CHRO(最高人事責任者)とは?定義・社内の役割・必要なスキルを解説

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記事の情報は2018-09-10時点のものです。

CHROは「Chief Human resource Officer」の略称で、日本語では最高人事責任者と訳されます。近年注目を集めているCHROの定義や社内の役割、求められるスキルについて詳しく解説します。
CHRO(最高人事責任者)とは?定義・社内の役割・必要なスキルを解説

CHRO(最高人事責任者)とは

CHROは、「Chief Human resource Officer」の頭文字をとった略称です。日本語では、最高人事責任者と訳されます。

CHROは、CEOやCOO、CTOといったCxOの形式で表現される「チーフオフィサー」の一つです。CxOは、社長の権限と責任の一部を移譲され、特定の分野について全社に対する指揮命令権限を有する役割を担います。

一言でいえば、経営陣の中で人事関連の業務を統括する責任者のような位置づけです。

企業が業績を上げるためには、経営戦略を実現するための強い組織作りが欠かせません。CHROは、経営陣の中でも人材や組織、文化づくりの観点から経営を支える重要なポジションなのです。

CHROと人事部長の違い

CHROと人事部長との大きな違いは、経営に参画する権限の有無です。CRHOはこの権限を有しており、経営陣として人事戦略を策定・実行する役割を担います。

一般的に人事部長は、人事労務分野における管理・オペレーションが主業務で、経営に参画しないケースが多いとされています。

一方でCHROは、人事部長よりも権限が大きく、経営陣の考えるビジョンやミッション、行動指針に基づいて、人事に関するさまざまな戦略を立てて実行する存在です。

CHROに求められる役割

CHROは、企業において次のような役割を求められます。

人事戦略の立案

CHROの重要な業務の一つが、人事戦略の立案です。

CHROは経営陣として人事戦略の立案を行います。人事戦略は企業が目指している目標や経営戦略など、さまざまな要因によって決定されるので、内部環境や外部環境の変化を捉え、柔軟に対処する必要があります。

CHROはこのような要素をもとに組織のあるべき姿を考え、それを実現のための採用や組織改編などの戦略を考えるのです。

事業成果の予測

事業成果の予測を行うこともCHROの仕事です。CHROは事業予測を行ったうえで、早めに人材を採用したり、組織を改編したりする必要があります。

予測をしながら組織を改編することで、判断の遅れによって発生する、機会損失を防ぎます。また、事業成果を予測するために組織のパフォーマンスをどのように測定、改善していくのかというKPI設計を行うのも、CHROの役割です。

企業文化の浸透

企業文化を組織に浸透させることも、CHROの重要な役割です。

企業と社員、あるいは社員同士が信頼し合うことは、組織のパフォーマンスを向上させるために欠かせません。企業文化を浸透させるためには、CHRO自身が価値観を言語化して発信し続けたり、社員の声に耳を傾けたりする必要があるでしょう。

なぜ企業にCHROが必要なのか

なぜCHROが注目を集めているのでしょうか。企業経営におけるCHROの重要性について説明します。

経営と現場のミスマッチを解消する役割を担う

企業活動において、人は欠かせない重要な経営資源です。労働人口が減少し、人手不足が叫ばれるなかで、優秀な人材を獲得することは重要な経営課題の一つです。

CHROは、経営陣と現場の橋渡しをするのが大きな仕事です。経営陣と従業員の間に立ち、それぞれとコミュニケーションをとることで、経営と現場のミスマッチを解消するという重要な役割を担っているのです。

CHROに求められるスキルとは

CHROは、経営と現場のミスマッチを解消する重要な役割を担います。この職務を全うするには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。

経営者的な発想・センス

CHROは経営戦略に基づき人事戦略の策定します。そのためには、企業の経営を理解し、実行するための発想やセンスが必要です。

人事労務への知識経験

加えて、人事労務の知識や経験も必要になります。CHROが立てた組織や採用の戦略は、人事部が実行できるような落とし込みが必要になります。

人事労務の知識が無いと、現場に落とし込めないような意味のない戦略が立てられがちです。実際に実行できる戦略を立案するためには、人事労務のプロフェッショナルとしての知識や経験が求められるのです。

戦略の立案能力

CHROには、企業の経営戦略を理解し、最適な人事戦略を立案する能力も求められます。

ただ人事労務のオペレーションを回すだけではなく、常にあるべき組織体制やそこで働く人材とその教育方法、必要な人材の採用方法を考えて、実現に近づけるのがCHROの仕事です。

コミュニケーション能力

CHROには、コミュニケーション能力も必要です。組織の最適化や従業員のモチベーション維持のためには、社員と面談したり、経営者へ提案したりと社内調整的な仕事も多くなります。

CHROの役割を上手く果たすためには、従業員と上手にコミュニケーションを取れる必要があるのです。

優秀なCHROの存在が企業組織を強くする

CHROは、企業経営を理解したうえで組織のあるべき姿を導き出し、人材の採用、育成、評価について戦略を構築する。そして、従業員を適切にマネジメントして組織を活性化させる重要な役職です。

と同時に、経営陣と現場の間に立ち、企業の方針や戦略を現場に落とし込む役割を担います。

厳しい経営環境下で組織を成長させるためには、経営者の考えを理解でき、人事部長よりもさらに経営に近い立場で人事戦略に携わるポジションが必要です。その重要な役割を果たすのがCHROなのです。