経営者の約7割が対策していない、メンタルヘルスケアを「会社頼み」にしないで

10月30日に発表された、あしたのチーム実施の調査結果によると、中小企業の従業員の4人に1人が「メンタル面が原因で退職した」仲間がいると認識していることが分かった。一方で経営者の7割以上が「メンタルヘルスケア対策はしていない」と回答。中小企業におけるメンタルヘルス問題に対する経営者と従業員の間には、大きな乖離がありそうだ。

経営者の約7割が対策していない、メンタルヘルスケアを「会社頼み」にしないで

メンタルヘルスケアも安全配慮義務に含まれるのだが…

あしたのチームが実施した、中小企業の経営者および従業員を対象とするメンタルヘルスケアに関するインターネット調査結果が、実に興味深い。

メンタルヘルスケアも労働契約法第5条に定められた「安全配慮義務」に含まれるが、中小企業の経営者の7割以上が「よく分かっていない」という実態が明らかになったのだ。

  • 労働契約法第5条

使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする

しかし、ここに定められた安全配慮義務について、その存在も内容も知っていると回答したのは、中小企業経営者のうち26%に過ぎない。

内容をよく知らないのだから、安全配慮義務対策としてメンタルヘルスケアを実施する経営者が少ないのは必然の結果といえよう。

健康診断や労働時間管理には意識が向く(といっても健康診断を実施しているのも6割ちょっとであり、これについても驚きなのだが)。けれども、従業員の精神的なケアをするための取り組みを実施している経営者は22%にとどまった。

引用:プレスリリース

メンタルヘルスケアに取り組んでいない理由については、「従業員の人数が少ないから」という回答が圧倒的に多い。あしたのチームは、「人数が少なく、普段から従業員の様子を見ているため、特に取り組みへの必要性に迫られていないという経営者の方が多いのでしょうか」と指摘する。

従業員のメンタル不調を「知らない」経営者

従業員の人数が少なければ管理の目は行き届く。そう考えるのは早合点だ。従業員がメンタル不調で退職したり休職してしまっても、経営者は知らない・気がついていない。同調査結果によると、そんな実態が浮き彫りとなったのだ。

「メンタル面の問題が原因で退職した」仲間がいる、と従業員の24%が感じているのに対して、経営者ではわずか8%だった。

「メンタル面の問題が原因で休みがちになった」仲間がいる、と従業員の16%が感じているのに対して、経営者では6%にとどまる。

「メンタル面の問題が原因で休職した」仲間がいる、と従業員の12%が認識しているのに対して、経営者ではなんと0%だ。

引用:プレスリリース

「経営者が把握していない、従業員のメンタル不調が存在する可能性がある」。あしたのチームではこう分析している。従業員のメンタル不調に、経営者は「鈍感」なのだ。

メンタルヘルスケアを「会社頼み」にしないで

会社でメンタルヘルスケアを実施することが重要だと思うと回答した従業員のうち約半分が、「それは会社の義務だ」と考えていることも、同調査では明らかになっている。しかし、それでいいのだろうか。

多くの中小企業経営者が、メンタルヘルスケアは使用者の法的義務であるという認識を持っていない。また、メンタルヘルスケアに取り組んでもいない。かつ、従業員のメンタル不調について、現状把握もできていないのが実情だ。

つまり、従業員が期待するほど、会社はメンタルヘルスケア対策に本腰を入れることはないと見られる。メンタルヘルスケアを「会社頼み」にするのは極めて危険なのだ。

長時間労働、職場での人間関係、働きがいの欠如、不毛だけれども逆らえない業務など、さまざまな問題が重なり合って、メンタルは不調をきたす。一度メンタル不調に陥ると、自力ではなかなか回復できないことも少なくない。また、「自分はメンタル不調だ」と自認すること自体に抵抗感を抱く人がまだまだ多いことも、メンタル問題の厄介なところだ。

けれども、自分を守れるのは自分だけなのだ。眠りが浅い、食事が美味しくないなど、ちょっとした体調の変化にまずは敏感になろう。少しでもいつもと違うな、と感じたら「あとちょっと」と頑張りすぎず「できない・しない」選択もしてみよう。長く健康に働き続けるために、いま必要なことは「赦し」の精神なのではないだろうか。