ノイズキャンセリングの仕組みと効果| なぜ騒音が消えるのか?

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記事の情報は2018-11-14時点のものです。

音楽視聴時に周囲のノイズや騒音をシャットアウトできるノイズキャンセリングに対応したイヤホンやヘッドホンが今、注目を集めています。これらの製品は、電車や飛行機の中などの騒音を打ち消し、よりクリアな音で音楽を楽しめるのが特徴です。本記事では、そんなノイズキャンセリングの基本情報や、その仕組み、メリットなどを解説していきます。
ノイズキャンセリングの仕組みと効果| なぜ騒音が消えるのか?

ノイズキャンセリングとは?

ノイズキャンセリングとは、ノイズや騒音の逆位相の音を発生させることで、雑音を打ち消す機能です。最近では、多くのメーカーが、イヤホンやヘッドホンにこの機能を搭載。これらの製品は、電車や飛行機など、場所を問わず音楽をクリアに楽しめることから人気を集めています。

本特集では、そんなノイズキャンセリングの仕組みや効果を解説するとともに、ノイズキャンセリングに対応した注目のイヤホン・ヘッドホンを紹介していきます。

音楽はそのまま、騒音だけをシャットアウト

イヤホンやヘッドホンで音楽を聴く際に、ノイズや騒音が気になることはないでしょうか? そんなときに重宝するのが、周囲のノイズや騒音を打ち消すことで、よりクリアな音楽再生を可能にするノイズキャンセリング機能を搭載したイヤホンやヘッドホンです。

最近では、ソニーやボーズなどから、ノイズキャンセリング対応のイヤホンやヘッドホンが発売されており、今後ますます注目度が高まっていくと予想されます。

ノイズキャンセリングの仕組み

それでは、ノイズキャンセリング機能の大まかな仕組みを解説していきましょう。

1 騒音がイヤホンやヘッドホンに音波として伝わる
2 騒音と逆位相の音波を作り出す
3 音波同士を合成して騒音を打ち消す

1.騒音がイヤホンに音波として伝わる

ノイズキャンセリング機能に対応したイヤホンやヘッドホンには、周囲のノイズや騒音を拾うためのマイクが搭載されています。このマイクで集音されたノイズや騒音は、イヤホン・ヘッドホンに搭載された専用の処理エンジン「DSP(デジタルシグナルプロセッサ)」に送られ、デジタル信号に変換されます。

2.騒音と逆位相の音波を作り出す

続いて、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)によってこの騒音を解析・抽出。さらに、この騒音の音波に対して、形がそのまま正反対(逆位相)の音波を発生させます。

3.音波同士を合成して騒音を打ち消す

この結果、2つの音波は打ち消しあって消滅するというのが、ノイズキャンセリングの仕組みです。プラス1とマイナス1を足すとゼロなるのをイメージするとわかりやすいでしょう。つまり、騒音の音波に対して、逆位相の音波を重ね合わせることで、騒音の音波を消してしまうということです。

ノイズキャンセリングのメリット

ノイズや騒音を打ち消すことで、クリアな音楽を楽しめるノイズキャンセリング対応のイヤホンやヘッドホンは、日常生活の利用でどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。

電車や飛行機で音楽に集中できる

飛行機や電車、地下鉄で移動中に、飛行音や走行音はもちろん、周囲の人の会話が気になるという人は多いはずです。こうした場合に、音楽がノイズや騒音に埋もれてしまうと、ついついボリュームを大きくしたくなるでしょう。

しかし、ボリュームを上げると、イヤホンからの音漏れが大きくなるため、周囲の迷惑になりかねません。

こうした場合に、周囲のノイズや騒音のみを打ち消せるノイズキャンセリング対応のイヤホンやヘッドホンを使うと、適度なボリュームでもクリアな音質で音楽に集中でき、周囲への影響も気にしなくて済みます。

カフェで作業に集中できる

外的要因にジャマされずに作業に集中したい場合などに、カフェを利用する人は多いのではないでしょうか。しかし、カフェの環境によっては、周囲の話し声や物音などのノイズ・騒音によって、逆に作業に集中できない場合があります。こうしたケースにも、ノイズキャンセリング対応のイヤホン・ヘッドホンは有用です。

音楽を再生しつつ周囲のノイズのみ打ち消す、という使い方ももちろん可能ですが、さらに作業に集中したい場合には、逆に音楽がジャマになってしまうことがあるかもしれません。

こうしたニーズに応えるべく、ノイズキャンセリング対応イヤホン・ヘッドホンの一部には、音楽を再生せずに周囲のノイズのみシャットアウトするモードが搭載されています。これを活用すれば、より作業に集中できる環境が作れるでしょう。

人気のノイキャン対応イヤホン・ヘッドホン

さまざまな状況に柔軟に対応できるノイズキャンセリング対応イヤホン・ヘッドホン、現在人気のある製品はどのようなものでしょうか。そのいくつかを紹介しましょう。

ソニー WH-1000XM3

新開発の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」を搭載することで、従来よりも強力なノイズキャンセリングを実現したソニーのワイヤレスヘッドホン。自動車や電車が発する低域ノイズだけでなく、人の声などの中高域ノイズもより強力に除去できるのが特徴です。

使う人の個人差を検出してノイズキャンセリングを最適化する「パーソナルNCオプティマイザー」や、周囲の必要な音だけを取り込む「アンビエントサウンドモード」も搭載されています。

ソニー WF-1000X

ノイズキャンセリングに対応したソニーの左右独立型ワイヤレスイヤホン。ノイズキャンセリング機能を搭載しながら、小型のパーツや新開発のドライバーユニットを採用することで、快適に装着できるサイズと軽さを実現しているのが特徴です。

「アンビエントサウンドモード」は、音楽を聴きながら周囲の音が聞き取れる「ノーマルモード」と、周囲の騒音を低減しつつアナウンスなど人の声を集音する「ボイスモード」の2つに対応します。

ボーズ QuietControl 30 wireless headphones

音量を調節する感覚で、ノイズキャンセリング効果のレベルを12段階で調節できる「可変ノイズキャンセリング」機能を搭載した、ボーズのワイヤレスイヤホン。環境に適したレベルに設定することで、周囲のアナウンス音や人が接近する物音の聞き漏らしを防止できるのが特徴です。

また、ネックバンド式を採用しているため、装着感も快適。最長10時間の連続再生が可能なので、通勤・通学時の使用程度であれば電池切れになることはほとんどないでしょう。

ノイキャンでより快適な音楽体験を

さまざまな場所で音楽を楽しみたい音楽好きにとって、周囲のノイズや騒音は大きな問題です。その点、ノイズキャンセリング機能に対応したイヤホンやヘッドホンを利用すれば、周囲の騒音を打ち消してくれるため、クリアな音で音楽を楽しめます。

特に、ノイズキャンセリング対応のイヤホンやヘッドホンは、電車や飛行機の中で大きな効果を発揮します。さらに作業に集中したい場合になどには、音楽を再生せず、ノイズキャンセリング機能のみを作動させることもできます(一部モデル)。これを機会に、ノイズキャンセリング対応のイヤホン・ヘッドホンで、より快適な音楽体験をしてみてはいかがでしょうか。