ロボット大賞2018、工場の稼働停止ふせぐIoTシステムが2冠、ドローン2技術も受賞

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経済産業省と日本機械工業連合会は、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省との共催により「第8回ロボット大賞」を実施、10月12日に受賞ロボットを発表した。2018年のロボット大賞を制したのは、ファナックの「ZDT(ゼロダウンタイム)」。工場の生産性向上や人手不足に寄与する実績から、経済産業大臣賞と総務大臣賞の2冠に輝いた。
ロボット大賞2018、工場の稼働停止ふせぐIoTシステムが2冠、ドローン2技術も受賞

ロボット技術発展のため優れたロボットを表彰

ロボット大賞は経済産業省と一般社団法人日本機械工業連合会が中心となり、ロボット技術の発展やロボット活用を促すため、特に優れたロボットなどを表彰する事業である。2006年に開始してから今回で8回目の実施となる。

ロボット大賞は、ものづくり分野はもとより、サービス分野、介護・医療分野、インフラ・災害対応・建設分野、農林水産業・食品産業分野など幅広い分野のロボット技術を対象としている。各省が管轄する産業分野に基づき、経済産業大臣賞、総務大臣賞、文部科学大臣賞、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、国土交通大臣賞、および中小・ベンチャー企業賞(中小企業庁長官賞)、日本機械工業連合会会長賞、優秀賞、審査員特別賞が設けられており、今年は全161件の応募があった。

2018年は、経済産業大臣賞および総務大臣賞を、ファナックの「ZDT(ゼロダウンタイム)」が受賞した。

2018年の大賞受賞ロボット

工場の人手不足を解消する「ZDT」が2冠

2つの大賞を同時に受賞した「ZDT」は、工場で稼働している産業用ロボットをネットワークで接続し、ロボットからの情報をサーバで集中管理することで、予防保全や故障予知を実現。そして稼働停止時間(ダウンタイム)をゼロにするというIoT技術だ。

ファナック「ZDT」/出典:プレスリリース

ロボットの機構部やシステムの状態を監視し、故障を予知した場合には顧客に自動でメール通知したり、サービス員が電話連絡して注意を喚起したりして、稼働停止を未然に防ぐ。世界2万台のロボットと接続しており、3年間で390台以上のダウンタイムを阻止した実績を持つという。

評価のポイントは次のとおり。

世界に先駆けてIoTシステムの事業化を実現し、製品のIoT化による新たな顧客価値の創出とともに、収益事業として成功させた事業実績を高く評価。本システムは製造業における生産性向上や保守要員不足といった課題解決に寄与するという点に加え、製品のネットワーク化によるビッグデータ解析を通した新たなソリューションの提供という、情報通信技術を有効に活用したモデルを示したという観点での功績も大きい。(出典:プレスリリース)

災害・農業・医療で活躍するロボットが大臣賞に

そのほかの各大臣賞は災害、農業、医療の各分野で活用できるロボットが選ばれている。

まず文部科学大臣賞は、田所・昆陽・多田隈研究室(東北大学)の柔剛切替グリッパ機構 「Omni-Gripper」が受賞した。

袋構造のグリッパ機構は形や大きさがバラバラな物でも損傷を抑えてつかめる一方で、耐久性に問題があった。受賞したOmni-Gripperは高い耐久性を特徴としており、刃物のようにとがった物でもつかめる。多様な素材の瓦礫が散らばる災害現場でのニーズに対応できることから、今後の事業展開も期待される点が評価された。

厚生労働大臣賞は、トヨタ自動車/藤田医科大学のリハビリテーション支援ロボット「ウェルウォーク WW-1000」が受賞。脳卒中などによる下肢麻痺者を対象としており、患者の能力にあわせて練習難易度を調整できるなど機能が豊富なことに加えて、着脱の簡単さや操作パネルによる一括操作など、現場のニーズを第一に考えられた使いやすさが評価された。

農林水産大臣賞は、完全自動飛行のドローンによる「空からの精密農業」(ナイルワークス)が受賞した。ドローンを作物上空30~50cmの至近距離で飛行させ、薬剤の自動散布、1株ごとの生育自動判断を行う。米以外の農作物への転用も見据えており、スマート農業の推進という観点からも評価されている。

ナイルワークスの農作業用ドローン/出典:プレスリリース

国土交通大臣賞もドローンを用いたもの。ドローンとセンシング技術を活用し、火山噴火時の立入制限区域内でも地形情報などを遠隔から取得、土石流発生予測を行うシミュレーションが可能となるシステムを、東北大学 フィールドロボティクス研究室、国際航業、イームズラボ、工学院大学システムインテグレーション研究室が開発した。

現場重視のロボット開発が進む

ほかの受賞ロボットも、現場での使用を重視したものが並んだ。各大臣賞以外の受賞ロボットは次のとおり。

  • 中小・ベンチャー企業賞(中小企業庁長官賞)
    ニッコー:ホタテ貝柱自動生剥きロボット「オートシェラー」を中核とする水産加工システム

  • 日本機械工業連合会会長賞
    がんこフードサービス「自動搬送ロボット導入による料亭の接客サービスの効率化」/安川電機「MotoMINI」

  • 優秀賞(サービス分野)
    ATOUNのパワードウェア「 ATOUN MODEL Y」

  • 優秀賞(インフラ・災害対応・建設分野)
    大成建設/筑波大学のコンクリート床仕上げロボット「T-iROBO SlabFinisher」

  • 優秀賞(ビジネス・社会実装部門)
    清水建設「シミズ スマート サイト」

  • 審査員特別賞
    NPO自動化推進協会「自動化基礎講座およびメカトロニクス技術者試験の推進」

なお、受賞ロボットは東京ビッグサイトで開催中の「World Robot Summit 2018 / Japan Robot Week 2018」会場にて19日まで展示される。