「N中等部」来春開校 通学型プログレッシブスクールでN高に続け

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インターネット上の通信制高校「N高等学校(N高)」を運営する角川ドワンゴ学園が、通学制の“中学校”「N中等部」を開校すると発表した。「プログレッシブスクール」と位置づけ、創造力を育成すべくプログラミングも中核に取り入れた実践型のプログラムを用意している。開校に至った背景には、4つの社会的背景があるという。
「N中等部」来春開校 通学型プログレッシブスクールでN高に続け

N高に次いで「N中等部」設立

角川ドワンゴ学園は9月13日、「N中等部」を2019年4月に開校すると発表した。2016年に開校した通信制高校「N高等学校」(以下、N高)に次ぐ“学校”で、新しい教育のコンセプト「プログレッシブスクール」を採用。また学校教育法上の中学校ではないため、生徒は自身の中学に在籍しながら通うことになる。

コンセプトは「常識を超えて、未来を創る。」。ネット技術を駆使した“通学型”スクールでN高に続こうとしている。

中等部開校に至った4つの背景

開校にあたり次の4つの背景があると説明している。

1.将来必要となる力や考え方
2.N高等学校での教育の成果
3.既存の学校に不適応な生徒の存在
4.教育機会確保法の施行

N高は開校から2年半で生徒数が7,000名を超え、全生徒と保護者どちらからも8割以上の満足度が得られているそうだ。「もっと早くN高がほしかった」という声もあり、「N高の実績と教育ノウハウが、中学生にとって新しい学びの選択肢になると信じている」という。

発表記者会見のようす(出典:プレスリリース)

また不登校が取りざたされるようになって久しい。政府は、教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)を2017年2月に施行。既存の学校になじめない児童・生徒の学習機会を確保するよう通知している。

これを受けフリースクールなどの取り組みが行われているが、学園はそれでは不十分だという。

本来であれば、N高のような通信制中学をつくることが必要と考えていますが、法制度上(※)、今の日本では通信制中学をつくることは認められていません。

※今存在する通信制中学校は東京と大阪に1校ずつであり、学齢超過者向けの制度です。学校教育法改定による義務教育期間が6年から9年に延長された際に、高等学校入学資格を得られない人が発生し、その救済措置として、昭和22年文部省令代25号「中学校通信教育課程」が定められました。現在、通信制高校同様に学齢者向けの通信を使った中学生への教育については、法律が存在せず、また義務教育期間であることから、認められていません。(出典:プレスリリース)

N高と連携で一貫教育

さらにN中等部はN高と連携し、6年間の一貫教育を提供するとしている。最大の目的は「創造力の育成」。このために「3つの一貫教育」を柱としている。それぞれを足かけ6年で習得し磨いていくイメージだ。

1.探求学習

まず一つめは「探求学習」。感情コントロールや客観的な自己理解を通して「やりたいことを明確に」するとともに、チーム活動を通して集団の中で自分の役割に気付き、プロジェクト学習を通して課題解決や価値創造に挑戦する。

2.学力向上

二つめは「学力向上」。6年間を通じて中学から大学入試対策までを取り扱い、中等部で大学入試範囲の先取りをするなど、一般的な学校にはない自由さを打ち出している。興味を持った分野へと問題意識を持って取り組めるという。

3.プログラミング

そして三つめは「プログラミング」。小学校でも2020年より順次必修化される注目の分野だ。

N中等部では、パソコンをはじめとするICTツールの活用からスタートし、プログラミングの技術を一通り習得。これをもとに独自サービスやプロダクト制作に取り組み、さらに実際の開発現場で経験を積んだ後に、大学進学や就職することを想定している。

なお、両校は連携するもののN高への進学は強制ではなく、N中等部卒業後は自由な進路を選べるとのこと。

N中等部に入学するには

入学対象者

まず対象となるのは、小学校を卒業した人、またはそれに準ずる人、そして中学校に在籍する人。N高はいわゆる一条校ではないため、自身の中学校に在籍したまま通える

入学時期とキャンパスの場所

入学時期は4(5)月、7月、10月、1月。それぞれの時期に応じた入学テストが行われる。

通学先――キャンパスの場所は都内(新宿・代々木付近)を予定しており、決まり次第発表するとのこと。

学費

学費はコースによって異なる。

それぞれ1期あたり税別で、1 Day Course(週1)3万円、3 Days Course(週3)4万5,000円、Weekday Course(週5)6万円と設定されている。

これに、設備管理費として1万円/期、入学金10万円が必要。また授業で使用するPCなども用意する必要がある。

学園が取り組むプログレッシブスクールとは

学園はN中等部を「プログレッシブスクール」と位置づけ、次のように説明している。

中学生に対する教育の場には、中学校、学習塾、教育支援センター、フリースクールなどがあります。その新たな選択肢として、N中等部はプログレッシブな学びの場を提供します。

ご自身の中学校に在籍したままN中等部に通っていただき、創造力を育むために、教科勉強、プログラミング、ライフスキル学習などをカリキュラムの中で学んでいただきます。自分のペースであなただけのイノベーションを起こすために、主体的に継続的に学び、N中等部での3年間の先には、N高等学校であなたの夢に近づきます。就職、進学、受験など、それぞれの夢への一歩目を中等部で踏み出していただきます。
(出典:公式サイト)

プログレッシブは「進歩的」「進行形の」といった意味で、教育の分野では、従来の仕組みを「伝統的」ととらえ対比し「プログレッシブ・エデュケーション(教育)」と呼ぶことがある。アメリカ発祥とされるプログレッシブ教育は体験や経験を主軸としており、N中等部もこの流れを意識していると考えられる。

上述の言葉にあるように、「イノベーション」を起こすために「主体的」に取り組むのが、N中等部が目指す“進化形教育”なのだろう。

“常識にとらわれない”教育を

7月末、ホリエモンこと堀江貴文氏も、通信サポート高にあたる高校「ゼロ高等学院」を10月に開校すると発表した。「座学を目的とせず、行動を目的とする」を指針としており、堀江氏の人脈を生かし、現役の経営者などから実地で学ぶことができる。

角川ドワンゴ学園のN高等学校、N中等部。そしてホリエモンのゼロ高等学院。多様化する社会のこれからを担う子どもたちは、ここで何を学び、何をカタチにしていくのだろうか。“常識にとらわれない”教育を受けた子どもたちの未来が楽しみだ。

N中等部への出願は9月13日より公式サイトで受け付けている。