サマータイムとは | 導入事例や働き方改革との関わり - 東京五輪での実施に賛否あり?

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サマータイムは別名「夏時間」とも呼ばれ、日照時間が長い夏の間だけ時計の針を進める制度です。東京五輪の暑さ対策として検討されていると言われていますが、膨大な導入コストがかかるとされているサマータイム。そのメリットとデメリットに迫ります。
サマータイムとは | 導入事例や働き方改革との関わり - 東京五輪での実施に賛否あり?

サマータイムとは

サマータイムとは日照時間の長い夏場に、標準時よりも1〜2時間時計の針を進めて、明るい夕方の時間を増やそうとする制度のことを指します。ただし、起床や就寝、労働の時間は変わりません。

サマータイムにはさまざまなメリットとデメリットがありますが、欧米国には導入している国も多く、日本においてもその導入が検討されています。

海外におけるサマータイムの歴史と現状

サマータイムは1916年、イギリスやドイツで採用されたのを皮切りにヨーロッパ中に広まりました。現在はヨーロッパの国々を中心にアメリカの一部、カナダ、オーストラリアなどを含めて約70か国程度に導入されています。

ただし、EUではサマータイム廃止の方向性で現在意見のすり合わせを行っています。

日本におけるサマータイムの歴史と現状

日本においても実はサマータイムが導入されていた時期がありました。

GHQの指令による昭和23年からです。しかし、いたずらに労働時間がなくなったり、生活習慣を変更するのが大変だったりしたため、わずか4年のうちにサマータイム制度は中止となりました。

このように日本に定着しなかったサマータイムですが、2007年に行った政府の調査では半数以上がサマータイムの導入に賛成しています。

東京五輪を目処にサマータイム導入か?

このように一度サマータイム制度を一度導入して廃止した日本において、東京五輪を目途にしてもう一度サマータイムの適用が検討されています。

日中は40度を超える猛暑が続いており、2020年に控えた夏のオリンピックの猛暑対策としてサマータイムを導入し、涼しい時間に競技を始めるべきだというのがその理由です。

サマータイムのメリット

サマータイムは時計を早め、日照時間を有効活用することが目的ですが、日照時間を有効活用することによって3つのメリットが期待できます。

照明などのエネルギー節約になる

サマータイムの導入によって勤務時間における日照時間が増えるので、明るい時間が増える分だけ電気を付けなくてもよくなります。そのため、照明にかかったコストが浮きます。

また、比較的涼しい時間帯から仕事を始めることになるので空調代などのコストカットにもつながります。

自由時間が増える

サマータイムが導入されることによって、就業時間はそのままでも、明るいうちに仕事が終わります。

明るいうちに仕事が終わることによって終業後どこかに寄り道したり、誰かに会ったりと自由な時間が増え、生活が充実します。

経済の活性化につながる

終業後の自由な時間が増えるということは、経済の活性化にもつながります。

たとえば、同僚と飲みに行ったり、買い物にいったりと、自由な時間が増えたことによってその時間の過ごし方が消費に結びつくので経済活性化につながるのです。

社会経済生産性本部の調査によると、日本でサマータイム実施時の経済波及効果は約9,700億円にもなると言われており日本経済に大きな影響を与えると言われています。

サマータイムのデメリット

日本でも現在サマータイムの導入を検討中ですが、そのデメリットが障害になっています。サマータイムにはどのようなデメリットがあるのでしょうか?

地域間でメリットの差がある

サマータイムの恩恵が受けやすいのは高緯度地域です。高緯度地域は夏と冬の昼間時間の差が大きくなりやすいので導入するメリットがあります。逆に大きな時間差がつかない低緯度地域にはあまり導入する意味がありません。

日本は高緯度から低緯度まで南北に広がっている列島国家のためサマータイムの効果にばらつきが生じます。

導入の手間とコストが膨大である

サマータイムは導入に際し、手間とコストが膨大であることが問題になっています。時計を一時間早めるだけですが、そのためには企業のシステムなどの時間機能などのすべてにサマータイム機能を付ける必要があります。

このシステムの更新などに必要なコストは、サマータイムの経済活性化効果と比較しても余りあるのではないかと言われています。

残業増加の不安

残業に対する不安も大きくなります。

結局サマータイムの分だけ早めに出勤しても、終業時にまだ明るければ残業してしまって、労働時間が増えるだけなのではないかという懸念があります。

いま、日本では長時間労働が大きな問題となっています。サマータイム導入で労働時間がさらに伸びてしまった、といったケースが出るかもしれません。

サマータイム導入企業例

働き方改革を進めるうえでサマータイムは画一的になりがちな職場の勤務時間を見直すきっかけになり、ワークライフバランスの実現につながるのではないかという考えが注目を集めています。

サマータイムによって帰宅時間が早まることで就業中の効率も上がり、帰宅後の家族との時間や趣味の時間を充実させられるのではないでしょうか?

ここからは具体的な企業の取り組みについて紹介していきます。

事例:カルビー

カルビーでは2011年に東日本大震災による電力不足に対する節電のためにサマータイムを導入しましたが、その後もワークライフバランスの推進のためにサマータイム制度を維持しています。

導入にあたっては画一的にサマータイムを適用すると、保育園の送迎などに支障が発生する社員がいるので、時短制度などの育児勤務制度を活用して配慮しました。

結果として帰宅時間が増えて、終業後の余暇時間が増えたといいます。またワークライフバランスを見直す良いきっかけにもなりました。

事例:損保ジャパン日本興亜

損保ジャパン日本興亜も2015年から業務の効率化や従業員の健康維持の観点からサマータイム制度を導入しました。

導入に当たってはただ朝型の勤務にするだけではなく、社内資料の作成や会議の効率化などに力を入れ、社内での生産性改善の事例共有に努めました。

ただ、余暇を増やすだけではなく、終業後の時間を有効してもらうことにより社員の人材価値の向上を期待して導入しています。

サマータイム、実施すべきかどうか

東京オリンピックの開催に合わせてサマータイムに注目が集まっていますが、国全体としてサマータイムを導入するためには、導入コストの問題を含めてまだまだ課題が多く実現は遠いです。

しかし、各企業単位で見ると働き方改革の一環としてサマータイムにはその効果が期待されており、導入する企業も増えています。

今後もサマータイム導入のニュースに注目しておきましょう。