目のくらむ高さからスケードボードで急斜面を駆け下る、マウンテンバイクで華麗なバックフリップを決める、思わず釘付けにされてしまうシーンを見かけたことがないでしょうか。そういったアクティブな競技を「エクストリームスポーツ」と呼び、世界的に盛り上がっています。
エクストリームスポーツにはどんな種類があって、何が魅力なのでしょうか。若者を中心に支持を集めるエクストリームスポーツについて紹介します。
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- エクストリームスポーツとは
- エクストリームスポーツの歴史
- エクストリームスポーツの種類
- フリーランニング編
- バイク編
- 自転車編
- その他エクストリームスポーツ一覧
- 危険度MAX!?最新エクストリームスポーツトレンド
- 今すぐ体験できるエクストリームスポーツ
- フライボード
- ハイドロスピード
- バンジージャンプ
- ゾーブ
- デュアルスノーボード
- なぜエクストリームスポーツは人気なのか
- エクストリームスポーツと若者文化の結びつき
- エクストリームスポーツを世に広めた「X Games」
- 東京オリンピック正式種目にもエクストリームスポーツ
- エクストリームスポーツがもたらす可能性
- レッドブルによる取り組み
- エクストリームスポーツで地方創生
- エクストリームスポーツはより人気に?
エクストリームスポーツとは
エクストリームスポーツ (Extreme Sports)とは、離れ技を売りとする過激な競技のこと。「極限、過激」の意味を持つExtremeからきており、省略して「エックススポーツ(X Sports)」または「アクションスポーツ」とも呼ばれます。
エクストリームスポーツの歴史
エクストリームスポーツの発祥は、1979年にオックスフォード大学の「デンジャラス・スポーツ・クラブ」が決行した世界初のバンジージャンプだといわれています。それ以来、エクストリームな要素がさまざまなスポーツに加えられ、ある種過激化していきました。
そうしたエクストリームスポーツを集め、米国のケーブルテレビネットワーク・ESPNによって開催されるようになった大会が、いまも絶大な人気を誇る「エックスゲームズ(X Games)」です。2018年平昌オリンピックのメダリスト、スノーボードの平野歩夢選手もX GAMES ASPENで優勝した経験を持ちます。
エクストリームスポーツの種類
ただ過激で危険なだけではエクストリームスポーツとはいえません。以下からはエクストリームスポーツの代表例と最新のトレンドを紹介します。
フリーランニング編
パルクール
パルクールは、障害物のあるコースを身体だけで素早く通り抜ける競技。フランスの軍事訓練から発展し、走る・跳ぶ・登る・飛び移る・飛び乗る・回転するなどの動きを基本にした高度なアクションが必要です。
トレイルランニング
トレイルランニングは、草原などの不整地(ダート)を走るクロスカントリーに、マラソンや山登りの要素を加えた競技。山岳耐久レースと呼ばれることもあり、遭難などの危険性もあるため、必要な装備を専用リュックサックに入れて参加します。
バイク編
エクストリームバイク
エクストリームバイクは、専用に改造された大型バイクを使い、ウィリーやジャックナイフなどのアクロバティックな技を披露する競技。重量のあるバイクを自在に操るテクニックを競うもので、速さを競うものではありません。
フリースタイルモトクロス
フリースタイルモトクロスは、不整地(ダート)を集団で走るモトクロスから派生したジャンプ時のアクションを競う競技で、FMXとも呼ばれます。金属製のカタパルトといわれるジャンプ台の利用が一般化し、後方2回転(ダブルバックフリップ)などのテクニックを競います。
自転車編
BMX
BMXは、モトクロッサーというバイクの代わりに自転車を使う競技で、Bicycle Motocrossの略称です。フリースタイルのほかにも、街中の障害物をクリアするストリート、モトクロス同様にダートを集団で走るレースがあります。
