2018年国内広告費 ネットが地上波に肉薄、全体の27%占める - 電通

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電通は2月、国内の広告費を推定した「2018年(平成30年)日本の広告費」を発表した。総広告費は前年比102%と7年連続でプラス。このうち、インターネット広告費が全体の4分の1以上にあたる27%へ増加、地上波テレビ広告費に迫る金額だった。また今年初めて、デジタル雑誌などを対象とした「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」も推定している。

2018年国内広告費 ネットが地上波に肉薄、全体の27%占める - 電通

2018年国内広告費、3つのポイント

  1. 日本の総広告費は6兆5,300億円(前年比102.2%)で7年連続のプラス成長
  2. インターネット広告費は1兆7,589億円(同116.5%)で5年連続の二桁成長。地上波テレビ広告費1兆7,848億円に迫る
  3. マスコミ四媒体由来のデジタル広告費を初推定、紙などは減少もデジタルは成長

電通は2月28日、国内の総広告費と媒体別、業種別広告費を推定した「2018年(平成30年)日本の広告費」を発表した。2018年の日本の総広告費は6兆5,300億円、前年比102.2%となり、7年連続でプラス成長。戦後最長といわれる景気拡大に伴い、通年でゆるやかに上昇した。

出典:電通「2018年日本の広告費」

世界経済の減速、度重なる自然災害など不安材料が多かったものの、拡大を続けるインターネット広告費が総広告費全体をけん引し、全体的に増加する結果となった。一方で、インターネットと従来からある媒体を組み合わせるソリューションの進化もみられたという。

ネット広告が4分の1超

媒体別にみると、「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」を合計した「マスコミ四媒体広告費」は、2兆7,026億円(同96.7%)と4年連続で減少。

一方「インターネット広告費」は1兆7,589億円(同116.5%)で、5年連続二桁成長を記録した。運用型広告、動画広告を中心に堅調な伸びを見せ、構成比も総広告費の26.9%(同+3ポイント)と4分の1以上を占めるまでに。前年は非開示だった「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費※」の増加による効果もあったという。

「プロモーションメディア広告費」は2兆685億円(同99.1%)とマイナスだったものの、「交通広告」「POP」「展示・映像ほか」は増加した。

次章より、それぞれを詳しく見ていく。

※マスコミ四媒体由来のデジタル広告費:マスコミ四媒体事業社などが主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費のこと。新聞デジタル、雑誌デジタル、ラジオデジタル、テレビメディアデジタルのことで、これらのデジタル広告費はマスコミ四媒体広告費には含まれない。

マスコミ四媒体広告費

新聞、雑誌、ラジオ、テレビの広告費を合計した「マスコミ四媒体広告費」は、2兆7,026億円(同96.7%)。内訳は、新聞広告費が4,784億円(同92.9%)、雑誌広告費が1,841億円(同91.0%)、ラジオ広告費が1,278億円(同99.1%)、テレビメディア広告費が1兆9,123億円(同98.2%)と、全媒体でマイナスだった。

まず新聞と雑誌は、ともに紙媒体は減少しているものの、次章で取り上げるデジタル媒体の広告費が増加している。またどちらも、紙に限定しないさまざまな資産を活用した取り組みが増えたとのこと。

ラジオ広告費は3年ぶりにマイナスとなった。通販が好調な「流通・小売業」など13業種が増加した一方、「外食・各種サービス」など8業種が減少した。各局の番組をインターネットやスマホアプリで聴ける「radiko.jp(ラジコ)」は、月間UU数とプレミアム会員数が堅調に増加し、年後半にはオーディオアドも本格的に開始。コミュニティ放送も前年に続いて堅調で、ラジオ広告費全体の押し上げに寄与したとのこと。

テレビメディア広告費は、地上波が1兆7,848億円(同98.2%)、衛星メディア関連が1,275億円(同98.1%)と、どちらも景気拡大に伴う期待に反してマイナスだった。地上波では、「精密機器・事務用品」「外食・各種サービス」「教育・医療サービス・宗教」「金融・保険」などが増加。一方で、構成比の高い「食品」「化粧品・トイレタリー」「飲料・嗜好品」などが減少した。

