SMARTの法則(スマートの法則)とは?効果的な目標設定のための5つのポイント

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記事の情報は2018-08-22時点のものです。

時代遅れといわれながらも、今もなおさまざまなビジネスシーンで目標設定のために使用されているフレームワークが「SMARTの法則(スマートの法則)」です。目標を達成するための5つの成功因子の頭文字をとって「SMART」と名付けられており、SMARTの法則を用いてゴールを設定することによって、行動に移しやすく、モチベーションを維持しやすく、PDCAも回しやすい目標をつくることができます。
SMARTの法則(スマートの法則)とは?効果的な目標設定のための5つのポイント

成長に目標設定が欠かせないワケ

会社や個人が成長するためには目標設定が欠かせません。何か目標を達成するための行動方法として「PDCAサイクル」が知られていますが、実はPDCAを回す前提としてどのように目標を立てるかということが、非常に重要です。

目標がきちんと立てられていないと行動に移せないし、行動したあとの効果検証、改善も行えません。そして、目標設定の際によく用いられるのが「SMARTの法則」です。SMARTの法則が発表されて30年以上が経過していますが、今もなお目標設定において有効とされているフレームワークです。

達成のための目標を設定する「SMARTの法則」

SMARTの法則は、1981年にジョージ・T・ドラン氏の論文の中ではじめて発表されました。経営コンサルタントなどが目標設定を行う際に使用されて、さまざまな「亜種」も開発されました。

SMARTとは、目標達成を実現するための5つの成功因子「Specific」「Measurable」「Achievable」「Relevant」「Time-bound」の頭文字をとって名付けられています。

SMARTの法則は時代遅れであるという指摘もありますが、その内容は普遍的で現代のビジネスパーソンの目標設定にも十分に利用可能なフレームワークです。

「SMARTの法則」を徹底解説

ではSMARTの法則を5因子「Specific」「Measurable」「Achievable」「Relevant」「Time-bound」に分解し、SMARTの法則を利用して目標設定する際に気をつけるべきなのついて説明します。

Specific(具体性)

まずSMARTの法則のSは「Specific」を表します。Specificとは日本語で具体性のことを指します。

目標設定は具体的に行う必要があります。たとえば、一流のビジネスマンになるという目標を立てたとしても、一流のビジネスマンとは何なのかが定義できなければ何をすれば良いのかわかりません。一流のビジネスマンになるという目標を、「経済新聞に毎日、目を通す」「出会った人のプロフィールはきちんと記録する」といった具体的な行動目標にする必要があります。

漠然とした目標ではなく、明確で具体的な目標を設定することによって、パフォーマンスの向上が期待できます。

Measurable(計量性)

SMARTの法則のMはMeasurable、すなわち計量性のことを指します。

目標設定は計量的に行う必要があります。たとえば会社で一番の営業マンになるという目標を立てたとしても、会社一とは売上金額、成約件数、収益額、顧客満足度など、何で一番になるのか決めなければPDCAを回せません。

仮に「売上金額」で会社一の営業マンになると目標を設定したとして、そのためには何億円の売上が必要か、現状は何千万円なのか、そのギャップを埋めるためには何をしなければならないのかということを考えられるようになってはじめて、PDCAを回せます。

Achievable(達成可能性)

SMARTの法則のAはAchievableを表します。Achievableとは日本語で達成可能性のことを指します。

目標を設定する際にあまりにも非現実的な目標を設定すると、うまくはいきません。たとえば、1日3冊ビジネス書を読むという目標を立てたとして、1冊のビジネス書を読むのに3時間かかるのであれば、その人は1日9時間本を読むことになります。仕事をしている時間と寝ている時間以外ずっと本を読んでいなければこの目標は達成できないので、おそらく実現は難しいでしょう。そして、途中で目標が達成できないことに気づいてまったく本を読まなくなるかもしれません。

達成不可能な目標を設定して、後から目標達成不可能なことに気づくとモチベーションが低下して、だんだん行動しなくなります。目標を設定してモチベーション高く行動するには達成可能な目標を設定する必要があります。

Relevant(関連性)

SMARTの法則のRはRelevant。すなわち、関連性のことを指します。

目標を設定する際は、その目標を達成するとことが何につながっているかを意識すると、モチベーションを高め、また維持しやすくなります。

たとえば1か月に30件成約を獲得するという目標を達成したとしても、営業していて嫌なことがあればモチベーションは低下していきます。このときに、30件成約を獲得するとこのくらいのインセンティブがもらえる、そのインセンティブがあれば何が買えるというように自分のメリットについて考えれば、再びモチベーションを高め、維持できるのです。

Time-bound(期限)

SMARTの法則のTはTime-boundを表します。Time-boundとは日本語だと「期限を定めること」を指します。

目標を達成する期限を決めないと具体的な行動を決定できません。たとえば、1,000万円の売上を作るという目標を設定したとして、期限が決まっていなければ具体的な行動に移せません。1週間以内に1,000万円の売上を作らないといけないのなら既存顧客で売れそうな先を探して急いで交渉する必要がありますし、半年以内なら新規顧客開拓のセミナー営業などのマーケティングの企画からはじめても間に合うかもしれません。

また、期限を決めていない目標は、いつか頑張ると自分の中で言い訳をして、結局目標達成のための具体的に行動しない可能性もあります。

「SMARTの法則」が効く理由

以上のようにSMARTの法則を成功の5因子をベースに説明してきました。SMARTの法則にしたがって目標を立てると、立てた目標を実際の行動ベースに落とし込みやすく、行動に対するモチベーションも維持しやすくなります。

よって、SMARTに目標を設定すると、その目標は達成しやすくなるのです。

「SMARTの法則」の応用形

SMARTの法則には、前述した5要素「Specific(具体性)」「Measurable(計量性)」「Achievable(達成可能性)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期限)」以外にも、さまざまな応用形があります。SMARTの法則にはどのような応用形があるのかについて説明します。

Aのバリエーション

まずは、SMARTの法則の「A」の応用形です。Achievable(達成可能性)にかわり、次のように説明される場合もあるようです。

Attainable:目標に到達できるか
Agreed upon:同意は取れているか
Action-oriented:行動を促せるか

Rのバリエーション

Aと同じくRにもバリエーションがあります。SMARTの法則RはRelevant(関連性)であると説明しましたが、ほかにも、次のようなパターンがあります。

Realistic:現実的な目標であるか
Reasonable:合理的な目標であるか
Rewarding:やりがいのある目標設定になっているか

目的に応じて使い分けることが大切

SMARTの法則の「A」と「R」のバリエーションを紹介しましたが、正解が決まっているわけではありません。設定すべき目標で何を明確にしなければならないのかによってSMARTの法則に求められる目標設定のルールも変わります。

目的に応じて、柔軟にSMARTの成功の5因子を使い分けて目標を設定する必要があるでしょう。

「SMARTの法則」で効果的な目標設定を

目標達成のためには、まずは適切な目標を設定しなければなりません。

SMARTの法則は目標やゴールを設定する際に有効なフレームワークです。本記事では、SMARTの法則について、「Specific」「Measurable」「Achievable」「Relevant」「Time-bound」の5つの頭文字をとったフレームワークとして説明しましたが、論者によってこのフレームワークは更新されており、さまざまなバリエーションが存在します。

自分の目的に応じて適切なSMARTの法則のフレームワークを採用し、使いわけていくとよいのではないでしょうか。