iPhoneの次はHomePod 「1兆ドル企業」アップルはスマートスピーカーで新時代へ

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アップルの時価総額が1兆ドルを超えた。その直前に発表した四半期決算の内容も良く、同社に死角はないように思える。しかし、スマートフォンとタブレットの市場は頭打ちで、PC市場も振るわない。アップルにとって1兆ドル企業という状態は、単なるピークなのか、それとも成長途中の通過点なのか。新時代を左右するキーデバイスは、スマートスピーカー「HomePod」だ。

iPhoneの次はHomePod 「1兆ドル企業」アップルはスマートスピーカーで新時代へ

米国初1兆ドル企業、だが手放しでは喜べない

アップルの株価が上昇した影響で、8月に入って同社の時価総額は1兆ドル(約111兆円)を超えた。米国の上場企業としては、初の1兆ドル企業誕生だそうだ。この上昇は、7月31日に発表された2018会計年度第3四半期(2018年4月から6月期)決算の内容が良かったことと、9月に発売される見通しの新型「iPhone」に対する期待の高さがもたらしたのだろう。

ただ、スマートフォンの販売は世界的に頭打ちだ。もちろん、新興国や発展途上国の伸びしろは残っている。しかし、iPhoneのような高価格モデルの主力市場である先進国は、スマートフォンが普及しきっていて、パイの拡大は見込めない。第3四半期の決算データをみると、初代iPhone発売から10周年を記念したハイエンドモデル「iPhone X」の効果か売上高は前年同期比20%増だが、販売台数の増加はわずか1%にとどまった。

アップルが「iPad」で大きく他社を引き離しているタブレット市場は、スマートフォン市場よりも縮小傾向が強く、先行き不透明だ。前年同期に比べ、販売台数は1%増、売上高は5%減という状況。

「Windows」が圧倒的多数のPC市場でAppleは「Mac」で孤軍奮闘しているものの、多くは望めない。販売台数が前年同期比13%減、売上高が同5%減で、芳しくない。

「App Store」「Apple Music」といったソフトウェアやコンテンツの配信事業は売上高が前年同期比31%増と好調だが、それだけではこれ以上の拡大は困難だ。

アップルには、iPhoneやiPad、スマートウォッチの「Apple Watch」といったデバイスで実現させたような、新たな市場を作り出すパワーが必要だ。

デバイス別にみる競合ベンダーとアップルの力関係

それでは、アップルが販売している主なデバイスについて、IDCの調査レポートから各市場と競合ベンダーの状況をみてみよう。

スマホ市場:世界3位転落

2018年第2四半期の世界スマートフォン市場は、出荷台数が3億4,200万台だった。大きな数字であるが、前年同期の3億4,820万台から1.8%減っている。これで3四半期連続の市場縮小だった。

アップルの出荷台数は4,130万台で、市場シェアは12.1%。前年同期の4,100万台に比べると、台数は0.7%しか増えていない。これまでアップルの順位はサムスン電子(Samsung Electronics/韓国)に次ぐ2位だったのだが、今回ファーウェイ(Huawei Technologies/中国)に抜かれ3位へ転落してしまった。

ちなみに、1位のサムスンは7,150万台(シェア20.9%)で前年同期比10.4%減、2位のファーウェイは5,420万台(シェア15.8%)で同40.9%の大躍進。また、4位に入ったシャオミ(Xiaomi Technology/中国)は3,190万台(シェア9.3%)で同48.8%と、アップルへ迫っている。

タブレット市場:アップル優勢だが全体的に縮小

同じく2018年第2四半期の世界タブレット市場は、出荷台数3,300万台で、前年同期の3,820万台に比べ13.5%少なくなった。上位5社のなかで出荷台数を増やせたのは、アップル(0.9%増)とファーウェイ(7.7%)だけで、増加幅も小さい。

1位はアップルの1,150万台(シェア34.9%)で、2位サムスンの500万台(シェア15.1%)をダブルスコアで引き離した。3位はファーウェイの340万台(シェア10.3%)。

なお、2位のサムスンは前年同期比16.1%減、4位のレノボ(Lenovo/香港)は同8.4%減、5位のアマゾン(Amazon.com/米国)は同33.5%減、その他ベンダー合計は同27.1%減という状態なので、タブレット市場は縮小しているが、アップルの地位は安泰だろう。

PC市場:大手Windows機メーカーの寡占化が進む

2018年第2四半期の世界PC市場は、出荷台数6,226万9,000台で、前年同期の6,062万4,000台から2.7%多くなった。出荷台数の横ばいが3四半期続いていたが、やや持ち直した形だ。

同市場において、アップルは出荷台数430万8,000台(シェア6.9%)で4位に入る健闘をみせた。ただし、出荷台数の増加は前年同期に比べわずか0.1%。

1位から3位は、HP(米国)(1,486万4,000台、7.6%増、シェア23.9%)、レノボ(1,375万5,000台、5.4%増、シェア22.1%)、デル(Dell Technologies/米国)(1,125万5,000台、9.0%増、シェア18.1%)で、寡占化が進んでいる。

スマートウォッチ市場:他社との差が小さくなる

スマートウォッチについては第2四半期のデータが見当たらないので、ウェアラブル・デバイス市場の出荷台数予測レポートを参照した。

それによると、スマートウォッチ市場は「watchOS」を搭載するアップルの「Apple Watch」シリーズが優勢。2018年の出荷台数を2,020万台と予想しており、グーグルの「WearOS」(旧名称「Android Wear」)を搭載する各社デバイスの540万台、同じくグーグルの「Android OS」を採用する各社デバイスの800万台を大きく上回る見通し。

一方、2018年から2022年にかけての年平均成長率(CAGR)は、watchOSが+14.3%、Wear OSが+38.0%、Android OSが+21.3%とされた。アップルと他社の差は小さくなりそうだ。

今後はスマートスピーカーに期待

Mac(かつては「Macintosh」)、iPhone、iPad、Apple Watchと革新的な製品を提供してきたアップルだが、今後はどうだろう。

新型iPhoneのお披露目が毎年9月の恒例行事だが、うわさでは有機ELディスプレイを搭載するiPhone Xの後継モデルが登場するとされ、革新的な新製品というよりも、正常進化どまりだろうか。iPadやApple Watch、「MacBook」に関しても、驚くような情報は流れて来ない。

発売が期待されているものとして、無線充電規格Qi(チー)に対応し、各種iPhoneとApple Watch、Bluetooth対応ワイヤレス・イヤフォン「AirPods」用ケースを同時にワイヤレス充電できる「AirPower」はある。もっとも、便利な充電台に過ぎず、インパクトは小さい。

そのなかで、アマゾン1強のスマートスピーカー市場で2018年2月発売の「HomePod」が6%のシェアを奪ったことは、注目に値する。同市場は順調に拡大するとみられ、これからのアップルを担う可能性すらある。ただ、新型HomePodのリリースは2019年と考えられ、この9月に大きな発表はないだろう。

このように、現在は絶好調のアップルだが、次の一手に物足りなさを感じる。この状態だと、現状維持できても大きな成長は難しい。今まで想像もしなかった新しいデバイスで我々を何度も驚かしたアップルには、ぜひ良い意味で予想を裏切ってもらいたい。スマートスピーカーは、アップルを支えるキーデバイスになるかもしれない。

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