EC決済サービス市場の拡大は「キャッシュレス決済」競争がけん引

公開日:
矢野経済研究所は、国内のEC決済サービス市場の現況、参入企業の動向の解明のために調査を実施、9月14日にその結果を発表した。それによると、2017年度のEC決済サービス市場規模は、前年度比7.2%増の約10兆7,000億円の見通しで、2022年度には、約18兆7,288億円まで拡大すると予測している。
EC決済サービス市場の拡大は「キャッシュレス決済」競争がけん引

拡大するEC市場、2017年度は約10兆7,000億円の見通し

経済産業省によると、インターネットやスマートフォンの普及など、ネット上でショッピングができる環境の整備が進むにつれ、国内のBtoCのEC(Electronic Commerce:電子商取引)市場規模が拡大しているという。

この調査は、国内のEC決済サービス市場の現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにするためのもの。ECサイト向けの決済サービス提供事業者、および関連事業者などを対象とし、同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

調査におけるEC決済サービスとは、ECサイト運営事業者と決済サービス提供事業者との間に入り、ECサイト運営事業者において発生する決済業務を代行するサービスをさす。

出典:プレスリリース

調査の結果、​2017年度のEC決済サービス市場規模(ECサイト向け決済サービス提供事業者の取扱高ベース)は、前年度比7.2%増の約10兆7,000億円と見通している。

決済関連事業の競争激化が市場拡大をけん引

同社では、この増加の背景として、決済代行業者や多様な決済手段を提供する決済代行会社であるPSP(Payment Service Provider)の競争激化があるとしている。

これらは、これまでEC加盟店向けの決済サービスを中心に展開してきたが、近年では、手数料率の引き下げ競争が続くなど、競争環境が激化しており、収益維持が厳しい状況となっているという。

そのため、決済手段意外の付加価値を提供し、差別化を図る事業者も増えているという。

たとえば、加盟店におけるインターネット広告や顧客満足度を向上させる取り組みであるCRM(Customer Relationship Management)の提案、サイト集客支援や販促支援、決済を担保とした融資であるトランザクションレンディングなどの融資サービスなどがそれである。

また、このような決済関連事業は、加盟店の売上拡大による取扱高の向上につながり、決済代行業者やPSPの事業拡大につなげていると分析している。

次々に現れる新決済サービス

また、この調査では、注目トピックとして、新決済サービスの拡大を挙げている。

この競争激化の背景には、API(Application Programming Interface)経済圏があるという。

API経済圏とは、インターネットの進化やスマートフォンの普及に加え、クラウドの進展およびソフトウェアの機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約である。

そして、これがオンライン決済サービスを提供するスタートアップ企業を増加指せていると分析している。

まず、拡大が予測される新決済サービスとして、数行のコードを貼り付けるだけで、決済サービスを導入できるサービスを挙げている。これにより、決済サービスの導入障壁が格段に低くなっているという。

​また、グローバルで携帯通信事業者を統合した決済サービスもある。通話料と一緒にコンテンツ利用料や課金などを徴収するサービスである「キャリアビリングアグリゲーションサービス」の事業者は、確実に拡大しているという。

そして、電話番号やメールアドレスなどで与信をして、加盟店の消費者向けに後払いするサービスがある。これを提供する事業者も、導入実績を上げており、さらなる成長を見込んでいるとしている。

矢野経済研究所では、今後台頭する可能性のある決済サービスとして、仮想通貨を活用した決済サービスを挙げている。

2022年度には約18兆7,288億円まで拡大

以上の結果から、同社ではEC決済サービス市場は、BtoC市場の拡大基調の見通しを背景に、引き続き伸長すると予測している。

また、EC決済は、後払い決済やID決済などの新決済サービスが拡大しており、今後その必要性はどんどん高まると予測。公共料金や家賃、教育、冠婚葬祭など費用など今まで現金決済が主流であった生活関連分野における決済サービスの利用率のさらなる拡大により、EC決済サービス市場も拡大基調を維持していくものとみている。

これらのことから、EC決済サービス市場規模(ECサイト向け決済サービス提供事業者の取扱高ベース)は、2020年度には約11兆7,462億円に、そして2022年度には約18兆7,288億円まで拡大すると予測している。

今では実店舗に行かず、ほとんどのモノやサービスが通販で簡単に購入できる。一昔前ではこんな時代が来るとは予想もつかなかった。今後のモノの購買は、ECがメインとなるだろう。

メーカーやサービス提供事業者も、それに対応した製品やサービスの提供へ柔軟な対応が必要となるだろう。