トレンドは「スキルシェア」へ、シェアリングエコノミーを消費者はどう見る?

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あらゆるモノを「共有」するシェアリングエコノミーサービスが急速に拡大している。PwCコンサルティングが9月7日に発表した「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2018」の結果によると、シェアリングエコノミーの認知度は42.4%で、昨年比10%以上増加。また今後「スキルシェア」がトレンドになる可能性を示唆している。

トレンドは「スキルシェア」へ、シェアリングエコノミーを消費者はどう見る?

「所有」から「共有」への意識変化

自宅や空き家などを宿泊施設として貸し出す「民泊」、着なくなった衣類や使わなくなったものを個人間で売買するフリマアプリなど、シェアリングエコノミーは広がりつつある。

矢野経済研究所の調査によると、2017年の国内シェアリングエコノミーサービス市場は、前年度比32.8増%の716億6,000万円となり、2022年度には1,386億円に拡大すると予測している。

この背景には世の中のモノやサービスの「所有」から「共有」への意識の変化がある。フリマアプリ「メルカリ」の調査によれば、フリマアプリの普及は「売るために大事に使う」など、消費者のモノへの捉え方自体を変化させているという。

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そこで最新の「シェアリングエコノミー」への消費者意識を、PwCの調査から掘り下げていきたい。同調査は昨年に続き2回目、日本国内全域の16歳~70代の男女を対象に実施している。9,918名にスクリーニング調査を行い、うち2,000名が調査に回答した。

シェアリングエコノミー認知度は10%以上増

まず、「シェアリングエコノミーのサービス」の認知を聞いたところ、「シェアリングエコノミーのサービスのいずれかを知っている」と回答したのは42.4%で、2017年よりも10%以上増加した。

また、「知っている」と回答した人(n=4,210)の内訳を見ると、認知されているサービスのカテゴリーは、多い順に「モノ」(70.7%)、「移動手段」(68.9%)だった。

出典:プレスリリース

10~30代、半数以上が「利用したい」

「(サービス・製品の)利用者」としての「シェアリングエコノミーのサービス」の利用意向を聞くと、10~30代の関心が高く、「利用したいと思う」「利用を検討してもいいと思う」の合計がそれぞれ半数を超えた。

出典:プレスリリース

カテゴリー別にみると、2018年は場所・空間、移動手段などの伸びに加え、「家事・手伝い・シッターなどのスキル労働力」を利用したいと考えている人が増えていることがわかった。

2019年以降は「スキルシェア」がトレンドになる可能性を予感させる。

利用メリットは「金銭的な節約」

さらに、全回答者から「シェアリングエコノミーのサービスのいずれかを知っている」「シェアリングエコノミーサービスのいずれも知らない」と答えた各1,000名を抽出し、計2,000名に対して、メリットや懸念事項などをサービスのカテゴリーごとに調査した。

その結果、「シェアリングエコノミーのサービス」を「利用者」として利用する場合のメリットについて聞くと、すべてのカテゴリーにおいて「金銭的な節約」が最多だった。

懸念することは「事故やトラブル」

出典:プレスリリース

一方、「事故やトラブル時の対応」がすべてのカテゴリーにおいてもっとも懸念されていることもわかったという。特に利用者ドラブルが多いと言われる「民泊」では、国も“民泊新法”を施行し、本格的な取り組みに乗り出している。

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「行政による規制やルールの整備・強化」が必要

次に、シェアリングエコノミーについて感じていることを聞いた。その結果、54.1%と半数以上が「行政による規制やルールの整備・強化が必要」と回答した。

出典:プレスリリース

6月には、民泊新法が施行され、これまでグレーだった「民泊」の細かい規制が決定。ようやく本格的な運用がスタートしたばかりだ。今後普及のカギを握るのは、利用者や住民の不安をどう解消していくか、という点は大きいだろう。

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また「2年後には自分がシェアリングエコノミーのサービスを利用していると思う」と回答したのは、16.4%と2割以下だった。

利用者同士の交流経験は3割弱

そして、シェアリングエコノミーのサービス利用経験者に対し、サービス・製品の「提供者」との交流経験について聞くと、27.7%が「経験がある」と回答した。

出典:プレスリリース

また、2,000名に対し「提供者」本人と会って、一緒に出かける、一緒に作業をする、取引以外の会話をするなど交流することへの抵抗の有無について聞くと、31.8%と3割以上が「抵抗はない」と回答した。

シェアリングエコノミーの今後はどうなる

決済のキャッシュレス化が進み、フリマアプリ市場はさらに拡大することが見込まれる。また民泊はインバウンド拡大とともに、需要はさらに高まるとみられている。

ライドシェアは国内での法律上すぐに普及するのは難しいが、ソフトバンクなど大手各社は世界での投資を進めており、日本の市場に合う形での導入が模索されている。

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そして、時代は「モノ」消費から「コト」消費へ。体験や経験を共有することに価値を見出す動きは、強まっていくだろう。今回のデータで見えてきた「スキルシェア」への需要が、シェアリングエコノミー市場をさらに柔軟に、大きなものへと変容させていく可能性がある。