茅の輪くぐりとは?意味・由来・作法とくぐり方・大祓との関係を解説

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記事の情報は2018-11-27時点のものです。

茅の輪くぐりとは、茅で編んだ直径数メートルの輪をくぐり、心身を清めて厄災を払い、無病息災を祈願する夏越の祓を象徴する行事です。スサノオノミコトの日本神話に起源のあるといわれる、茅の輪くぐりの由来とは?夏越の祓と大祓との関係性や、年越の祓えでも執り行われる事のある茅の輪くぐりの基本的なくぐり方などを解説します。
茅の輪くぐりとは?意味・由来・作法とくぐり方・大祓との関係を解説

茅の輪くぐりとは

茅の輪くぐりとは、参道の鳥居などの結界内に、茅(ちがや)という草で編んだ直径数メートルの輪を作り、これをくぐることで心身を清めて災厄を祓い、無病息災を祈願するというものです。日本神話のスサノオノミコトに由来するといわれ、唱え詞を唱えながら8の字に3度くぐり抜けます。

茅の輪くぐりは、毎年6月30日に各地の神社で執り行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」で行われる儀式であり、茅の輪くぐりが夏越の祓と同義で呼ばれるほど、日本に定着している風習です。

茅の輪くぐりの由来

茅の輪くぐりはに日本神話に由来します。スサノオノミコトが旅の途中に宿を求めた、備後国の蘇民将来(そみんしょうらい)との逸話が起源です。

貧しいにもかかわらず、喜んでスサノオノミコトをもてなした蘇民将来に対し、弟である巨旦将来(たんしょうらい)は裕福にもかかわらず宿を貸そうともしませんでした。数年後、再びスサノオノミコトは蘇民将来のもとを訪れ「疫病を逃れるために、茅の輪を腰につけなさい」と教えました。

教えを守った蘇民将来は難を逃れられ、それ以来、無病息災を祈願するため、茅の輪を腰につけていたものが、江戸時代を迎える頃には、現在のようにくぐり抜けるものになったといわれています。

夏越の祓で行われる茅の輪くぐり

茅の輪くぐりは「夏越の祓」の儀式のひとつとして行われます。

夏越の祓は、今年前半の半年間の穢れを清めて災厄を払う神事であり、このあとの後半も無事に過ごせるようにと祈る行事です。古来日本では、夏を迎えるこの時期、疫病が流行ることが多かったため、厄払いと無病息災のため、茅の輪くぐりが執り行われるようになったと考えられています。

大祓と夏越の祓の関係

夏越の祓は、12月31日の年越の祓と対になる神事。この2つの神事をあわせて「大祓(おおはらえ)」と呼びます。どちらも災厄を祓い清める儀式です。

茅の輪くぐりは、多くの場合で夏越の祓で執り行われている一方で、一部の神社では年越の祓えでも行われているのは、どちらも大祓であることが関連していると思われます。

茅の輪くぐりのくぐり方

茅の輪くぐりのくぐり方は、唱え詞を唱えながら、8の字に3度くぐり抜けるのが一般的です。もっとも基本的だと思われる茅の輪くぐりのくぐり方は、以下のようになります。

  • 1周目:正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ、左回りで正面に戻る
  • 2周目:正面でお辞儀、右足で茅の輪をまたぎ、右回りで正面に戻る
  • 3周目:正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ、左回りで正面に戻る
  • 正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ、参拝へ

茅の輪くぐりのときには、神拝詞(となえことば)を声に出さずに唱えます。代表的なものは以下のようなものです。

「祓い給へ 清め給へ 守り給へ 幸え給へ」
(はらへたまへ きよめたまへ まもりたまへ さきはえたまへ)

また、茅の輪くぐりの時の神拝詞(となえことば)は、地域や各神社で異なるようです。茅の輪くぐりをする際は、各神社でお尋ねるとよいでしょう。以下のように、1周目から3周目でそれぞれ、神拝詞(となえことば)が異なる場合もあるようです。

  • 1周目:水無月の 夏越の祓 するひとは 千歳の命 延ぶというなり
  • 2周目:思ふ事 皆つきねとて 麻の葉を きりにきりても 祓へつるかな
  • 3周目:宮川の 清き流れに 禊せば 折れることの 叶わぬはなし

神社ごとに異なるくぐり方

茅の輪くぐりのくぐり方は、神社ごとに異なります。これは、神社ごとに祭神が異なるからです。

たとえば、1周少ない2周になっている場合、神拝詞(となえことば)が「蘇民将来 蘇民将来」「祓い給ひ 清め給へ 守り給へ 幸へ給へ」となる場合などがあり、混雑時には1周のみになることもあります。

茅の輪くぐりの作法

茅の輪くぐりの茅を引き抜き、持ち帰るのは、絶対にしてはいけないことであり、作法に反します。

茅の輪くぐりは、くぐる事によって参拝者の穢れや厄災を、茅の輪に移し清めるためのものです。つまり、それを持ち帰る事は、自らの穢れや厄災を持ち帰るようなものなのです。

茅の輪くぐりが体験できる神社

それでは最後に、茅の輪くぐりのできる神社をいくつか紹介しておきましょう。

廣峰神社(兵庫県)

兵庫県の廣峰神社(ひろみねじんじゃ)は、スサノオノミコトの別名である牛頭天王の総本宮で、境内の地養社には蘇民将来が祀られている、スサノオノミコト縁の神社です。

毎年、6月30日には茅の輪くぐりができ、午後4時から大祓式も執り行われます。

城南宮(京都府)

京都府の城南宮(じょうなんぐう)では、毎年6月25日〜30日の午前9時〜午後4時の間、参道に設けられた茅の輪くぐり、禊の小川に人形を流す人形流しに参加できます。30日の午後3時からは、夏越の祓も執り行われます。

また、城南宮では7月1日〜7日にかけ、クルマでくぐれる茅の輪くぐりも執り行っています。

出雲大社(島根県)

島根県の出雲大社では、少し変わった茅の輪くぐりを体験できます。

6月30日の午後5時〜8時にかけて執り行われる「輪くぐり神事」では、縄跳びのようにU字をした茅の輪をまたぐというものです。

神田明神(東京都)

大己貴命、少彦名命、平将門命が祭神となる、東京との神田明神では、6月30日の午前・午後に茅の輪くぐりが執り行われます。

また、年越の祓でも茅の輪くぐりが執り行われ、12月30日、31日の午後に参加できます。

芝大神宮(東京都)

東京都心の神社である芝大神宮では、天照大神、豊受大神が祀られており、石段の途中となる踊り場に茅の輪が設置されます。

6月中旬から7月初旬まで設置されており、期間中に茅の輪くぐりに参加できます。

茅の輪くぐりのまとめ

自身の穢れや厄災を祓い清め、この先半年の無事を祈る茅の輪くぐり。基本的な茅の輪くぐりのくぐり方を覚え、半年間の厄災を祓いに、近くの神社を訪れてみてはいかがでしょうか。

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