ダウンヒル
ダウンヒルは、マウンテンバイクを使って急斜面の山岳路を高速で掛け下る競技です。専用に作られたマウンテンバイクが使用され、時速60kmを超える場合もあるため、エクストリームスポーツのなかでも危険な競技に分類されます。
その他エクストリームスポーツ一覧
- ボルダリング
- スキーボード
- サーフィン
- ケイビング
- フリークライミング
- アグレッシブインラインスケート
- ベースジャンピング
- ウィンドサーフィン
- 洞窟潜水
- カイトサーフィン
- ラフティング
- カーサーフィン
- スカイダイビング
- フリーダイビング
- ディープウォーターソロ
- パラモーター
危険度MAX!?最新エクストリームスポーツトレンド
ボルケーノ・ボーディング
ボルケーノ・ボーディングは、マグマが噴出するような活火山の内壁を、ロープを付けた専用のボードに乗って猛スピードで滑降するエクストリームスポーツです。岩で火傷する可能性もある危険な競技であり、中央アメリカ・ニカラグアで体験できます。
クロコダイル・バンジー
ワニのなかでももっとも獰猛なクロコダイルが集まる池に向けて、バンジージャンプをするのがクロコダイル・バンジー。命の危険さえあるこのスポーツは、アフリカ・ザンベジ川で体験できます。
ウィング・ウォーキング
ウィング・ウォーキングは、バイプレーンという複葉の軽飛行機の翼にストラップで身体を固定し、そのままアクロバット飛行を行うエクストリームスポーツです。最大3Gもの負荷がかかるとされており、英国・サマーセット洲で体験できます。
マウンテン・ユニサイリング
マウンテン・ユニサイリングは、高山などの大自然をマウンテンバイクで走る「MTBトレイルライド」を、一輪車を使って行うエクストリームスポーツです。カナダ・バンクーバーにあるスパニッシュバンクスで体験できます。
今すぐ体験できるエクストリームスポーツ
さまざまな種類があるなかでも日本で人気が高まりつつあり、非日常の体験ができるエクストリームスポーツを紹介します。
フライボード
ウォータージェットの噴流で動く水上バイクを利用し、噴出口とホースでつながれた機械に足を固定して、ジェット噴流の力で空中を自在に飛び回るのがフライボードです。
広いスペースが必要なフライボードは、沖縄本島の北谷や千葉でも体験できます。
ハイドロスピード
ハイドロスピードは、専用のボディボードを使って激流のなかを川下りします。厚手のスーツを身に付け、岩に当たらないよう、足に付けたフィンでコントロールします。
群馬・水上、東京・奥多摩などで体験でき、20分ほどの事前練習が必要です。
バンジージャンプ
エクストリームスポーツ発祥の競技でもあるバンジージャンプ。日本でもさまざまな地域で体験でき、人気の高いアクティビティです。
龍の形をした湖上に架かる茨城県の竜神大吊橋は、歩行者用の橋として日本最大の長さを誇ります。日本最大なのは長さだけでなく、ここから湖面までダイブするバンジージャンプは高さ100mと、こちらも日本最大の高さを誇ります。
ゾーブ
ゾーブは、巨大で透明な二重構造のボールのなかに人間が入り、斜面を転がり落ちるなどして楽しむスポーツです。なかに水を入れるハイドロゾープ、ハーネスを付けるハーネスゾープなどの種類があります。
大分県の城島高原パーク、熊本県の芦北海浜総合公園で体験できます。
デュアルスノーボード
小さなスノーボードを左右両足に装着して楽しむのがデュアルスノーボードです。セパレートスノーボードともいわれ、ミニスキーのスノーボード版といえるかもしれません。日本では2015年に発売されているものの、利用可能かどうかはゲレンデごとに問い合わせた方がいいでしょう。
なぜエクストリームスポーツは人気なのか
エクストリームスポーツには、よく知られているバンジージャンプや自転車・バイク操る競技から、ゾーブ、フライボードといった新ジャンルともいえる競技まで、さまざまな領域で楽しまれています。
