ふるさと納税は利用拡大も、返礼品至上主義に課題あり

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クロス・マーケティングは、47都道府県に在住する20歳~69歳の男女を対象に「ふるさと納税に関する調査」を実施、8月28日にその結果を発表した。それによると、ふるさと納税の認知度は高く、広く知られていることがわかった。
ふるさと納税は利用拡大も、返礼品至上主義に課題あり

応援したい好きな自治体へ寄付するふるさと納税

地方創生が叫ばれる中、ふるさと納税が注目を集めている。ふるさと納税とは応援したい好きな自治体へ寄付する仕組みのこと。寄付したお金は所得税と住民税から控除されるうえに、肉類や海産物、果物など地域の特産物が返礼品としてもらえるという制度である。

総務省が7月27日発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によれば、 平成30年度課税における控除額は約2,448億円(対前年度比約1.37倍)、控除適用者数は約296万人(同:約1.30倍)となっており、ふるさと納税利用者は増加傾向だ。

しかし一方で、都市部を中心に住民税流出による財政悪化を懸念する声もあがりはじめている。また、過剰な返礼品の競争を抑制するため、総務省が通達を出す事態も起きている。2015年度に減税対象となる寄付額が約2倍に引き上げられたのをきっかけに、豪華な返礼品で寄付を募る自治体が続出しているのだ。

今後ふるさと納税はどのよう広がり、定着するのが望ましいのか。本記事では、利用者の意向、利用していない人の本音など消費者側の視点から、ふるさと納税について考えていきたい。

クロス・マーケティングが発表した「ふるさと納税に関する調査」は、47都道府県の20~69歳の男女を対象に、インターネットリサーチを使って実施された。※有効回答数は2,000サンプル

利用目的は「返礼品」との回答が8割以上

出典:プレスリリース

まず、その認知度を調べた結果、内容を知っている人が約6割だった。これに、名称のみ聞いたことがある人を含めると9割以上。制度の認知度自体は高く、広く知られていることがわかった。

次に、ふるさと納税の利用有無を聞いた。その結果、利用経験者は15.7%と意外と少ない結果となった。

利用経験者が利用する理由は「返礼品が魅力的」83.5%で圧倒的に多かった。次いで「節税になる」が55.8%、「地方活性化になる」が29.1%だった。

利用しない人はサービスについてよく知らない?

また、非利用者の理由は「興味がない」が26.5%、「申し込みの仕方がよくわからない」が25.8%だった。そのほか「確定申告が手間」といった煩わしさが利用に抵抗感を持たせている様子がうかがえたとしている。

出典:プレスリリース

最近では、さとふるなどインターネット経由で簡単にふるさと納税ができるサイトも増えているが、利用していない人には、まだまだそうした周知が足りていないのが現状だろう。

利用経験者のリピート率は9割超え

今後の利用意向を利用経験別で聞いた。その結果、利用経験者の94.4%と9割以上が「続けたい」と思っていることが判明した。一方、利用未経験者で「利用してみたい」と思う人は33.5%と少ない結果になった。

出典:プレスリリース

「続けたい」理由として「知らなかった地域を知ることができる」、「地方への貢献と自分の実益」など、利用によって得をしたことの影響が大きいようだ。また、「続けたいと思わない」「利用してみたいと思わない」理由では「収入が減少」「ほしいものがない」「面倒だと思う」などの理由が挙げられた。

出典:プレスリリース

寄附金用途の希望としては「災害復興・支援」が34.6%ともっとも高く、次いで「保育・子育て支援」が32.7%、「自然・環境・景観保護」が32.3%となった。

返礼品以外のアプローチを自治体が提案できるか

いったん利用するとそのほとんどがリピートを希望しており、好評の「ふるさと納税」。しかし現状の利用者の目的は明確に「返礼品」となっていることがわかった。

しかし、それが過剰な返礼品競争を招き、その地域のものに限らず高額な返礼品を用意できる自治体に寄付が集まるという、複雑な状況を生んでいる。そして今後ふるさと納税利用者が増えれば増えるほど、その偏りは大きくなっていくだろう。

ふるさと納税のしくみを円滑に進めていくためにも、税金流失が問題視される都市部も含め、各自治体は単なる「モノ」に頼った返礼品から、地域の魅力的な体験や情報、サービスなどの提供へ、シフトしていく必要がある。

さらに、地方自治体だけではアイデアには限りがある。企業や教育機関などが連携し、周辺ビジネスを活性化させるような新たなビジネスモデルを生み出していくべきである。