけられない」のは、日本人の「気遣い」から生まれる小さなためらないなのだ。嘆くより、まずはこのシステムに背中を押してもらい、1人でも行動する人が増えることが重要だろう。

この実証実験、実施期間は2018年8月3日(金)~8月31日(金)まで、10時~20時の間で行われ、対象エリアは、JR大阪駅改札外(中央コンコース、御堂筋南口~桜橋口付近)である。この期間大阪駅を利用する人には、ぜひ実験に参加してほしい。