銀行での本人確認を1本化「金融庁FinTechハブ」初の実証実験

公開日:
2017年に金融庁が設置した「FinTech実証実験ハブ」において、第1号の実証実験が行われ、その結果が公表された。ブロックチェーンに本人確認の情報や取引情報を記録させ、他の金融機関での本人確認を省くことを可能にするための同実証実験。みずほファイナンシャルグループ、三井住友ファイナンシャルグループなど12の金融機関などが参加し、4か月にわたり行われた。
銀行での本人確認を1本化「金融庁FinTechハブ」初の実証実験

金融庁の「FinTech実証実験ハブ」とは?

2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」で重点戦略のひとつに位置づけられている FinTech・フィンテック。

しかし企業が革新的な フィンテックサービス展開をする際、必ずリスクになるのが、法令遵守や監督対応上の問題だという。そこで、そのリスクを明らかにするため、金融庁は2017年9月「FinTech実証実験ハブ」を設置。実証実験がスムーズに行えるしくみをつくったのだ。

同ハブでは、フィンテック企業や金融機関などが実証実験を通じて整理したい論点に対し、実験ごとに金融庁内の担当チームを組織し、継続的な支援を行うという。

そしてこのハブでの実証実験第1号案件の結果が、今年7月に公開された。どんな成果が得られたのか、紹介していこう。

ブロックチェーンを活用した銀行間での情報共有

この実験では、ブロックチェーン技術を用いて、顧客の本人確認手続きを金融機関共同で実施するシステムの構築を検討したという。

つまり顧客は、この実験に参加する金融機関の1つで本人確認を済ませれば、他の金融機関で新規取引の際は本人確認がいらない。非常にユーザーメリットの高い取り組みである。

実験は、2017年11月から2018年3月まで、以下の金融機関などが参加して行われた。

みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、デロイト トーマツ グループ、SMBC日興証券、大和証券、千葉銀行、野村證券、福岡銀行、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券

また実験の流れは、以下のとおりである。

1.まず顧客が、共同運営機関(コンソーシアム)に必要な本人特定事項を登録

2.コンソーシアムは、経済制裁対象者リストなどに照らしてフィルタリング/スクリーニングを実施。該当がない場合、その旨をブロックチェーン上に記録

3.顧客が金融機関Aにおいて取引を実施しようとする際は、コンソーシアムから金融機関Aに顧客の情報を引渡し。金融機関Aが顧客の本人確認を実施するとともに、上記情報を参考に取引可否を判断 (顧客の本人確認時にブロックチェーン上の記録に誤りがあることが判明した場合には、コンソーシアムで1の手続きを実施)。

4.金融機関Aは、口座開設などの取引を実施した場合には、コンソーシアムを介して、ブロックチェーン上の顧客情報に実施した取引内容を記録

5.顧客が金融機関Bにおいて取引を実施しようとする際は、コンソーシアムから金融機関Bに顧客の情報を引渡し。金融機関Bは、コンソーシアムを介して顧客が金融機関Aで本人確認済みであることを確認する(なお、その際、顧客が同様の取引を様々な金融機関で実施していないかなど、ブロックチェーン上に記録された当該顧客の取引履歴を参照し、なりすましのおそれがないかどうかを検証)。

引用:プレスリリースより

金融庁は、この実験にあたり各種法令解釈についてを関係省庁に確認し、情報提供したという。

たとえば「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令」第13条における、「金融機関Bが金融機関Aに委託して顧客と取引を行う場合、金融機関Aが既に当該顧客の本人確認を実施していれば、再度の本人確認は不要である」旨の規定について。

この「委託」の法令解釈は、「契約締結権まで委託せず、本人確認のみ委託する」ことが含まれるという。

結果として、本人確認に対して技術的には十分に運用可能であると明らかになったという。一方で、コンソーシアムのあり方については、チーム体制や必要なスキルなどについて、課題も残ったという。

この結果をうけ、今後さらに本人確認事務の共同化に関して、研究が進められる。