デジタルトランスフォーメーションは「ビジネスと一体化」してこそ進む

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IT専門調査会社 IDC Japanは8月28日、国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みに関する調査結果を発表した。それによると、国内企業では、DXは9割以上が企業戦略と連携して実施されていることがわかったという。
デジタルトランスフォーメーションは「ビジネスと一体化」してこそ進む

企業の総合力をアップさせるDXへの取り組み

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる概念で、ビジネスにおいて最新のデジタル技術を採用することで、企業の総合的な力をアップしようというものだ。

内閣府が提唱している「Society 5.0」 という概念もDXをもとにしたものと言える。

たとえば、日本の企業ではNECが積極的に取り組んでいる。同社は、GEと連携し同社の無線通信システム「PASOLINK(超小型マイクロ波無線通信システム)」のインド、インドネシアでの設置工事管理に、GEの産業向けIoTプラットフォーム「Predix」を導入している。

本記事では、DXの取り組みに関する意識調査を紹介する。この調査は、世界27か国のビジネスリーダーを対象にした調査の一環として行われたものである。

これによるとDXに取り組む国内企業は、企業戦略との連携を進め、データの収益化を目指す姿勢が強いことがわかったという。

国内企業の98.7%がDXと企業戦略を連携

具体的な調査内容は、DXの進捗状況、推進組織/体制/課題、KPI設定など。このうちDXと企業戦略との連携について聞いたところ、国内企業の98.7%が何らかの形でDXと企業戦略とを連携させていることが判明した。

連携のしかたについては、部分的/短期的な連携にとどまっているとする回答比率が、全体的/長期的な連携を保っているとした回答を上回った。しかし、他社に比べてDXの取り組みが進んでいると考えている企業では、DXと企業戦略がより全体的/長期的な形で結び付いている傾向が見られた。この結果について、IDCではDXの先進企業では、DXとビジネスが一体化していることが判明したとしている。

「DXとはデータを活用したビジネスを行うこと」

出典:「国内および世界企業における「DXの優先事項」」IDC Japan

また、DX推進の際の優先事項としては、「データの資本化/収益化」が52.7%ともっとも高かった。IDCでは、この結果の背景にあるものとして、ビッグデータやAIなどデータ活用のための技術の進歩やそれに伴う企業間でのデータを中心とした提携の動きが広まっていることを挙げている。そして、この結果から「DXとはデータを活用したビジネスを行うこと」という認識が広まりつつあると分析している。

しかし、国内企業と海外企業の調査結果とは若干異なる傾向が見られるという。たとえば前述した「DXを進める際の優先事項」についての回答比率では、海外の企業は、業務の卓越性や顧客体験への回答も、データの資本化/収益化と同等かそれを上回る結果になっているという。

また、DXのKPIの利用方法を聞いた質問では、国内企業が主に従業員の動機づけや社内外への公開などハイレベルなものにとどまっているのに対し、海外の企業では四半期ごとや月ごとの業績レビューに使うといった回答が多く、DXを日々の業務と連動させる傾向が強いという。

このように、国内企業のDXへの取り組みは進んでいるが、海外企業の動向と比べると取り組みの優先事項が特定の領域に偏る、あるいはDXと日常業務とが連携していないという傾向も見られた。

IDCでは、このような状況について、国内企業ではDXが一時的な流行で終わってしまい、真の変革とならない可能性もはらんでいると危惧している。

IDC Japan リサーチバイスプレジデントの寄藤幸治氏は以下のようにコメントしている。

「課題先進国といわれる日本の企業はDXを真剣にとらえ、その成否が今後の企業の成長だけでなく生き残りすらを大きく左右するものと考えなくてはならない。そのためには、企業戦略、事業戦略/戦術、日々の業務など企業のあらゆる活動の中にDXが埋め込まれているような体制を構築していくべきである」と提言している。(寄藤氏)