スマートフォンが「お茶の間」を消滅させる?日本のリアルな生活感を調査

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野村総合研究所(NRI)は11月6日、「生活者1万人アンケート調査」の結果を発表した。生活価値観や、コミュニケーション、消費実態などについてアンケート調査の結果をまとめたもので、情報端末利用の個人化が進んでいることで、家族が一緒に過ごす時間は減っているという結果が明らかになった。
スマートフォンが「お茶の間」を消滅させる?日本のリアルな生活感を調査

全国15~79歳の男女約1万人が対象、生活価値観などを調査

この調査は、1997年以降3年ごとに実施されており、今回で8回目となる。調査員が調査対象者宅へ調査依頼のために訪問し、後日調査回答を回収するという方法で、全国の満15~79歳の男女個人10,065人を対象に、次の項目について調査した。

●生活価値観 ●コミュニケーション ●居住 ●就労スタイル:就労状況、就労意識 ●消費価値観 ●消費実態 ●余暇・レジャー

その結果、情報端末利用の個人化が進み、家族が一緒に過ごす「お茶の間」がなくなってきていることがわかった。

自分の情報端末に向かって過ごす時間が増加

まず、スマートフォンの個人保有率を調べた。その結果、2012年の23%から2015年の52%、2018年には71%へと増加している。

出典:NRI「生活者1万人アンケート調査」(2015年、2018年)「情報端末の利用状況の推移(自分で自由に使えるもの、複数回答)」

また、平日のプライベートでのインターネット利用時間は、3年間で103分から119分へと増加。一方、テレビの視聴時間は若年層を中心に減少しており、全体では151分から145分へ減少した。

さらに、この3年で強まっている価値観について聞いたところ、夫婦や家族の間でも互いに干渉しない個人志向が強まってきていることがわかった。

出典:NRI「生活者1万人アンケート調査」(2015年、2018年)「2015年から2018年にかけての生活価値観の変化(変化幅±5ポイント以上の項目抜粋)」

その結果についてNRIでは、家族が時間・空間を共有する「お茶の間」が消失し、それぞれが自分の情報端末に向かって時間を過ごす、「背中合わせの家族」が増加する傾向にあると分析している。

景気は様子見の傾向も、先行きの安心感も見えない

次に、家庭の収入について調べたところ、「家庭の収入がよくなる」と考える人は、2015年調査と同水準の11%だった。一方、「悪くなる」と考える人は、40%を超えていた2009年、2012年から、2018年は24%まで減少し、収入の見通しはやや好転している。

今年から来年にかけての「家庭の収入」の見通しの推移

出典:NRI「生活者1万人アンケート調査」(1997年、2000年、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年、2018年

そして、今後1年の景気の見通しについては、2012年には「悪くなる」と考える人が40%いたが、2015年にその割合は22%、2018年には19%へと減少傾向にある。

一方で、「どちらともいえない」は2012年の54%から、2015年には66%、2018年には69%へと増加している。景気の見通しについて様子見の傾向が強まっているという。

今年から来年にかけての「景気の変化」に対する見方の推移

出典:NRI「生活者1万人アンケート調査」(1997年、2000年、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年、2018年)

このような結果について、NRIでは、生活者全体として、この3年で経済環境の悪化は感じていないものの、先行きに対する安心感は得られていない状況だと分析している。

インターネットショッピングは若年層を中心に増加

インターネットショッピング利用率や年間平均利用回数は、ここ数年で大きく伸びている。全体の利用率は、2015年の49%から2018年の58%へと、約10ポイント増加した。

インターネットショッピングを利用する人の割合の推移(年代別)
※過去1年間におけるインターネットショッピングの利用経験率

出典:NRI「生活者1万人アンケート調査」(2000年、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年、2018年)

また、利用者の年間平均利用回数も増加している。

また、消費の際の情報源としては、「テレビのコマーシャル」「ラジオ、新聞、雑誌の広告」などが2012年と比べて減少し、「ネット上の売れ筋情報」「評価サイトやブログ」といったネット情報の参照度も高くなっており、消費におけるインターネットの影響力の大きさがうかがえる結果となった。

出典:NRI「生活者1万人アンケート調査」(2012年、2015年、2018年)「商品やサービスを購入する際に利用する情報源の推移(複数回答)」

購入する際に安さよりも利便性を重視する傾向に

そして、NRIが設定した「利便性消費」、「プレミアム消費」、「安さ納得消費」、「徹底探索消費」という「4つの消費スタイル」のウェイト変化を見ると、購入する際に安さよりも利便性を重視する「利便性消費」の割合が、2015年、2018年ともに44%ともっとも高くなっている。

出典:NRI「生活者1万人アンケート調査」(2000年、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年、2018年)「4つの消費スタイル」分布の推移」

また、自分が気に入った付加価値には対価を払う「プレミアム消費」については、生活者全体では22%が続いたが、共働き世帯では21%から23%へと高まっているのが特徴的だった。

スマートフォンやタブレット、そして子供のモバイルゲームなどは、個人志向を強めているようだ。家族が一緒に過ごす時間が少なくなってきていることは、寂しいことである。

テクノロジーの進化は、もちろんわれわれの生活に多大な恩恵をもたらしている。しかし、人と人とのコミュニケーションとのバランスをもっと考えて活用すべきであろう。