あらためてなぜエクストリームスポーツが世界的な人気を得たのか、その魅力と最高峰の大会であるX Gamesを紹介しましょう。
エクストリームスポーツと若者文化の結びつき
エクストリームスポーツは、自身の能力の限界や、過激な状況に挑戦する姿勢だけでなく、音楽やファッションとも深く結びついています。
たとえば、スケートボードやスノーボードでは、BGMにヒップホップやスラッシュメタルなどが使われ、選手はそのイメージに合ったファッションに身を包みます。これが若者文化にフィットし、アピールする要因にもなっているのです。
エクストリームスポーツを世に広めた「X Games」
エクストリームスポーツを世に広めたのが、米国のテレビ番組「X Games」です。年2回、夏と冬に開催されており、スケートボーディングやBMX、スノーボーディングやスキーなどをスタイルによって分類、メダルを争います。
ワールドカップよりもX Gamesを優先する選手がいるほどレベルが高く、大会のもようは世界60か国以上で放映。関連スポーツのブランドも積極的に展開されています。米国以外の国でも、Asian X Games、European X Games、Latin X Gamesといった大会が開かれています。
東京オリンピック正式種目にもエクストリームスポーツ
世界的にエクストリームスポーツの人気が高まるなか、スケートボーディングの「ストリート」「パーク」男女4種目が、2020年東京オリンピックに正式種目として採用されました。
スノーボーディングやスキー、BMXなど、今後もエクストリームスポーツがオリンピック競技として採用されるのか、注目されています。
エクストリームスポーツがもたらす可能性
音楽やファッションとも深く結びついているエクストリームスポーツは、スポーツのエクストリーム(過激さ)が興奮度をもたらすほかにも、若者文化にアピールするマーケティング展開にも大きな可能性を秘めています。
レッドブルによる取り組み
F1チームも所有するレッドブルは、数多くのエクストリームスポーツ選手をスポンサードするだけでなく、モトクロッサーを使ったRed Bull X-Fighters、専用の飛行機を使ったRed Bull Air Raceなどの大会にも協賛しています。
エクストリームスポーツに結びつけて自らのブランドイメージを高めるのに役立っているだけではなく、レッドブルの缶を積んだ特徴的なサンプルカーにより、観客に強いイメージを与えることにも成功しています。
エクストリームスポーツで地方創生
一方、野球やサッカーなどのメジャーなスポーツ人口が減少し、スポーツ余暇市場規模が1兆円減少すると見られる日本国内では、まだまだ認知の進んでいないエクストリームスポーツ振興を進め、地方創生に役立てようとする取り組みが行われています。
神奈川・川崎市では、BMXやスケートボード、ブレイクダンスなど、エクストリームスポーツとストリートカルチャーを活用したストリートフェスティバルの開催など、若者文化を積極的に取り入れた施策を打ち出しています。周辺の企業とマッチング・連携させて川崎市全体の活性化を狙っています。
また大自然のなかで行う競技も多く、SNSなどには自然とのコントラストが美しい写真が多数投稿されています。エクストリームスポーツと関連させたPRの道もあるかもしれません、。
エクストリームスポーツはより人気に?
アクロバティックな技が魅力のエクストリームスポーツ (Extreme Sports)。「エックススポーツ(X Sports)」または「アクションスポーツ」とも呼ばれます。エクストリームスポーツは音楽やファッションとも結びつきが強く、2020年東京オリンピックの正式種目に採用されたこともあり、日本でもますます注目度が高まると考えられます。
その種類は、身一つで街なかを走り抜けるトレイルランニングといった競技から、自転車を華麗に乗りこなすBMXまで、多岐にわたります。団体競技としての性格が薄く個人で挑戦できるものが多いため、各所で実施されている体験にチャレンジしてみるのもよいでしょう。