厚労省が「平成29年度医療費動向」公表、42.2兆円で過去最高更新

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厚生労働省は9月21日、概算医療費の集計結果をまとめた「平成29年度医療費の動向」を公表した。これによると、平成29年度の医療費は42.2兆円となり、前年比で約0.9兆円の増加となった。
厚労省が「平成29年度医療費動向」公表、42.2兆円で過去最高更新

平成29年度医療費は42.2兆円、前年比0.95兆円増

厚生労働省が毎年まとめている「医療費の動向」とは、医療保険・公費負担医療分の医療費を集計しているもの。今回発表されたデータには労災・全額自費などの費用を含んでいないため、あくまで速報値(概算医療費)として公開しているものの、国民医療費の98%がこれにあたる。

出典:厚労省「平成29年度医療費動向」

平成29年度の医療費は42.2兆円となり、前年比0.95兆円の増加となった。また前年から増額した割合は、75歳未満が0.23兆円、75歳以上が0.68兆円となっている。

国の基本的な予算規模を示す一般会計総額は、2018年は97兆7128億円。つまり医療費の42.2兆円という額は、国の予算の4割を超えているということになる。

出典:厚労省「平成29年度医療費動向」

また、医療費の伸び率(対前年度比)では、 医療費の伸び率は+2.3%。平成28年度は診療報酬改定、抗ウィルス剤の薬剤料の減少などにより、一時的にマイナスとなったものの、それ以外の年で医療費は増加し続けている。

そのほかトピックスは以下のとおり

●診療種別にみると、入院+2.6%、入院外+1.6%、歯科+1.4%、調剤+2.9%。
●医療費の内訳を診療種類別にみると、入院 17.0 兆円(構成割合 40.2%)、入院外 14.4 兆円(34.1%)、歯科 2.9 兆円(6.9%)、調剤 7.7 兆円(18.3%)。
●1日当たり医療費の伸び率は+2.4%。診療種別にみると、入院+2.0%、入院外+2.1%、歯科+1.3%、調剤+1.8%。
●医療機関を受診した延患者数に相当する受診延日数の伸び率は▲0.1%。診療種別にみると、入院+0.5%、入院外▲0.5%、歯科+0.1%。

2018年から第3期「医療費適正化計画」がスタート

政府は、医療費抑制の施策として2008年から「医療費適正化計画」を進めてきた。2018年からは第3期として主に以下の施策を実施。2023年度に0.6兆円程度の適正化効果額を見込んでいるという。

●入院医療費は、都道府県の医療計画(地域医療構想)に基づく病床機能の分化・連携の推進の成果を反映させて推計する

●外来医療費は、糖尿病の重症化予防、特定健診・保健指導の推進、後発医薬品の使用促進(80%目標)、医薬品の適正使用による、医療費適正化の効果を織り込んで推計する。

出典:厚労省「医療費適正化基本方針の改正・医療費適正化計画について」

2025年に超高齢化社会を迎える日本

2025年には、「団塊の世代」がすべて75歳以上となる。いわゆる超高齢社会だ。一人ひとりの健康への意識向上とともに、高齢になっても、住み慣れた地域で生活を継続できるようにするための「地域医療」が求められている。

また、医療におけるビックデータビジネスも本格化しつつある。広域医療連携システム、地域包括ケアシステム、電子お薬手帳システムなどの情報を軸に、電子化が進んでいる。

民間のこうした技術に対する支援や連携は、今後各自治体や政府として進めていくべきだろう

また政府は、平成27年6月の「経済財政運営と改革の基本方針 2015」において、都道府県別の一人あたりの医療費差を半減させることを目指すとしている。

都市部よりも高齢化がさらに深刻な地方。地域間の医療格差をどう埋めていくかは、大きな課題だろう。今後データにもとづき、医療費の地域差について、より詳細な分析が必要だ。