大晦日、何する?何食べる?知っておきたい由来・行事・料理

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記事の情報は2018-12-31時点のものです。

12月31日、大晦日(おおみそか)は、無事に一年を過ごせたことを感謝し、新しい年を迎える準備をする日です。除夜の鐘をついたり、年越しそばを食べたりと、新年の幸福を願う行事を行います。大晦日の由来や意味、行事、料理など、大晦日について知っておきたいことを解説します。よい新年を迎えるためにも充実した大晦日を過ごしましょう。
大晦日、何する?何食べる?知っておきたい由来・行事・料理

大晦日(おおみそか)とは

一年の最終日、12月31日のことを「大晦日(おおみそか)」と呼びます。

大晦日は、月の満ち欠けを表す「晦日(みそか)」という言葉に由来します。旧暦では、晦日には月の最終日という意味があり、12月の最終日をその年の最終日として大晦日と呼んでいるのです。

晦日とは

晦日(みそか)は「三十日」とも書き、三十のことを指します。旧暦では月の三十日目を晦日と呼び、新暦に変わってからは月の最終日を晦日と呼ぶようになりました。

また新月を1日とすると30日目の晦日の頃には再び新月となるので、月が隠れるという意味の「月隠り(つきごもり)」から転じて、晦日(晦)の別名を「つごもり」、大晦日を「おおつごもり」とも呼びます。

旧暦との関連

旧暦は、月の満ち欠けで暦が決まりました。新月から始まって満月となり、また月が隠れていく過程を基準にしています。

新暦に変わってからは、ひと月に31日まである月が出てきたことで、晦日は日付に関係なく月の最終日を指す言葉へと変わり、月末を晦日と呼ぶようになりました。

そして12月の最終日である12月の晦日に「大」がつき、大晦日となりました。

代表的な大晦日の行事・やること

大晦日は、暦のうえでも特別な日。1年を締めくくる日、また翌年の幸せを祈る日として、除夜の鐘をついたり年越しそばを食べたりと、多くの習慣が残っています。それぞれの行事・やることにはどういった由来があるのでしょうか。

除夜の鐘

大晦日の夜から午前0時を挟んで元旦まで鳴らす鐘を「除夜の鐘(じょやのかね)」といいます。多くの寺院では仏教に基づき108回鳴らします。

仏教では108の煩悩があるとされています。煩悩とは心を惑わせて乱したり悩ませ苦しめたりする心のことで、108の煩悩を大晦日に鐘と供に祓う儀式が除夜の鐘です。ただ寺院によっては108回ではなく200回以上鳴らす場合もあります。

除夜の鐘は僧侶が鐘をつく寺院もあれば、一般人に開放して鐘を参拝者につかせてくれる寺院もあります。除夜の鐘を聴きながら新たな年に思いを馳せたり、鐘をついて気持ちを引き締めたりして、大晦日を味わえます。

年越しそば

大晦日に食べる行事食の代表が「年越しそば」です。TV番組などでも多く取り上げられ、年末を彩る風景の一つ。

年越しそばには、細く長いそばの形状から「長寿祈願」や「家運長命」、金銀細工師がそば粉を使って散らばった金を集めたことから「金運上昇」、そばの実は雨風にも負けず育つことから「無病息災」といった願いもこめられています。

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大掃除

年末におこなう大掃除は、12月に行われる、壁や天井などにたまった煤(すす)を払う「煤払い(すすばらい)」を由来としています。煤払いは、一年間にたまった煤を払い綺麗にしてから正月に神様をお迎えするという宮中の行事が原型となっています。

大掃除の風習の歴史は古く、江戸時代には大奥で、12月13日に煤払いが行われていました。煤払いの後、大晦日まで身を清める時間にあてていたそうです。大掃除は新年に歳神様に来ていただくための大切な行事なのです。

世界の大晦日事情は?

