攻めるソフトバンク、追い上げなるか | モバイル通信大手3社決算比較【2018年度3月期第1四半期】

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モバイル通信大手3社の2018年3月期第1四半期決算報告が8月6日に揃った。3社すべて増収増益で、KDDIとNTTドコモをソフトバンクが追い上げる形になった。5GやAI、IoTの活用が鍵を握る、大手通信各社のこれからの戦略・見通しを比較した。
攻めるソフトバンク、追い上げなるか | モバイル通信大手3社決算比較【2018年度3月期第1四半期】

モバイル通信大手3社、2018年度3月期第1四半期決算揃う

8月6日をもって、モバイル通信大手3社の2018年度3月期第1四半期決算がすべて発表された。今期は3社すべて、対2017年度第1四半期は増収増益。ソフトバンクがKDDIとNTTドコモを追い上げる形となっており、「AI群戦略」を掲げるソフトバンクグループとのシナジーに期待が寄せられる。

モバイル通信大手3社決算比較まとめ

売上・利益は以下のようになっている。売上ではKDDIがNTTドコモより優位だが、営業利益、当社株主に帰属する四半期利益ではKDDIがNTTドコモに劣る。

続いて、それぞれの決算を背景とともに解説する。

売上(営業収益) 営業利益 当社株主に帰属する四半期利益
ソフトバンク
(国内通信事業)
8,804億
(4.6%)
2,217億
(0.7%)
-
KDDI 1兆2,217億
(1.9%)
2,888億
(2.6%)
1,786億
(3.0%)
NTTドコモ 1兆1,337億
(3.8%)
3,099億
(9.9%)
2,183億
(9.2%)

※()は前年同期比増減率

ソフトバンク、2018年度3月期第1四半期決算

ソフトバンクは8月6日、2018年度3月期第1四半期決算を発表した。国内通信事業の売上高は対前年四半期4.6%増の8,804億円、営業利益が対前年四半期0.7%増の2,217億で増収増益を達成。

Y!mobileやLINEmobile、ソフトバンク光の順調な拡大がその要因と言える。後述するが、ソフトバンクグループの戦略の一環である「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の投資先の日本国内での事業展開と連携も業績に寄与。ソフトバンクグループ全体としては最収益が前年同期の57倍を記録し、投資戦略が成功していると言える。

KDDI、2018年度3月期第1四半期決算

KDDIは8月1日、2018年3月期第1四半期決算を発表した。売上高が対前年四半期1.9%増の1兆2,217億円、営業利益が対前年四半期2.6%増の2,888億円で増収増益を達成。

増収増益の要因としてはauピタットプランの累計契約数が800万を突破し、解約率も下がったことで通信事業が順調な成長を見せ、auライフデザイン事業も好調に進歩していることが挙げられる。

NTTドコモ、2018年度3月期第1四半期決算

NTTドコモは8月2日、2018年度3月期第1四半期決算を発表した。営業収益が対前年四半期3.8%増の1兆1,337億円、営業利益は対前年四半期9.9%増の3,099億円を記録し、増収増益。

ドコモ光契約数の500万突破と、dポイントカード登録数が1.7倍に伸びたことが今期の結果につながったといえそうだ。

モバイル通信大手、各社今後の戦略

上場に向けたソフトバンクの戦略と見通し

通信事業を担うソフトバンク株式会社は上場準備のため、利益だけに固執しない体制をとっている。結果2017年度は全体として利益が落ちたもののY!mobileやソフトバンク光の順調な拡大により、ヤフー事業とのシナジーも相まって増収増益につながると見込まれている。

ソフトバンクグループの「AI群戦略」

ここ数年で大きな躍進を見せているソフトバンクグループはAIサービスのシェア奪取を見越した「AI群戦略」により、戦略的持株会社の側面を強化。中国のライドシェア企業「DiDi」やインドのホテル予約サイト運営企業「OYO」、アメリカの建設テックスタートアップ「Katerra」などグローバルかつ多業界への投資とビッグデータ活用の姿勢を強化する。

米国での加入者数4位の携帯電話事業会社で子会社のsprintは119年の歴史の中で最高の営業利益を叩き出し、これからも安定した収益基盤になると予測されている。

5Gシェア奪取なるか?KDDIの戦略と見通し

KDDIはIoT・5Gに注力していく戦略を示している。IoT分野では企業の海外展開を支援するための世界共通のグローバル通信プラットフォーム構築を「IoT世界基盤」と題し表明。2019年までの商用化を目指す。

5G関連のサービスとしては、動画で任意の箇所をズームすると映像と一緒に音もズームされて明瞭に聞こえる「音のVR」や、小笠原諸島を遠隔で観光できる旅行体験イベントを提供予定だ。

また、Netflixとの提携により有料動画サービス利用のハードルを解消し、通信とライフデザインを融合した「体験価値の向上」を目指す。

dポイント経済圏確立を狙うNTTドコモの戦略と見通し

キャリア契約数日本1位の基盤を持つNTTドコモは、AIを活用したロボアドバイザー投資やキャッシュレス決済などのFinTechサービスの拡充を目指す。主力事業であるdポイントのサービス向上によるマーケット拡大を実現し、dポイント経済圏の創出も狙っているようだ。

2018年7月26日には「ドコモ5Gオープンラボ」でパートナー企業・団体への5G技術検証環境の無償提供を開始した。これはサービス創出機会の加速を図る取り組みで、参加企業・団体数は1,500社を突破。

モバイル通信業界、この先の展望は

大手通信キャリア3社の動向からもわかるように、これからの通信業界はAIやIoTなどのテクノロジー領域への投資・開発を通じて通信技術だけでないサービスの提供が求められている。

その中でもソフトバンクは投資戦略事業と携帯電話事業の相互作用を狙い、KDDIとNTTドコモは5G戦略と体験価値の向上に重きを置いている。テクノロジー領域での投資・開発競争が優劣を分ける主要因となっていくのは間違いないだろう。