日米ビジネスパーソンのeメール利用実態とは
インターネットとともに登場した電子メール(eメール)は、日々の生活に欠かせないものとしてすっかり定着した。とくにビジネスシーンにおいては、もはやeメールを扱ったことがないという人はほとんど存在しないだろう。
一方で近年は、LINEやFacebookなどのSNSが台頭している。仕事でもビジネスチャットを導入する企業が増え、eメールの利用頻度が下がった人も多いのではないだろうか。
アドビでは、ビジネスパーソンのeメールの利用の実態を探るべく、米国、日本、インドの3か国で、スマートフォンを利用しデスクワークに従事する人を対象に調査を実施した。eメールやその他チャネルを通じたコミュニケーションについて調べている。
日本では2018年7月25日から28日に実施され、調査対象者人数は1,000名だった。米国では2018年6月21日から27日に実施され、 調査対象者人数は1,001名だった。
ここでは、日本と米国の調査結果を紹介する。
6割が「2年後もeメールを使用する」
まず、「2年後、電子メールの使用がどのように変わると思うか」と尋ねた。
日本では、仕事が62%、プライベートが65%と、回答者の約3分の2が両シーンともに2年後もeメールの利用状況は変わらないと回答している。一方で、eメールの利用が減るとの回答は、仕事で23%、プライベートでも23%みられた。また、利用量が増えるだろうと答えている人も各10%強存在する。
出典:「2018 Consumer Email Survey」アドビ
続いて、「ブランド企業からどのような方法でオファーの連絡を受けたいか」との質問には、日本の回答者の52%がeメールと回答した。これはダイレクトメール(13%)やソーシャルメディア(8%)などのチャネルを圧倒しており、電子メールがもっとも好まれるチャネルであることを示している。
出典:「2018 Consumer Email Survey」アドビ
これについて同社は、「消費者は企業とのオプトインメールによる関わり方を好んでおり、それは握手と同じで双方の認識があってこそだ。メッセージ受信頻度など選択権は消費者にあり、企業側に不備があれば、購読を容易に解除するだろう」と分析している。
勤務時間外のメールチェック、公私の分別に差
また、勤務時間外のメールチェックについても尋ねている。
出勤前にどのくらい仕事のeメールをチェックするかという問いに対して、日本の回答者の56%が、オフィスに到着するまで仕事のeメールをチェックしないと答えた。対する米国は39%で、日本とは反対に出社するまでにチェックする人が多いという結果となっている。
出典:「2018 Consumer Email Survey」アドビ
プライベートのeメールについては、両国とも通勤前にチェックしている人が多い。このうち日本22%、米国28%が起床直後にベッドの中でチェックしているそうだ。
出典:「2018 Consumer Email Survey」アドビ
「スマホでメールチェック」が8割、PCを上回る
eメールチェックに使う端末は、日本80%、米国85%と大半がスマートフォンを利用している。デスクトップPCやノートPCも日本71%、米国69%と追随。タブレットは、日本11%、米国22%と低いものの、米国では日本の倍利用されていることがわかった。
出典:「2018 Consumer Email Survey」アドビ
そして、eメールの開封率と既読率を聞いたところ、日本は仕事のメールの開封率は76%、既読率は80%となった。
出典:「2018 Consumer Email Survey」アドビ
一方、プライベートのeメールに関しては開封率は65%、既読率は66%となった。日本人は仕事のメールは大半が読んでいるものの、3分の1が仕事中には開封せず、また開封しても読んでいないことがわかった。
出典:「2018 Consumer Email Survey」アドビ
仕事を辞める際の連絡手段は……
最後に、仕事を辞める際の連絡としてもっとも適切な方法を聞いたところ、米国では18〜24歳の15%、25〜34歳の10%がFacebook Messenger、Skypeといったインスタントメッセージや、Slackなどの法人向けチャットが適切な連絡方法であると回答している。
日本は、18〜24歳の6割が「対面しての会話/個別ミーティング」と答えた一方で、11%がインスタントメッセージと回答した。とりわけ若い世代で、インスタントメッセージが一般的な連絡手段として捉えられていることが垣間見える。
出典:「2018 Consumer Email Survey」アドビ
結果を受けて同社は、「企業側は、従業員がコミュニケーションのエチケットと効果的なクロスチャネルでのコミュニケーションをしっかりと把握できるよう支援する必要がある」と課題を提示している。eメールにしろ、SNSやチャットにしろ、はたまた電話にしろ、よりTPOにあわせた使いわけが重要となっていくと考えられる。