労災対策は前進するか?メンタルヘルス業界初の研修と労災保険一体型サービスが誕生

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メンタルヘルス企業ラフールは10月1日、あいおいニッセイ同和損害保険とマーブルの3社で制度を構築し、業界初の保険サービスの提供を開始した。このサービスは、ラフールの研修を受講した企業で労災請求が起きた場合、あいおいニッセイ同和損保の保険が適用されるというものだ。
労災対策は前進するか?メンタルヘルス業界初の研修と労災保険一体型サービスが誕生

未だ増加の一途をたどる精神障害による労災

近年、「働き方改革」の浸透とともに、従業員が働きやすい環境づくりや健康を重視した「健康経営」を掲げる企業が増えている。

しかし、厚生労働省の「平成29年度過労死等の労災補償状況」によると、2017年度の精神障害による労災請求件数は1,732件で、前年度より146件増加している。

また、この中で、業務による心理的負荷と認定されたのは506件と、前年度より8件増加し、統計開始以降増加し続けているという。

さらに、精神障害に係る労災請求事案の場合、精神障害の結果自殺(未遂を含む)に至った事案は、1,732件中221件(うち業務上認定98件)と、従業員のメンタルヘルス対策は有用な人材損失のリスク回避のためには不可欠な状況なのだ。

このような状況を受け、ラフールでは、あいおいニッセイ同和損害保険とマーブルと提携し、新サービス制度を構築した。

ラフールの研修を受講した企業に保険を適用

ラフールは、企業のストレスチェックや研修などを実施しているメンタルヘルス企業である。今回の新サービスは、このラフールの研修を受講した企業で労災請求が起きた場合、あいおいニッセイ同和の保険が適用され使用者賠償請求の対象となるというもの。

最大で1億円までの保険がセットになったラフールだけの独自サービスだという。

出典:プレスリリース

同社によれば、ラフールの研修は日本で唯一、「内閣府認可一般財団法人 職業技能振興会」から認定を受けているものだという。

新入社員向けの研修では自己コントロールのための手法を学び、ストレスを適切に対処しモチベーション向上につながることで離職率を下げていく。

また、医療や介護などの専門的な分野で働く従業員へのアンガーコントロール、マインドフルネスを通じて折れない心を身につけるセルフマネジメントなどのメニューがあるという。

さらに保険の対象者は企業を対象としているため、研修受講者以外の人にも保険が適用される。

心の健康は研修の成果は見えにくく、企業として投資しにくい側面がある。しかし働き方改革で、長時間労働是正や休暇取得など、形だけの制度改革では本当に「イキイキと働く」ためには不十分であることも、浮き彫りになってきている。

こうした保険サービスは、企業が投資した分、きちんと補償をしてくれるという安心感があるため、「何の成果もない」と感じる企業にとっては導入障壁を下げるものとなるだろう。