独身の日(W11/双11)の由来・アリババの2018年売上・越境EC動向まとめ

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独身の日(W11/双11/ダブルイレブン)は中国最大のネットセールの日。アリババがその取引額が過去最高の約3.5兆円を記録したことが分かりました。アリババグループの天猫(Tモール)がネットショッピングの日としてセールを始め、京東(ジンドン)などのECサイトも追随。独身者に限らず多くの人がネットで買い物をする一大イベントとなっています。日本の小売業界にも影響を及ぼすようになった独身の日とは何か、由来や売上規模の推移などについて説明します。

独身の日(W11/双11)の由来・アリババの2018年売上・越境EC動向まとめ

11月11日は独身の日

独身の日は、毎年11月11日に中国で開催されるネットセールで話題となるため、日本でも耳にしたことがある人が増えているようです。また近年は、中国に対して越境EC事業を行う日本の企業にとっても、重要なイベントとなっています。本記事では、そんな「独身の日」とは何かについて説明します。

独身の日の由来

独身の日は中国で「光棍節(こうこんせつ)」と呼ばれています。「節句」は中国で祝日のことを指しますが、光棍節は中国の公式の祝日ではなく1990年代に発生した風習だと言われています。

11月11日は1が4つ並ぶ、つまり独り者の日だということで、中国語で独身者を表す「光棍」の祝日を指すスラングとして使われはじめました。恋人や結婚相手を探す男女が集まるパーティが開かれたり、贈り物をし合ったりして、独身を楽しむ日として広まったようです。

日本では主に「独身の日」と呼ばれています。また、独身の日は11が2つ並ぶことから、「W11」「双十一」「ダブルイレブン」とも呼ばれています。もちろん、中国の公式の祝日ではないので、仕事や学校が休みになるわけではありません。

盛り上がるネットショッピング

近年、独身の日はネットショッピングの日としても有名になりました。独身の日には中国の各ECサイトやモールが大々的にセールを行います。

独身の日のネットセールは、中国最大手のネットショップ「天猫(Tモール)」が、デートに行けない独身者はネットで買い物をしようというコンセプトでセールを行ったことが始まりだとされています。

以降、他のサイトやモールもこのキャンペーンに追随してセールを展開したことから、独身の日はネットショッピングの日となり、このカルチャーは海を越えて中国国外へも伝播しつつあります。

拡大する越境EC市場

日本企業も、独身の日に商機を見出しています。ネットショッピングをする日なので、対象となる商品は中国国内に限らないのです。魅力的な商品があれば、海外の通販サイトやモールからも商品を購入します。

ちなみに、中国以外の国の商品だと、日本のものが一番売れているそうです。ドクターシーラボや、ユニチャーム、カルビー、ユニクロなど、中国でのマーケティングに力を入れてきた企業が、独身の日の"勝者"になりつつあるといいます。

独身の日は、「越境EC」に取り組む企業にとって大きなビジネスチャンスなのです。越境ECとは国境を越えて通信販売を行うことで、物理的に海外に店舗を構えなくても、海外に事業展開できる手段として近年注目を集めており、市場も拡大しています。

「爆買い」に象徴されるように、日本の商品やサービスの購入について関心を持つ中国人が多いため、独身の日は日本の商品を中国に販売したい企業にとって重要な日です。ちなみに経済産業省の報告書によると、2017年度における中国から日本経由の越境EC(BoC)の市場規模は1兆2,978 億円で、前年比25%増となっています。

バイドゥが発表した調査結果によると、インバウンドにおける実購買が、帰国後のECサイト利用における顧客単価アップに繋がることが示されており、ウェブマーケティング戦略の再考も必要だとされています。

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独身の日の売上規模

独身の日が中国における重大なセールであることはこれまで説明したとおりですが、どのくらいの売上規模があるのかについて説明します。

中国全体の売上規模

中国ではネット通販会社としてアリババや京東(ジンドン)などが有名ですが、2017年の独身の日は、アリババと京東を2つ合計しただけで売上規模は約5兆円。同年度の楽天の国内EC流通総額が約3.4兆円と報じられているなかで、独身の日たった1日で「5兆円」を売り上げるという数字の規模が伺えます。

2018年「独身の日」のアリババについて

中国のEC最大手アリババの売上規模について、見てみましょう。アリババの2017年流通総額は82兆円。日本の小売市場は139兆円8,770億円といわれていますから、アリババ1社でその約6割に相当するほどの驚異的な規模です。月間モバイルアクティブユーザーは6.3億人。世界的にも最大級のオンライン・モバイルコマース企業だといえます。

そのアリババの2018年「独身の日」における流通総額は、前年比127%の約3.5兆円に達しました。2017年は約2.8兆円、2016年は約1.8兆円といわれていますから、右肩上がりに増加しています。同社の発表によれば参加企業国は225か国(国連の加盟数より多いそう)で、独身の日はもはや「世界ショッピングデー」となっています。売上が1億元以上を達成した店舗は210店舗もあり、日本企業も20社前後あったそうです。

近年はオンラインとオフライン(実店舗)が融合した販促戦略や、ARのゲームやアプリを上手く活用するなどの販促活動が功を奏し、売上は拡大傾向にあるようです。また、中国国内だけではなく、日本やアメリカ、ヨーロッパなどのグローバルブランドにも、天猫を形取ったキャンペーンマークを作ってもらうなど、中国国外も含めて盛り上げ施策に余念がありません。

2018年「独身の日」には、配送個数は10億個、アリペイトランザクションは14.8億を記録しましたが、こうした大規模な販売、決済、そして配送を支えるインフラこそが、アリババの強み。特に2018年は、これらがほぼ遅延なく順調に処理された記念すべき年だったといいます。

独身の日は中国産業のデータ化・ロボット化推進の「起爆剤」

2009年にネットセールが始まった頃は、 EC企業にとって在庫整理やバーゲンセールの機会だった独身の日ですが、近年はオンラインとオフラインを融合する機会として、そのビジネス的価値が見直されています。

2017 年は「新小売元年」とも呼ばれ、小売企業によるオンラインチャンネル開拓、EC企業によるオフラインの出店が加速しました。オンライン・オフラインの相乗効果による売上拡大はもちろんですが、顧客を消費データを収集できる絶好の機会だととらえる企業が増加していると考えられ、ビッグデータ解析による売上予測や販促活動の激化は今後も続くと見られています。

他方、こうした物販を支えるバックオフィスにあたる物流業界の発展も見逃せません。もっとも負荷のかかる独身の日を乗り切るため、物流企業では人間とロボットの協働が不可欠だと考えられ、スマートロボット倉庫、無人搬送車、機械アームなどへの投資もさかんに行われているのです。

独身の日は、中国の小売・物流業界のさらなるデータ化・ロボット化を推進する「起爆剤」としても注目を集めています。

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