パラレルワークという働き方のメリット・デメリット、副業・複業・兼業の違いも解説

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記事の情報は2018-11-22時点のものです。

一昔前は一つの会社で勤めあげるのが普通でしたが、最近は副業・複業・兼業などさまざまな働き方が増えてきています。そんな新しい働き方の総称「パラレルワーク」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この記事ではパラレルワークの意味やメリット・デメリットや注意点、また副業・複業・兼業の違いなど、詳しく解説していきます。
パラレルワークという働き方のメリット・デメリット、副業・複業・兼業の違いも解説

新たな働き方パラレルワーク

「パラレルワーク」とはどんな働き方のことを指すのでしょうか。パラレルとは平行という意味。パラレルワークとは同時並行でさまざまな仕事をすることを指します。

もともとは経営学やマネジメントで有名なピーター・ドラッガーが著書「明日を支配するもの」で提唱している生き方の一つであり、近年注目が集まっています。

従来ひとつの会社を勤めあげるのが普通でした。けれども、東京商工リサーチの調査データによると企業の平均寿命は23年。1社に定年まで勤め上げられる可能性は、さほど高くないのが実情です。

こうした背景を受けて、最近はパラレルワークをはじめとした新しい働き方が増えているのです。

 

副業と複業・兼業との違い

同時並行でさまざまな仕事をすると聞くと、「副業」や「複業」・「兼業」を思い浮かべる方は多いと思います。これらの働き方がどのように違うのでしょうか? 法律などの明確な定義はないのですが、実態としては以下のように使い分けられているようです。

副業はその名のとおり、本業があるうえでもつサブの仕事という意味になります。副業を持つことで本業の収入を補えるので、最近チャレンジする方も多いですよね。

一方で複業は、いくつかの業務に優先順位がない状態で取り組むことです。複数の仕事を並行して進めながら、インプットやスキルアップ、人脈形成などにおいて相乗効果を得られるような働き方を指します。

また兼業は、いくつかの仕事と兼ねるという意味になります。兼業農家といった表現が以前からあるように、全く違う職種を同時並行する際に「兼業」を使う場合が多いようです。

パラレルワークを実践する上で、どのような形態・目的で複数の仕事を掛け持ちするのか、スタンスを明確にするためにはこうした言葉の定義を意識しておくと役立つでしょう。

パラレルキャリアの現状

エン・ジャパンが行ったパラレルキャリアについての調査によると、パラレルキャリアを実践したいと解答したのは58%だったのに対し、パラレルキャリアを実践している方は26%に止まっています。多くの方がパラレルキャリアに興味を持っているものの、なかなか実践できていないことがわかります。

そもそもパラレルキャリアにチャレンジする動機はどのような点にあるのでしょうか。同調査によるとパラレルキャリアをする理由としては「知見・視野を広げたい」「人間関係の構築につなげたい」といった回答が目立ちました。

副業というとどうしても副次的な収入に目が向きがちですが、パラレルキャリアという概念に置き換えてみると、人脈形成やスキルアップに重きが置かれていることがわかります。

パラレルワーク選択の背景

そもそもなぜパラレルワークに注目が集まるようになったのでしょうか。主な理由としては以下のような意見があるようです。

  • ライフスタイルの多様化
  • 収入を増やしたい
  • 企業への不信感
  • チャレンジしたいことがある
  • ワークライフバランスを実現したい

パラレルワークを実践すれば収入は増えますし、やってみたかったことにトライすることもできます。複数の収入源があることで、リスク分散を図りたいという意見もあります。またパラレルワークを通して経験を積むことで、新しいキャリアに挑戦したいという考えもあるようです。

パラレルワークの主なパターン

パラレルワークには収入が増える、新しい経験が得られるなどさまざまなメリットがあります。そのためパラレルワークにチャレンジしたいという方は増えていますが、パラレルワークにはどのような働き方があるのでしょうか。

パラレルワークの主なパターン

パラレルワークの働き方のパターンとしては「正社員など会社勤めをしながら、他社の仕事も請け負う・NPO活動に参加する」「フリーランスとして働きながら、複数の仕事を掛け持ちする」「郊外に拠点を構え農業と会社勤めを両立する」などがあげられます。