日本とは文化や宗教観が異なる世界各国。大晦日の過ごし方や、元旦のとらえ方は日本と異なります。世界ではどのような大晦日を過ごし新年を迎えているのでしょうか。アメリカ、スペイン、イタリアの大晦日事情について解説します。

アメリカ

アメリカでは、カルフォルニアのディズニーランドなどさまざまな場所で、花火を打ち上げるなど盛大なカウントダウンイベントを行います。ニューヨーク・タイムズスクエアの「Ball Drop(ボールドロップ)」も有名。毎年100万人近くが参加するといわれています。

タイムズスクエアでは、新年を迎えると同時に「今年もよろしく」という思いで大切な人とキスをしたり、周りの人とハグをしたりする光景もみられます。

スペイン

スペインでは新年を迎える際、新年のカウントダウンの鐘にあわせて「12粒のブドウ」を食べる習慣があります。12回の鐘にあわせて食べ切れば、新しい年の12か月を幸せに過ごせるといわれています。

ここでいう鐘は、マドリードの広場、プエルタ・デル・ソル(太陽の門)にある時計台の鐘の音です。大晦日には鐘が鳴るようすもテレビ中継されます。意外と早く鳴るため鐘にあわせてブドウを食べきるのも大変だとか。この習慣にあわせ、12月末はブドウの季節ではないものの年越し用の小分けにしたブドウが並びます。

イタリア

イタリアの大晦日は、豪華なディナーを食べながらにぎやかに過ごすのが定番だといわれています。都市部では各所で盛大なイベントも開かれます。

また「赤い下着を身につける」習慣も。由来は所説ありますが、かつて皇帝が赤いマントを身にまとっていたことらからイタリアでは赤がラッキーカラーとされており、赤い下着が幸運を呼び寄せるという言い伝えが広まったとされています。年末に赤い下着をプレゼントしあい、年を越したら翌日には惜しげもなく捨ててしまいます。そのため年末には、町中にプレゼント用の下着があふれています。

大晦日には何を食べる?

一年の締めくくり、大晦日には年越しそばを食べる習慣が知られています。正月にはおせちがあるように、大晦日にほかにも行事食があります。

年越しそば

健康長寿などを祈って大晦日に食べる、年越しそば。しかしその呼び名はさまざまで、「寿命そば」や「運気そば」「福そば」「縁切りそば」といった呼び方をする地域もあります。

また地域によってそばの特徴が異なり、たとえば福井県は越前そば、岩手県ではわんこそば、沖縄では沖縄そば、北海道や京都ではにしんそばを食べる人が多いという説もあります。「うどん県」で知られる香川県のように、そばではなく年越しうどんを食べる地域もあります。

年越しそばを食べるタイミングも地域や家庭によってさまざま。一般的には大晦日の夕食が多いとされているものの、除夜の鐘を聞きながらまさに年を越す瞬間に食べる地域や、元旦に食べる地域もあります。

年取りのおかず・魚

かぞえ年だと誕生日ではなく元旦に年を取ります。旧暦では陽が沈むと一日が終わり、新しい日とされていたので、大晦日の夕刻、陽が沈むころを「年取り」と呼んでいました。

年取りの風習が残っている地域では、年を重ねることを祝って大晦日に「年取りのおかず」とも呼ぶごちそうを並べます。さらに年取りのおかずとは別に、縁起のいい鮭やブリを「年取りの魚」として食すことも。交通事情が悪かったころは、魚を塩物や干物にして節分の時期まで大切に食べていたそうです。

充実した大晦日でよい新年へ

暦のうえでも特別な日、大晦日(おおみそか)。一年を締めくくりよい新年を迎えるための日として大切に過ごされていました。年越しそば、除夜の鐘など、大晦日の行事や食べる料理には由来があり、幸福を願うさまざまな願いが込められています。

大晦日の行事や習慣は地域によって内容や時期が少しずつ異なりますが、大晦日が古い年を断ち切り、新しい年を迎える準備をする日だということは変わりません。

「一年の計は元旦にあり」といえば、「終わりよければすべてよし」ともいいます。一年の最後の日である大晦日の過ごし方を今一度見直して、より充実した大晦日を過ごし、ちい新年を迎えられるようにしましょう。