クラウド化の予定がない企業3割、世界900社IT投資調査で見えた日本の課題

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エンタープライズソフトウェア製品とサービスのプロバイダーリミニストリートは、IT投資に対する企業の意識調査を世界15の国と地域で実施、9月11日にその結果を発表した。それによると、日本企業は、世界と比較して、ITイノベーションへの投資に対する意識がまだ希薄であることわかったという。
クラウド化の予定がない企業3割、世界900社IT投資調査で見えた日本の課題

企業にとって もはや必要不可欠なIT投資

ITの導入・活用は、企業にとってもはや必要不可欠なものとなっている。また企業の投資内容は、対顧客用のシステムだけはなく、社内環境の整備や人事の効率化など、多岐にわたっていると言っていいだろう。

では、実際に企業はIT投資に対しどのように考えているのだろうか。リミニストリートの調査によると、日本企業は世界と比較して、ITイノベーションへの投資に対する意識がまだ希薄であるという。

基幹システムのクラウドへの移行を3年以内に予定している企業は、1割に満たないことなどがわかったという。

以下で詳細をみていく。

日本企業はITイノベーションに対する意識がまだ希薄

調査は、世界900社の企業のCIO、IT部門トップ、財務部門の意思決定者を対象に、2018年第1四半期(1月〜3月)に実施された。

対象地域はEMEA 300社(イギリス、フランス、ベネルクス、ドイツ圏、北欧諸国、イスラエル)、APAC 300社(オーストラリア&ニュージーランド、日本、インド、香港、東南アジア諸国)、AMERICAS 300社(アメリカ、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ)。対象企業の従業員規模は1,000〜2,999名=327社、3,000〜4,999名=300社、5,000名以上=273社。

「あなたの組織の現在のIT予算のうち、事業継続のため予算と、ITイノベーションのための予算にそれぞれ何割を充てていますか?」

出典:リミニストリート

まず、組織の予算利用状況について尋ねると、日本企業は「事業継続」にかけている割合が64%であり、この点は世界平均を上回っており、ブラジル/アルゼンチン地域の70%、イスラエル68%に次いで3番目に高いものとなっている。

「ご自身が所属する組織はもっとイノベーションに対して投資すべきであると思いますか?」

出典:リミニストリート

また、所属組織がもっとイノベーションに対して投資すべきと思うかとの問いには、日本企業のポジティブな回答は66%だった。しかし世界平均では89%であり、日本企業のITイノベーションへの投資に対する意識は、世界と比べて希薄であることがみてとれる。

「あなたの組織でイノベーションを妨げる最大の阻害要因は何ですか?(複数回答可)」

出典:リミニストリート

イノベーションを妨げている要因を聞いたところ、日本76%、世界平均77%の回答者が「事業継続のために費用をかけすぎている」と回答した。

また日本では、「イノベーションへの投資に対する取締役会の理解が得られない」という回答が、「イノベーションを実現するための社内スキルが十分でない」と並んで2位(ともに74%)となっている。同社ではこの回答から日本のIT投資には、社内環境の改善が大きな課題であると指摘している。

日本企業のベンダー支援に対する満足度は低いレベルに

「あなたの組織の主要なエンタープライズ・アプリケーションソフトウェアのベンダーはどこですか?(複数回答可)」

出典:リミニストリート

次に、所属組織の主要なエンタープライズ・アプリケーションソフトウェアのベンダーを聞いた。その結果、企業内でもっとも利用しているエンタープライズ・アプリケーションとしては、世界平均、日本ともにMicrosoftが上位となった。(世界平均68%、日本60%)

一方、Oracle、SAPの利用比率は、世界平均でOracle 43%、SAP 36%、日本企業ではOracle 28%、SAP 14%であった。

「あなたの組織がイノベーションを加速し、ビジネス戦略を推進するという点で、既存の主要なエンタープライズ・アプリケーションソフトウェア・ベンダーの支援に満足していますか?」

出典:リミニストリート

自身の組織がイノベーションを加速し、ビジネス戦略を推進するうえで、既存の主要なエンタープライズ・アプリケーションソフトウェア・ベンダーの支援に満足しているかとの問いには、「非常に満足している」あるいは「おおよそ満足している」と回答した方の合計は、世界平均が79%だった。

対して、日本では64%にとどまっている。これについて、リミニストリートでは、ベンダー支援に対する日本企業の満足度は、世界の中では低いレベルにあることがわかるとしている。

「あなたは、自分の組織のIT予算が事業継続のために多く費やされすぎていると思いますか?」

出典:リミニストリート

そして、自分の組織のIT予算が事業継続のために多く費やされすぎていると思うか、との問いには「そう思う」と回答した企業は、世界平均で68%(強くそう思う19%+そう思う49%)、日本で56%(強くそう思う10%+そう思う46%)となった。ともに半数以上が現在のコスト配分に対して満足していないことがわかる。

クラウド移行も世界に後れをとる日本企業

「あなたの組織は今後12か月間にITイノベーションのための予算をどの分野に投資する予定ですか?(複数回答可)」

出典:リミニストリート

今後のIT投資についての設問では、日本企業は「IoT」が54%、「クラウド」が50%、「AI」が50%と、この3項目が世界平均と比べて極めて高い結果となった。この結果について、同社では現在の日本企業の目指している方向性に若干の偏りがある印象を受ける、と分析している。

「あなたの組織では、基幹システム(SAP、Oracle、IBM、Microsoftなど)をクラウドに移行する計画はありますか?」

出典:リミニストリート

また、所属組織の基幹システム(SAP、Oracle、IBM、Microsoftなど)をクラウドに移行する計画有無を聞いたところ、クラウド移行計画については、「すでに開始している」と「計画し予算を確保している」の合計が、世界平均56%、日本が40%だったと日本が世界平均を下回っている。

一方、「その予定だが戦略はまだ立てていない」と「クラウド移行の予定はない」の日本の合計は30%と世界平均を大きく上回っており、この結果から世界に遅れを取っていることがわかる。

「基幹システム(SAP、Oracle、IBM、Microsoftなど)のクラウドへの移行はいつまでに完了する予定ですか?」

出典:リミニストリート

最後に、基幹システムのクラウド移行の完了予定時期について聞いた。その結果、「3年以内」とする回答が世界平均20%であるのに対し、日本は7%と半分以下となっている。しかし、「3〜4年」とする企業は世界平均65%に対して、日本は61%とほぼ同率の結果となっている。

この結果から、具体化は若干遅れているものの、日本企業でのクラウド化への取り組みも着実に前進している様子がうかがえると同社では分析している。

今回の調査から、日本企業のIT投資への意識は世界に対してまだ稀薄であり、実際の取り組みも遅れていることが見て取れる。ITインフラ整備は今後の企業の命運を左右するとも思われ、早急な意識改革が望まれる。