またアーティストや漫画家、お笑い芸人などあこがれの職業を目指しながらパラレルワークを行うという事例も増えています。正社員として働きながら、好きなデザインや写真撮影を極めて副収入を得ている方もいらっしゃいます。

企業事例

中にはこうしたパラレルワークへの注目をうけて、新しい制度を発表する企業も増えています。

エンファクトリーでは、カスタマーサポートをしながら犬用の手作りグッズ販売を行う方、サービスディレクターをしつつ防災アドバイザーとして活躍する方など多様なジャンルで活躍する方が勤務しており、企業ページでも紹介しています。

またサイボウズでは副業として働く人を募集する「複業採用」を行っており、パラレルキャリアを実践する方を受け入れる社内風土であることを示しています。

パラレルワークのメリット

ここまでパラレルワークの内容について確認してきましたが、パラレルワークにはどんなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認していきましょう。

働き手のメリット

働き手のメリットは、なんといっても収入が増えることでしょう。パラレルワークでは収入面を気にしない方も多いのですが、メインの収入源をしっかり確保しつつ、収入の増加を期待できることもあるでしょう。

また本業以外に取り組む仕事を得ることで、人脈や経験、チャンスなどスキルアップが可能になります。本業のスキルと合わせることで、新しい仕事を得られる可能性もあります。

未経験や経験の浅い仕事にチャレンジできることで、転職せずして自分のキャリア志向を確認することができ、長期的な視点でキャリア戦略を描けるようになるでしょう。

企業のメリット

企業側のメリットとしては、社員の能力アップやモチベーション向上があげられます。パラレルワークを認めることで、社員が率先して社外でスキルアップしてきてくれるわけですから、本業でもさらなる活躍が期待できるわけです。

加えてパラレルワークを認めれば社員のモチベーションが向上するので、優秀な人材の流出を防げる可能性もあります。

ちなみに、マクロミルの調査データによると正社員の大多数、83%が副業を認めない企業には「魅力がない」と回答していることからも、副業禁止を続けていては企業ブランディングおよび人材獲得において出遅れる可能性もあるでしょう。

パラレルワークのデメリット・注意点

パラレルワークには上記のようなメリットがありますが、もちろんデメリットや注意点もあります。メリットと注意点の双方をしっかり確認したうえで、パラレルワークに取り組みたいですね。

働き手のデメリット・注意点

パラレルワークを行うということは、実質的な労働時間が増えるということになります。そのためパラレルワークを行う場合、それぞれの仕事への時間のかけ方や睡眠時間の確保など、タイムマネジメントをよりしっかり行う必要があります。

また複数の仕事を同時並行すると、どうしてもスケジュールを詰め込みがちになってしまいます。最初はモチベーションの高さで乗り切れてしまうかもしれませんが、慣れないことを複数行うとどうしても疲れがたまってきてしまいます。まずは自分に無理のないレベルではじめてみるようにしましょう。

また、複数の仕事を同時並行することで、情報の取り扱いには十分注意が必要になります。A社の事業機密をB社で喋ってしまう、競合関係にあたる複数社と取引をしてしまうなどの行為は、うっかりでも許されることではありません。

企業のデメリット・注意点

働き手の注意点があれば、もちろん企業側にもデメリットや注意点があります。複数の仕事を行うということは、本業とは別の仕事が順調になった場合、本業を退職して起業あるいは転職してしまうリスクもあります。

またパラレルワークという働き方を受け入れるために就業規則の改正、社会保険料や賃金の調整などの問題も発生してしまいます。

業務委託先にとって自社の業務がサブ的なものであった、という場合も注意が必要です。相手の意識にもよりますが、いつもオフィスにいるわけではないため業務遂行命令が煩雑になる・納期が守られない、などのハンドリングコストがかかることも加味しておくべきでしょう。

パラレルワークが働き方を変える

人生100年時代といわれる現代において、ひとつの会社に勤めあげる以外の多様な働き方がみられはじめています。定年が65歳から段階的に引き上げられて、働く期間が長くなるとの見方もあります。

こうした時代に対応するため、パラレルワークを通して自律的に働く、という姿勢が求められているのかもしれません。

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