5. 「何のために学校へ行っているのか」なんて聞かれない
堀江:
ロケットつくろうと思ったら、みんな何します?
坪田:
俺がロケットつくろうと思ったらですか?ペットボトルロケットからつくりますかね
堀江:
それはね、いいほう。めちゃくちゃいいほう。やっぱさすがですね〜。
普通は、高校で一生懸命がんばって勉強して宇宙工学科がある大学に入るわけですよ。大学院くらいまで行っちゃって、6年とか。下手するとドクターまで8年とか9年とか行っちゃって、そのあとJAXAとか三菱重工とか入るわけですよ。でそのうちロケットエンジンの開発に関われるのは、たぶん100分の1以下ですね。
JAXAのロケットなんか、あのLE7ていうH2Aに使われてるロケットエンジン、スタートが1980年代ですからね。それから今やっとLE9とかLEXっていわれてる新しいエンジンを今やっとつくってますけど、数年前から。だからその間の人たちって、新規のロケットエンジンの開発がほぼできない。だから実は運も必要だし、予算切られたら終わりだし。
坪田:
だからなんかこう運が良ければそれにのれるけど、人に決められる人生みたいな感じということですよね。
堀江:
しかも、だから筋がよくないわけ。
だけどゼロ高に来たら、うちのロケットエンジンの現場にすぐ行けるから。で、見てセンスよかったら雇われるから。で、しかもちっちゃい会社だから、見ようと思ったら全体を見れるんですよ。エンジンから構造設計から、自治体との交渉とか、漁協との交渉とか、そういうところまで全部見れるんですよ。これはすごいことですよ。
坪田:
僕ね、現場で生徒さんに話をするなかで一番言われるのって、「何のために学校に行ってるんですかね」とか「何のために勉強するんですかね」っていう目的をめっちゃ聞かれるんですよ。
じゃあ周りの大人はなんて言ってんの?って言ったときに、たとえばそれこそ集団行動を学ぶためとかね、「何のために数学やんの?」「論理的な思考を学ぶため」とか、じゃあ集団行動って別に学校じゃないと学べないのかっていうとそんなことはないし、論理的な思考だってそうじゃないですか。数学じゃなくたって学ぶことってできるはずなんですよ。つまり何が言いたいかっていうと、学校に行っている目的って、すごい遠回しにみんな説明してるんですよね。直でこれっていうのがないんですよ。
だけどゼロ高校だと、たぶん聞かれないと思うんですよ。「何のために学校行ってるんすかね」「いや寿司づくりを学ぶためだろう」みたいな。自分がやりたいことをやる、それを素敵な大人の人たちに学ぶってなったときに、誰も「何のために学校行くのか」ってならないのかなっていう。