インターネット広告費

2018年のインターネット広告費は全体で1兆7,589億円(同116.5%)と地上波テレビの1兆7,848億円に肉薄。このうち、1兆4,480億円(同118.6%)をインターネット広告媒体費が占める。なかでも運用型広告費が1兆1,518億円(同122.5%)と伸びている。

インターネット広告媒体費のトピックは次のとおり。

  • 自社プラットフォームの開発・拡大路線をとる媒体社と、他社プラットフォームの活用を軸とする媒体社に傾向が分かれてきた。加えて、動画広告の表示フォーマット開発が進むなど、媒体UIの洗練化が進展した。

  • 大手プラットフォーマーによる事業は、広告領域だけではなく、スマートスピーカーや決済領域、自動運転車への進出など多方向に拡大中。

  • クライアントのブランドセーフティーへの関心の高まりとともに、運用型広告についてはより精緻な運用が求められている。予約型広告については評価が見直される傾向があるが、第三者配信への対応など運用型広告と同等の配信技術の導入が求められている。

  • アドフラウド問題への対処などを含め、業界全体に高いコンプライアンス意識が求められている。

  • 本広告費には含まれないが、2018年にはEコマースメディアにおける広告市場も急
    速に成長しており、今後もその動向が注目される。
    (出典:電通「2018年日本の広告費」)

さらに、インターネット広告媒体費の一部として、今年初めて「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」を推定した。新聞や雑誌のデジタル版、ラジオやテレビのインターネット配信媒体を指し、2018年は582億円だった。2017年比で二桁成長ペースの増加と見込む。

このうち、もっとも金額が大きかったのが「雑誌デジタル」(337億円)。デジタル事業拡大にともない、出版コンテンツの価値を強みに前年比200%超を達成したメディアも多かったとのこと。さらに、相次いでローンチされたデジタルネイティブメディアも好調に推移。主要出版社では、広告売上全体の40~50%をデジタルが占めるなど、デジタルメディアシフトが大きく進んだ。

「テレビメディアデジタル」も大きく増加、2018年には100億円を突破し105億円だった。地上波テレビ番組のキャッチアップ配信を行う「TVer(ティーバー)」などは、コンテンツ力を背景にさらなる展開が期待されるという。

プロモーションメディア広告費

プロモーションメディア広告費の項目は、「屋外」「交通」「折込」「DM」「フリーペーパー・フリーマガジン」「POP」「電話帳広告」「展示・映像ほか」。全体としては2兆685億円(同99.1%)で減少したものの、交通、POP、展示・映像ほかがプラスだった。

このうち、展示・映像ほかが前年比105.8%の3,585億円と好調だった。同社は次のように分析している。

  • 訪日観光客の増加や「2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会」に伴う再開発などにより、市場環境は良好だった。特に東京では、「国家戦略特区」による都市再生プロジェクトが進行しており、デジタルテクノロジーを駆使したアートイベントやeスポーツなどの開催が盛んだった。

  • 地域別では、東京の日比谷・渋谷・日本橋などで、新たな体験価値が創出される空間が誕生。また中部では、名古屋城や名古屋港周辺のテーマパーク、空港隣接地の複合商業施設などの開設が相次いだ。西日本エリアでも観光施策が活況を呈したが、とりわけ「山口ゆめ花博」は52日間で136万人強の来場者を集めるなど、多様な体験型交流プログラムが人気を博した。

  • 前年に続き、ターゲットを明確にし、SNSとの連動を狙った期間限定の「ポップアップ
    ストア」が高い話題を呼んだ。
    (出典:電通「2018年日本の広告費」)

なお、イベントのみにしぼった、「広告業からみたイベント関連広告市場(2018年推定)」は3,148億円とのこと。