ネット投票普及へ一歩前進 ブロックチェーン使った実証実験に成功、つくば市

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8月28日、ブロックチェーンとマイナンバーカードを活用したネット投票の実証実験がつくば市で行われ、結果が発表された。国内初の取り組みとなる。同市によると実証実験は成功し、ネット投票において難しいとされる投票の正当性、秘密投票、非改ざん性を実証できたという。
ネット投票普及へ一歩前進 ブロックチェーン使った実証実験に成功、つくば市

課題が山積するネット投票

「ネット投票」導入の是非を巡る議論が活発になって久しい。運営コストの削減、投票者の利便性向上など、あらゆる面から期待されている一方で、本人確認や票の正当性をどう担保するかといった課題も山積しており、普及には至っていないのが現状だ。

こういった課題の解決を目指して実施されたのが、つくば市の実証実験である。マイナンバーカードによる本人確認と、ブロックチェーンの技術を活用している。

「Society 5.0」へ向けて

実証実験は、同市が推進している「平成30年度つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」を選出するコンテストの最終審査に導入された。

つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業は、国が提唱する「Society 5.0」の社会実証に向け、全国の企業、研究機関、教育機関などの実証実験を支援する目的のプロジェクトで、それに最適な企画提案を募集し支援していくものである。

出典:プレスリリース

投票には、パイプドビッツが構築した国内初となるマイナンバーカードとブロックチェーン技術を用いたネット投票システムを利用。実証実験に先駆けて、8月20日にはつくば市の五十嵐市長によるデモンストレーションが公開された。

市によると、実証実験は成功し、ネット投票において難しいとされる投票の正当性、秘密投票、非改ざん性を実証できたという。その成果をみていこう。

ブロックチェーンでネット投票の難問をクリア

ネット投票には、なりすましや重複投票の防止、「秘密投票」の証明、「データの非改ざん性」の証明といった課題があった。これらの課題の解決を目指したのが今回のネット投票システムである。

投票は、つくば市役所などに設けられた投票所のカードリーダーでマイナンバーカードの情報を読み込んだのち、パソコン画面で投票を行うという仕組みで行われた。

出典:プレスリリース

マイナンバーカードの情報を読み取ることで投票権を有することを証明し、電子証明書の署名用パスワードを入力することで投票者本人による投票であること証明できたという。

また、マイナンバーカードに含まれる公開鍵/秘密鍵のキーペアと、独自で用意した公開鍵/秘密鍵の活用で投票内容を暗号化し、投票者情報と投票内容の分離管理が可能となった。これにより、システム管理者であっても投票者情報と投票内容を紐づけて知ることができない仕組みを構築。「秘密投票」が実現した。

そして、投票者情報と投票内容を別々のサーバで管理するとともに、これをデータの改ざんが困難なブロックチェーン技術「イーサリアム」で処理することで、投票データの改ざんや消失を防止できたとしている。

ネット投票は普及するか

ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも呼ばれ、ネットワークを通じて情報を共有し、取引を分散して記録するのを特徴としている。オンライン上で公開される情報の透明性や公平性が高く、住民投票などの公共サービスとして活用するのにも効果的とされている。

すでにロシアやスイスではブロックチェーンを活用した電子投票システムの実証実験が行われているという。

日本でもネット投票は普及するのか、今後の展開に期待したい。