条件付き書式で素早く見やすい資料に
スプレッドシートの条件付き書式を使えば、自動で背景色やフォントを変更できます。人間の手を介さないので、時短とミス削減に大きく貢献します。
そんな条件付き書式のうち、行全体の色付け方法や知っていると得するテクニック、カスタム数式による条件設定などを解説します。これを機に条件付き書式をマスターしましょう。
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条件付き書式とは
条件付き書式とは、条件を満たした場合のみ設定される書式です。「完了」のときだけ灰色にしたり、「2018/9/1」を過ぎていたら赤色にしたりできます。
まずはシンプルな設定方法を解説します。
2. 「セルの書式設定の条件」を「完全一致するテキスト」
3. 「書式設定のスタイル」を設定し、「完了」
1. 範囲を選択して「条件付き書式」
書式設定したいセルを選択した状態で「条件付き書式」を選択します。セルの範囲は後から変更できますが、先に選択しておけば、設定が1段階減るので楽できます。
2. 「セルの書式設定の条件」を「完全一致するテキスト」
一つ目の赤枠「空白ではないセル」をクリックして、「完全一致するテキスト」に変更します。条件に適していれば他の選択肢でも問題ありません。
3. 「書式設定のスタイル」を設定し、「完了」
赤枠内から選べば簡単に書式設定できます。細かい設定は、「B」や「I」、ペンキから調整しましょう。
- B:太字
- I:斜体
- U:下線
S:打ち消し線- A:文字色を変更
- ペンキ:背景色を変更
行全体の色変更
上の条件付き書式では、当てはまるひとつのセルにしか書式設定できませんでした。しかし、別の方法を使えば当てはまる行をまとめて書式設定できます。
2. 「セルの書式設定の条件」を「カスタム数式」
3. 「書式設定のスタイル」を設定し、「完了」
1.範囲を選択して「条件付き書式」
2.「セルの書式設定の条件」を「カスタム数式」
カスタム数式以外を選ぶと行全体を色付けできないので、注意しましょう。
3.「書式設定のスタイル」を設定し、「完了」
「範囲に適用」を「A:B」に変えれば、B列のどこかに「未着手」「完了」「作業中」を入力したとき、自動で色が変化します。
条件付き書式のテクニック
書式順番の並べ替え
条件付き書式は、通常の背景色設定やフォント設定より優先されます。これを解消するには、通常の設定も条件付き書式にするのが簡単です。
しかし、条件付き書式同士でもうまく反映されないケースがあります。なぜなら、条件付き書式設定は、古い設定から優先されるためです。これを変更するには、設定の並び替えが有効です。
下の設定では、C2:C6の背景色を灰色にしたいのですが、現在は異なる色に設定されています。これらを灰色にするには、灰色に変更する書式設定を上に移動させましょう。
条件付き書式のみ貼り付け
通常のコピペでも、条件付き書式を貼り付けられます。しかし、条件付き書式だけをコピペしたいとき、どうすれば良いのでしょうか。
まず、通常どおりコピーしましょう。
注意するのは、貼り付けるときです。「特殊貼り付け」>「条件付き書式のみを貼り付け」を選びましょう。これで、条件付き書式だけを貼り付けられます。
範囲をマウスで指定
「範囲に適用」を指定する際、あらかじめ選択するのが簡単だと解説しました。しかし次の方法でも容易に指定できます。入力欄の右側にある「マス目マーク」を選択しましょう。
ポップアップが表示されます。この状態でセルを選択すると、選択した範囲が、文字で入力されます。これならスプレッドシートの操作に慣れていなくても心配不要です。
条件付き書式の種類
条件付き書式は、大きく分けて「単一色」と「カラースケール」の2種類があります。
単一色
それぞれのセルを判定して、書式を設定します。たとえば、A1のセルは赤色に塗ったり、B1は青色に塗ったり、それぞれのセルごとに色付けを検討します。
カラースケール
複数のセルを相対的にみて、書式を設定します。たとえば、A1:A20で比較して、相対的に値の大きなものには濃い緑色、小さな値は白色、その間はグラデーションといった具合です。
条件付き書式のカスタム数式
カスタム数式は「セルの書式設定の条件」で選択します。
ここから先は難しいので、詳しく解説します。
マストで「=」
カスタム数式は最初に「=」を入力してください。カスタム数式はスプレッドシートの関数とよく似ていますが、「=」の入力も似ている点のひとつです。忘れずに入力しましょう。
下のように最初に「=」をいれてください。
この式は「F4(相対参照)に完了と入力されたら、書式を適用します」という意味です。相対参照は難しい概念なので、絶対参照とあわせて確認します。
絶対参照の「$」
「$」は、右にあるアルファベットや数字を絶対参照にします。わかりにくいと思うので、例を用いて解説します。D8とE8のセルには以下のように関数を入力しています。
E8「=SUM(B$48:C$48)」
