電通の会社員1万人調査から見えた、イキイキ働くための3つのカギとは?

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電通は9月4日、「健康に働くための指標」を開発するため、全国1万人の会社員を対象に調査し、その結果を公表した。これによると、仕事や生活でイキイキと前向きな状態を維持するためには、「睡眠」「雑談」「ちょっと幸せになれる習慣」の3つが深く関係しているという。また電通は、この調査結果などをもとに毎日の社員の「バイタリティ(活力)」を可視化する仕組みを、7月から導入した。働き方改革は物理的なストレスを取り除くだけでは達成しない。本質をついた電通の調査を紹介しよう。
電通の会社員1万人調査から見えた、イキイキ働くための3つのカギとは?

働き方改革の本質「健康に働くための指標」

「働き方改革」は浸透し、多くの企業が長時間労働の是正や、休暇取得推進、テレワーク制度導入などが進められている。しかし働き方改革は、制度だけを変えるだけでは達成したとはいえない。

厚労省によれば、精神障害や労災件数は年々増加しており、平成29年度は過去最高を記録した。

物理的なストレスを取り除くだけでは、本質的な改善にはつながらないのだ。

電通が全国の20~60代男女計10,000人に行った「全国1万人会社員調査」は、そうした本質をとらえた調査となっている。

まず調査の前提として「社員や組織が健康であるためには、単に疾病の有無だけでなく、社員一人ひとりがイキイキと前向きに仕事や生活ができていることが重要」という仮説たてたという。そして予防医学や働く人の健康づくりの専門家などに監修を依頼。ポジティブ心理学の論理的な枠組みを用いて設計を行ったという。

また電通は、この調査を自社の働き方改革にも活用しており、7月からバイタリティを可視化する取り組みもはじめている。同調査内容と、電通の取り組みについて紹介する。

カギは「睡眠」「雑談」「ちょっと幸せになれる習慣」

まず、社員や組織のバイタリティを左右する要素について紹介しよう。同調査からは3つのキーワードが導きだされた。

1.睡眠
2.雑談
3.ちょっと幸せになれる習慣

以下で、各項目について詳しく解説していこう。

「睡眠」は8時間でバイタリティがもっとも上昇

睡眠が大事という話はよく聞くものの、実際にどのくらい寝るのが適切なのか、かわからない人も多いだろう。同調査によれば、もっともバイタリティが上昇するのは平均睡眠時間が8時間の層だったという。

平日の平均睡眠時間が6時間という人のバイタリティを100とした場合、4時間未満の人は16%バイタリティが低下し、8時間睡眠の人は3%上昇した。また9時間以上になると、バイタリティは再び低下傾向になるという。

出典:プレスリリース

もちろん、人によってベストな睡眠時間があり、この結果どおりにすべての人が8時間寝ればいいというものではないだろう。しかし「睡眠とバイタリティ」には深い関係があることは見えてきた。日ごろから自分に合った睡眠時間を意識するなど、睡眠を管理しようとする姿勢が重要だろう。

職場での「雑談」がバイタリティを上昇させる

「職場で雑談することがない」と答えた人のバイタリティ度合いを100とした場合、「ある」と答えた人は33%高かったという。ビジネススキルとしても注目される「雑談力」は、対顧客のみならず、職場の環境づくりにも有益だということになる。

出典:プレスリリース

「職場で笑う機会がある」、「職場でみんなでワイワイガヤガヤと話すことがある」など、日々の雑談がバイタリティと強く関連していると同社は分析している。

そもそも「うちの会社には雑談をできるような空気がない」と悲観する人がいるかもしれない。しかし最初は1対1でもいい。小さなことを変えていこうとする意志が、職場を変えるのだ。できる範囲から、少しずつ、雑談できる空気を広げてみてはどうだろうか。

「ちょっと幸せになれる習慣」とは?

最後のキーワード「ちょっと幸せになれる習慣」とは、一体なにか。同調査の中での定義は、毎週自分が幸せになれる活動を、あらかじめ予定に組み込む習慣だ。

調査から、「毎週の予定に、自分が幸せになれる活動を入れるようにしている」人は、それがない人に比べ、バイタリティの度合いが 21%高いことがわかったという。

出典:プレスリリース

ここでのポイントは、単にやりたいと思うだけではなく、予定として入れるということにあるだろう。忙しい仕事をしている人ほど、日々のタスクに追われ、目先でいっぱいになってしまうことがある。しかし先の「楽しみ」を計画し、予定として入れることで、バイタリティはあがるのだ。

働き方改革推進へ舵を切った電通、社内でも「バイタリティ可視化」

電通は、過労死事件で長時間労働などが状態化している「ブラック」な印象を持つ人も多いかもしれない。しかし、社員が健康でいきいきと働ける職場を目指し、取り組みを進めている。

2018年7月からは、社員のコンディションを可視化する「バイタリティノート」を導入している。
これは、同調査の結果と学術的な見解をもとに有用性が確認された10個の質問に答えることで、バイタリティを可視化するというもの。

毎朝1日1問に答え、6段階の顔文字からその日のバイタリティを選択。その情報を蓄積していくというものだ。

出典:プレスリリース

また、希望する社員には、バイタリティを左右する「睡眠」を客観的に把握するために活動量計の貸与しており、2,000人の社員が利用しているという。

自分で自分のバイタリティを管理し、自己の状態を把握することで「弱っているから少し休む」などの選択が可能になるだろう。

過労死により一人の命が奪われた、過去の過ちは大きい。しかし単なる批判はもう意味がないのだ。消費者の心理を熟知しているであろう企業だからこそできる、本質をとらえた改革に期待したい。