自動運転車実用化はタクシー・配送から - ワーゲン、フォード、ダイムラーの取り組み

自動運転車が注目されており、毎日のように関連ニュースを目にする。実用化には法整備や倫理面の問題解決など、課題は多い。しかし、世界各地で自動運転タクシーや自動運転車の配車サービス、自動運転車を配送に使う計画が実現に向けて進行中だ。日本でも、トヨタとソフトバンクがMaaSなどに取り組む新会社を共同設立する。こうした動きが、課題を一気に解決していくかもしれない。

自動運転車実用化はタクシー・配送から - ワーゲン、フォード、ダイムラーの取り組み

自動運転サービスは実用化目前

今年に入ってから自動運転の話題が増え、最近では毎日のように報道で取り上げられる。つい先日も、国土交通省と経済産業省、産業技術総合研究所が公道で自動運転の実証実験を始める、というニュースが流れた。この実験は、2台の自動運転車を1人の担当者が遠隔監視・操作するという内容で、世界初の試みだそうだ。

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世界初といえば、日の丸交通とZMPが8月末から9月初めにかけ、都内で世界初という自動運転タクシーによる公道営業の実証実験をした。走行ルートの限定されたサービスではあるが、交通量や人の多い都心の道路をスムーズに自律走行するようすを見ると、明日にでも正式営業が始められるのではと感じる。

出典:ZMP / ZMPと日の丸交通 世界初、自動運転タクシーによるサービス実証

ほかにも、日本各地で実証実験は行われているが、これは日本に限ったことでない。世界中でさまざまな実験や試験的サービスが実施されたほか、自動車メーカーなどが自動運転車に関する販売や配車サービスの具体的計画を進める状況にある。

技術的には安定走行可能なレベルに

公道上の自動運転車を日常的な存在へ変えるには、事故発生時の責任の所在を明確化させるための法整備や、人命をどう扱うべきか考える倫理上のトロッコ問題など、解決しなければならない課題が山積みだ。ただし、技術面に限定すれば、自動運転はかなり安定した走行が可能なレベルに達している。雪道や視界が極端に悪いといった状況でなく、条件の良い限定的な環境で使用するのなら実用化も無理な話でない。

具体的な実運用サービスを示すことは、法律などの問題も議論しやすくなる。次々と発表される自動運転車を活用する計画は法整備を加速させ、意外と早く自動運転が当たり前になる可能性もある。そこで、実運用に近い試験サービスや、自動車メーカーの具体的計画などをみていこう。

実用化が近い世界各地の自動運転サービス

ラスベガスで運行された自動運転タクシー

すでに自動運転タクシーは、自動運転技術開発のアプティブと配車サービスのリフトにより、2018年1月に米国のラスベガスで試験的に運行された。家電見本市Consumer Electronics Show(CES)2018の開催中、400回以上の利用があったという。

両社はその後、台数はまだ少ないが自動運転車の配車依頼を受け付ける取り組みも始めた。念のためドライバーが同乗しているそうだが、自動運転車によるタクシーはもう未来のものでない。

出典:アプティブ / Aptiv and Lyft to Bring Self-Driving Rides to Las Vegas in January 2018

ダイムラーとボッシュも自動運転タクシー参入

自動運転タクシーは、自動車メーカーのダイムラーと自動車部品メーカーのロバート・ボッシュも、2019年後半に米国で試験サービスを始める計画だ。両社には、NVIDIAが技術協力をしている。

出典:ボッシュ / Bosch and Daimler: San José targeted to become pilot city for an automated on-demand ride-hailing service

出典:ダイムラー / Future mobility. Bosch and Daimler join forces to work on fully automated, driverless system

さらにボッシュは、走行環境を駐車場に限定し、運転手なしで駐車を済ませられる駐車場システムの開発にも取り組んでいる。自動運転車による無人バレーパーキングといった技術であり、ドライバーが駐車場の入り口で降りて駐車を指示すると、あとは自動車が無人で適切な場所へ移動して止まる。出庫も自動だ。不確定要素が公道より少ないので、実用化は比較的容易だろう。

出典:ボッシュ / Bosch and e.GO bring stress-free parking to Aachen

ワーゲンはイスラエルで商用配車サービス

フォルクスワーゲン(VW)は、自動運転向け画像処理技術を持つイスラエル企業のモービルアイと提携し、2019年より電気自動車(EV)を使った自動運転車の商用配車サービスへ乗り出す。VWはこのサービスをベータ版と位置付けており、世界展開も睨んでいる。

出典:VW / Volkswagen, Mobileye and Champion Motors to Invest in Israel and Deploy First Autonomous EV Ride-Hailing Service

フォードはスーパーの商品配達に

フォードモーターは、大手スーパーマーケットのウォルマートによる商品配達サービスへ自動運転車を提供する方向で準備を進めている。

フォードは自動運転技術の試験分野で中国バイドゥ(百度)と協力関係にある。そのバイドゥは自動運転車向け技術をオープンソースとして提供する「Project Apollo」を展開中だ。モービルアイとも提携していて、Apolloにモービルアイの技術を取り込んでいる。

出典:フォード / FORD, WALMART AND POSTMATES TEAM UP FOR SELF-DRIVING GOODS DELIVERY

GMはハンドルもペダルもない“完全な自動運転車”

ゼネラルモーターズ(GM)に至っては、なんとハンドルもペダルも備えない完全な自動運転車「Cruise AV」を2019年に発売するとしている。そして、同車の量産を行うため、総額1億ドル(約113億円)以上の投資をして工場改修する力の入れ具合だ。

米CNETの報道によると、GMに対してはソフトバンク・グループのソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が22億5,000万ドル(約2,550億円)を提供する。また、本田技研工業(ホンダ)も資金および技術の分野でGMに協力している。

出典:GM / Meet the Cruise AV: the First Production-Ready Car With No Steering Wheel or Pedals

トヨタとソフトバンクがMaaS分野で提携

自動運転車にかかわる話題は豊富で、とても書ききれない。ともかく世界では多くの自動運転サービスが実用化目前にあることは間違いない。GMの件でソフトバンクが出てきたので、大きなニュースになった話題を最後に紹介しよう。

ソフトバンクはトヨタ自動車と提携し、モビリティサービス(MaaS)など未来のモビリティ・サービスを手がける新会社「MONET Technologies(モネテクノロジーズ)」を設立するという。ソフトバンク・グループを率いる孫正義氏は決断力が武器であり、同氏が世界的な大手自動車メーカーであるトヨタと組む意味は大きい。亀の歩みで進んでいた日本の自動運転を取り巻く状況が、一足飛びに実用化されるのではないか、と期待が膨らむ。

来年の今ごろは、どこかで手軽に自動運転車が体験できるかもしれない。

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