どちらもB48とC48をたしていますし、計算結果は同じです。しかし、オートフィルを使うと結果が異なります。
$を使ったE列は、3しか並んでいません。これが$による絶対参照です。絶対参照で何がなされているのか詳しく見ていきましょう。D48とE48には先ほど紹介した関数が入力されています。
これをオートフィルすると以下のようになります。$はオートフィルした際に右側にある値を固定させます。E48は$の右にそれぞれ「48」があるので、オートフィルしても48は固定されたままになったというわけです。
$の特性をさらに掘り下げます。$のつき方で4つのパターンに分類し、ひとつずつ解説します。
- A1型
- $A$1型
- $A1型
- A$1型
A1型
$がひとつもついていない、相対参照のパターンです。セルがひとつズレるごとに参照元もひとつずつズレます。
(下の表は「範囲に適応」をA1:D4にした場合です。)
A | B | C | D | |
---|---|---|---|---|
1 | A1参照 | B1参照 | C1参照 | D1参照 |
2 | A2参照 | B2参照 | C2参照 | D2参照 |
3 | A3参照 | B3参照 | C3参照 | D3参照 |
4 | A4参照 | B4参照 | C4参照 | D4参照 |
使い方例
$A$1型
アルファベットにも数字にも$がついた絶対参照です。この場合、すべてのセルにおいて「A1($A$1)」の結果が反映されます。
A | B | C | D | |
---|---|---|---|---|
1 | A1参照 | A1参照 | A1参照 | A1参照 |
2 | A1参照 | A1参照 | A1参照 | A1参照 |
3 | A1参照 | A1参照 | A1参照 | A1参照 |
4 | A1参照 | A1参照 | A1参照 | A1参照 |
使い方例
E3が「完了」なので、すべてのセルが緑色になっています。
$A1型
アルファベットを絶対参照にしています。冒頭で紹介した、行全体の背景色変更もこれを応用しています。「使い方例」のように、特定のアルファベット(例ではE列)を入力すれば、その列でTRUEかFALSEかを判断します。
A | B | C | D | |
---|---|---|---|---|
1 | A1参照 | A1参照 | A1参照 | A1参照 |
2 | A2参照 | A2参照 | A2参照 | A2参照 |
3 | A3参照 | A3参照 | A3参照 | A3参照 |
4 | A4参照 | A4参照 | A4参照 | A4参照 |
使い方例
E列が「完了」のとき横の行も緑色になります。A列やB列も、E列の結果を参照しているためです。
A$1型
行全体ではなく列全体で書式設定をします。使う機会はなさそうですが方法のひとつとして紹介します。
A | B | C | D | |
---|---|---|---|---|
1 | A1参照 | B1参照 | C1参照 | D1参照 |
2 | A1参照 | B1参照 | C1参照 | D1参照 |
3 | A1参照 | B1参照 | C1参照 | D1参照 |
4 | A1参照 | B1参照 | C1参照 | D1参照 |
使い方例
AND, OR
ANDは「xxxxxかつyyyyy」の複合検索、ORは「xxxxxまたはyyyyy」の複合検索ができます。ANDとORの使い方は一緒なので、ANDで解説します。
条件1と条件2に適当な条件を入力します(「$E2="完了"」など)。ANDは両方の条件を満たしたもののみ、ORは少なくとも片方の条件を満たしたものに書式を適用します。
使い方例
豊富な関数
カスタム数式は関数も使えます。ただし、使える関数は答えがTRUEかFALSEになるものだけです。答えがTRUEとFALSE以外になる場合は、うまく調整しましょう。以降で解説するWEEKDAY関数も、答えが数字なので調整の参考になるでしょう。
WEEKDAY()
WEEKDAY関数は()内の日付が何曜日か判断して数字を返します。
曜日 | 数字 |
---|---|
日曜日 | 1 |
月曜日 | 2 |
火曜日 | 3 |
水曜日 | 4 |
木曜日 | 5 |
金曜日 | 6 |
土曜日 | 7 |
ただし、WEEKDAY関数をこのまま使ってもカスタム数式は反応しません。カスタム数式はTRUEかFALSEにしか反応しません。そのため下の例のように、「=数字」を使いましょう。
使い方例
「=7」は土曜日なので、青文字にしました。書式設定のスタイルを変更すれば、文字色を青にしたり、背景色を青にしたりできます。
日曜日も同様です。ポイントは「=数字」の形にする点です。
条件付き書式が大活躍
条件付き書式を網羅する勢いで解説しました。
条件付き書式を活かせれば、自動で背景色や書体を変更できます。
他のシステムと連携すれば、入力の手間を大幅に省けるので、設定に挑戦してみましょう。
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