官公庁ビジネスは中小ベンチャーこそチャンスあり!メリット・デメリット徹底解説

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記事の情報は2018-09-26時点のものです。

最近ソフトバンクやLINEなど、大手が続々と参入している官公庁ビジネス。しかし実はその半数以上を、中小ベンチャーが受注しているということをご存じだろうか。地方創生が盛んに叫ばれる今こそ、ビジネスチャンス。官公庁ビジネスの事業領域、メリット・デメリット、参入するために必要なことを徹底解説する。

官公庁ビジネス参入、まず何からはじめる?

実際に官公庁ビジネスに参入する場合、まずおさえるべきは以下の3点だ。

1.官公庁内部で仕事がつくられ発注される仕組みとタイミングを知る
2.「事業者登録」を済ませる
3.入札案件情報検索サイトなどに登録し、自社に適した発注形態の案件を狙う

3の入札案件情報検索サイトは、現在うるるが運営するNJSSが国内最大級のサイトとなっている。

NJSSは全国の官公庁・自治体・外郭団体、全国6000以上の機関の入札情報を一括検索できる業務支援サービスで、役務から物品、建設・工事まで、あらゆる分野の入札情報を検索できるのが特徴だ。提供している案件数は、2018年9月上旬現在で約58,000 件。

また、自社事業が関連する省庁、本社がある都道府県の行政HPをチェックするのもいいが、筆者のおススメは、NPO法人や財団などが公開する各省庁の予算情報などだ。これをチェックしておけば、一括で予算情報が把握できるのも便利である。

【省庁情報】平成31年度予算概算要求の一覧(2018年8月)
出典:CANPANブログ http://blog.canpan.info/cpforum/archive/1555

「地域課題の解決」へ民間企業の得意分野を活かす

現在、どの地域社会でも「人口減少」「少子高齢化」という社会課題を抱えている。一方都市部では「晩婚化」が顕著であることから、地域への移住・定住を促進するにあたっては、前提問題となる「結婚対策」「婚活支援」に行政側も同時に注力しなくてはならない。

実際に、佐賀県武雄市には、婚活支援を目的とした組織「お結び課」という部署まで存在する。

定住・移住や、婚活支援はほんの一例に過ぎないが、そもそも民間企業が得意としているこうしたサービス・事業分野こそ、今後個人事業主でも受託チャンスがあるブルーオーシャンだ。

さらに最近では、中小企業のみならず、行政が企業勤めの社会人、大学生、個人事業主などと共創するビジネスコンテストやワークショップが活況なのもおもしろい。

写真はイメージ

例えば岩手県は、自治体と地域団体で一般社団法人「いわて圏」を立ち上げた。岩手県で複業を希望する人材を募集するのが目的だが、あくまでも定住・移住を強いるものではなく、都会にいながらにして岩手県を応援できるのが特徴である。その名も「遠恋複業課」。

「遠距離恋愛でもいいけど、愛してね。」そんなメッセージを込めて、若者も関わりやすいアプローチでPRしている。まさに世相を反映したプロジェクトの一例だといえよう。

今後の官公庁ビジネス、マーケットはどうなる?

筆者は、前職の大手旅行会社では自治体の地域誘客インバウンドプロモーションに従事、現職では日々100を超える自治体と地域活性事業で共働している。その中で、自治体が求める地域課題の解決策、市民サービスは多様化、高度化していく傾向にあると実感している。

一方で行政側では今後AI活用や経費節減のための職員数の削減がさらに見込まれる。その結果として、ますます民間企業の参入分野は拡大、官民連携や公募案件も増加すると予測している。

実際筆者は、先日やりとりをした中国地方にある某山村の職員のメール署名に衝撃を受けた。その職員は「総務企画課」所属なのだが、その下にはなんと以下12もの役割が記載されていたのだ。

「移住雇用推進室・結婚対策・協力隊・消防・防災・国民保護・景観・自治体交流・研修・人事評価・労務・財産管理担当」

1名でこの12役を担っているとは考えられないが、多くとも4~5人でこの全業務範囲をカバーしていると推察する。まさに、企業で例えるならば、大手企業の分業ではなく、中小企業、いや従業員10人以下のベンチャー企業のオールラウンドプレーヤーといった業務分掌ではないだろうか。

地域の中小企業は今、事業継承者や人材不足で申告な経営危機にさらされている状況もある。経営の安定化の一手段としてしも、官公庁ビジネスは有益だ。そして民間の想像以上に、行政側は多種多様な民間企業のソリューション、マッチング接点を求めている。

著作物紹介「地方自治体に営業へいこう!」

筆者は、大手旅行会社勤務時代の20代で日本全国47都道府県のおよそガイドブックに掲載されるような名所は全訪問した。そこには都会では絶対見ることのない美しい自然、文化、歴史、地域資源のすばらしさ、その土壌に育まれた特産物、地域産品の数々があり、その都度、地域に圧倒されてきた。

しかしこれからは、単なる「観光」という視点で地域に送客するだけでは、地方創生の実現は難しい。観光視点をベースに地域で「ヒト」「コト(モノ)」「カネ」を循環させつつ、同時に地域環境へも配慮するというソーシャルビジネスの時代がくるからだ。

地域が自走するフェーズに入れば、地域経済は回復し、観光立国としての日本も浮上のチャンスがある。

そして地域には、それらをかたち作る地域固有の地場産業者、さらに彼らを支援し、休日返上で地域振興に励むような地方公務員、プレーヤーもいる。

都会にはない日本の文化的価値=地域のダイバーシティを失わせないためにも、筆者は今後、以下のコンサルティングや地域への伴走、「地方創生」「地域活性」をライフワークにしていきたい。

●地方創生事業を行う都市部の企業、地域の地場産業者の公募案件(プロポーザル)応札コンサルティング
●都市と地域(農山漁村)の人口交流、関係人口プロジェクト支援 
●地域の観光コンテンツの磨き上げ=企画商品化支援
●在日外国人(留学生)を生かした、インバウンドプロモーション支援や雇用促進事業
●地産品の開発、ブランディング支援 
●ファンドレイジングによる地域での資金調達 など

<紹介書籍>
「地方自治体に営業へいこう!」
出版社:実業之日本社
著者:古田 智子
内容: 入札情報サイトや官公庁HPで情報を得たあと、どうやって企画提案するかのノウハウを示す実用書
おすすめのポイント:この1冊を読めば、官公庁ビジネスの営業手法、公募の種類解説、年間のスケジューリング、業界の裏話などが理解できる!