キャッシュレス普及に課題、日本人には「金融リテラシー再教育」が必要だ

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日本では、政府が主体となって2025年のキャッシュレス比率を40%に拡大させる動きが進んでいる。MMD研究所では、2018年5月に全国の15~69歳を対象とした「モバイル決済 利用者・未利用者比較調査」を実施。同研究所では約3人に2人がキャッシュレス化に賛成しているものの、普及にあたってクリアすべき課題があると指摘した。
キャッシュレス普及に課題、日本人には「金融リテラシー再教育」が必要だ

世界で普及するモバイル決済、日本の消費者はどう見ている?

世界で普及が広がるモバイル決済だが、2025年にはキャッシュレス比率を40%に拡大し、将来的には80%を目指すと経産省が発表して注目を集めている。それでは2018年現在、消費者は電子マネーやモバイル決済に対してどのように考えているのか。

その実態を把握すべく、MMD研究所では2018年5月に全国の15~69歳を対象とした「モバイル決済 利用者・未利用者比較調査」を実施した。

本調査では、「交通機関以外でモバイル決済を利用している人」、「興味はあるが利用したことがない人」を対象にした利用者/未利用者の比較だけでなく、人口20万人以上の都市を「都会」、東京を除くそれ以外の都市を「地方」として地域の差も比較できる調査となっている。

電子マネー、都会は交通系、地方はWAONが人気

都会在住のスマートフォンを所有する15~69歳男女3,852人、同じく地方在住の4,104人(計7,956人)を対象に、利用しているカードタイプの電子マネーを聞いたところ、何かしらのカードタイプの電子マネーを利用していると回答したのは都会で81.4%、地方で71.6%だった。

都会の方が電子マネーの利用率が高いが、利用しているサービスの内訳に注目したい。カードタイプの電子マネー利用者6,071人に利用しているサービスを聞いた。この記事では、上位5サービスのみ紹介する。

都会では交通系電子マネーの利用が6割を超えるが、地方では4割に満たない。一方で、WAONや楽天Edyでは地方の方が利用率が高い結果となった。

「その他」に書かれていたフリー回答を見ても地元スーパーが発行しているご当地の電子マネーの名前があったり、もしかすると、地方の方が生活により身近なところで電子マネーが使われているのかもしれない。

「現在モバイル決済を利用している」16.9%に拡大

スマートフォン所有者に、モバイル決済の利用状況を聞いたところ、現在利用者は16.9%だった。まだまだ普及しているとはいいがたい数字だが、以前と比べてどのくらい伸びているのか。

昨年の12月に日常で利用している決済手段を聞いたデータがある。こちらは、複数回答で利用しているものを聞いているが、「スマートフォンを利用した決済サービス」「QRコード決済」を合わせても9.4%だ。対象者や聞き方が異なるので一概には比較できないが、約半年の間に倍近くの数字にまで成長していることがわかる。

モバイル決済の利用シーントップは都会も地方も「コンビニ」

モバイル決済を利用したことがある、または興味がある都会在住の2,466人、地方在住の2,482人(計4,948人)に、モバイル決済を利用するシーン、または利用したいと思うシーンを聞いた。下のグラフでは、利用したいと思うシーン「特になし」という人を除いて集計している。

両地域ともにトップは、「コンビニエンスストア(駅以外)」となり、全体的に都会の方が利用意向が高い。

では、地方で高い項目は何か。それは、「コンビニエンスストア(駅以外)」、「ショッピングモール」、「ガソリンスタンド」である。駅以外のコンビニエンスストアには面白みがないが、「ガソリンスタンド」の高さは実に興味深い。

地方の利用意向を見ると「交通機関」が低く、「ガソリンスタンド」は高い。公共交通機関を使って駅やその周辺の店舗を利用する都会と、車メインで行動し駅ビルではない大型複合施設=ショッピングモールを利用する地方という、両者の生活環境の違いを反映した結果となっているのではないだろうか。

消費者の3人に2人が「キャッシュレス化に賛成」

さて、ここまでモバイル決済が増えてきたと言ってきたが、そもそも消費者はキャッシュレス化を望んでいるのだろうか。世間で現金文化が根強いが、今後も現金にこだわるのだろうか。

予備調査で、「交通機関以外でもモバイル決済を利用している」と回答した444人、「興味はあるがモバイル決済を一度も利用したことがない」と回答した523人の計967人を対象に、キャッシュレス化についての賛否を聞いた。

「キャッシュレス化に反対」「どちらかというと、キャッシュレス化に反対」を合わせた反対派は7.7%とごくわずかで、「キャッシュレス化に賛成」「どちらかというとキャッシュレス化に賛成」を合わせた賛成派は66.6%(約3人に2人)にのぼった。

さらに、本調査で現金支払いにこだわりがあるか聞いたところ、「とてもあてはまる」「ややあてはまる」を合わせた、現金にこだわりを持つ人は20.1%にとどまった。この結果からも、現金にこだわるのではなく、むしろキャッシュレス文化を受け入れようとしている人が多いことが分かった。