五節句とは?意味・由来とゆかりの花、お祝いの時期や邪気を払う食べ物を解説

最終更新日: 公開日:

記事の情報は2018-10-17時点のものです。

五節句とは、季節の変わり目でその邪気を払い、無病息災を願う伝統的な年間行事です。五節供とも呼ばれるその由来と節句料理、邪気を払う食べ物とは?それぞれの節句がいつなのかとともに解説します。
五節句とは?意味・由来とゆかりの花、お祝いの時期や邪気を払う食べ物を解説

五節句・五節供の意味とは?

五節句とは、無病息災や邪気を払うための日として、伝統的な年間行事を行う風習のことを意味し、五節供(ごせっく)ともいいます。

「節」には季節の変わり目という意味があり、1年が24の節になる陰暦では、節ごとにさまざまな行事・節句が行われていました。江戸時代になり、そのなかでも特に重要な5つの節句を式日(祝日)としたのが五節句のはじまりです。

五節句が「五節供」ともいわれるのは、神前にお供え物をするという、節句の風習が由来だとされており「供(く)」は「お供え物」を意味しています。

五節句はいつなのか?

節句と聞いてすぐに思い浮かぶのは、「桃の節句」や「端午の節句」ではないでしょうか?

5つある節句のなかには、祝日ではない日もあるため、現代の日常生活ではあまり意識されなくなったものもあります。おさらいして行きましょう。

1月7日:人日の節句(じんじつのせっく)

前年の厄払いをし、新たな一年の無病息災を祈願する日が、1月7日の「人日の節句」となり、七草の節句とも呼ばれます。

当日の朝に、春の七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)の入った七草粥を食べ、万病と邪気を払います。祝い酒で弱った胃腸を休めるために、七草を薬草代わりにしたともいわれています。

3月3日:上巳の節句(じょうみのせっく)

女の子の節句として知られる雛祭りが、3月3日の「上巳の節句」であり、桃の節句とも呼ばれます。もともとは川で身を清め、不浄を洗い流す習慣が「流し雛」「ひいな遊び」などと合わさって、現代の形になったといわれています。

女の子が健やかに成長できるよう、魔除けの桃が使われ、菱餅や桃酒、ちらし寿司などが食べられます。現代では、お客様をおもてなししたり、お客様としてお宅を訪問する際のマナーを学べる機会としても見直されているようです。

5月5日:端午の節句(たんごのせっく)

男の子の誕生を祝い、健やかな成長を願うのが、5月5日の「端午の節句」であり、菖蒲の節句とも呼ばれます。門に飾った菖蒲が「尚武(しょうぶ)」につうじることから、立身出世を願って鎧兜を飾るようになったともいわれています。

縁起物として、菖蒲・柏餅・粽(ちまき)などが供えられ、菖蒲酒などとともに食べられました。現代では、男の子に限らず「子どもの日」とされ、国民の祝日に関する法律によれば「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日とされているようです。

7月7日:七夕の節句(しちせきのせっく)

牽牛星と織女星の伝説を由来とする、女性の針仕事の上達を願う中国古来の行事と、日本古来の豊作を祈る祭りが合わさったものが、7月7日の「七夕の節句」といわれ、笹竹の節句とも呼ばれます。

短冊に願い事を書いて笹竹に吊るす風習が一般的となった一方、裁縫の上達を願って素麺を食べる風習も残っています。

9月9日:重陽の節句(ちょうようのせっく)

菊の着せ綿(きせわた)にしみ込ませた露で身体を清め、菊酒を飲んで健康と長寿を願うのが、9月9日の「重陽の節句」であり、菊の節句とも呼ばれます。

この日には、桃の節句で飾った雛人形を虫干しのために飾る「後の雛」という風習もあるようです。

五節句の由来

人日の節句を除けば、五節句の日付が月と日に同じ奇数が並んでいることに気付くでしょう。これは、陽の数字である奇数が重なって、陰の数字である偶数になる日は、縁起が悪いとされたことに由来します。

特に「節」にあたる五節句では、季節ごとに魔除けとなる節句料理を食べて万病と邪気を払い、無病息災を願う行事が行われており、これが定着したと考えられています。

五節句の節句料理・邪気を払う植物

それでは、五節句で食される節句料理、邪気を払うとさせる植物とは、どのようなものでしょうか。

日付 節句 主な節句料理 邪気を払う植物
1月7日 人日の節句 七草粥 春の七草
3月3日 上巳の節句 菱餅、ちらし寿司、桃酒 桃、母子草、蓮
5月5日 端午の節句 柏餅、ちまき 菖蒲、蓮
7月7日 七夕の節句 素麺
9月9日 重陽の節句 菊酒

五節句のまとめ

月の満ち欠けを基準にした旧暦(陰暦)を用いていた時代には、現代以上に季節に対する感度が高く、それが五節句のような行事・風習につながったようですね。

新暦となった現在では、季節感が陰暦と1か月程度ズレてしまいます。当時の季節感をそのまま感じるのは難しい場合もありますが、その由来とともに節句料理を食すことで、古来の文化をちょっぴり身近に感じられるのではないでしょうか。

"おもたせ"をする際などにも、こうした季節感を取り入れられると、ビジネスパーソンとして素敵ですね。