上場企業の役員報酬水準は?ゴーン氏は19億円、コーポレートガバナンス強化が課題

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デロイトトーマツコンサルティングは11月20日、「役員報酬サーベイ(2018年度版)」を発表した。日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度の導入およびコーポレートガバナンスへの対応状況の実態を調査したものだ。日産ゴーン氏の逮捕を受け、西川社長は権力集中体制やコーポレートガバナンスの見直しを課題に挙げている。同調査でも多くの企業でコーポレートガバナンスの強化が求められる実態が浮き彫りとなった。
上場企業の役員報酬水準は?ゴーン氏は19億円、コーポレートガバナンス強化が課題

日産ゴーン氏逮捕で注目“巨額役員報酬”

日産自動車カルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反で逮捕された。5年間で計約99億9800万円の報酬だったところ、計約49億8700万円だったと虚偽申告、約50億円過小申告していた疑いが持たれている。

ゴーン氏は毎年役員報酬ランキングの上位に名を連ねていた。日本企業は実際に、役員報酬をいくらくらい支払っているのだろうか。デロイトトーマツコンサルティングが毎年実施している「役員報酬サーベイ」の2018年版から見てみよう。

役員報酬は前年より微増

同調査は2002年以降実施しているもので、今年度は2018年7~9月にかけて三井住友信託銀行と共同で実施した。東証一部上場企業を中心に659社から回答を得ている。

まず役員報酬の金額をみると、東証一部上場企業における報酬総額水準は中央値で、社長が5,552万円(前年比+2.2%)、取締役が2,160万円(同+4.3%)、社外取締役が756万円(同+5.0%)だった。

出典:プレスリリース

売上高1兆円以上の企業41社にしぼると、社長報酬の中央値は9,855万円(前年比+5.0%)。東証一部上場企業の中央値と比較すると1.77倍だった。なおこのカテゴリでは、会長報酬よりも社長報酬の方が中央値はやや高い。

出典:プレスリリース

社長を「評価」する指標は?

近年、業績や成果に基づく多様な短期インセンティブ報酬、長期インセンティブ報酬(株式関連報酬)を採用する企業が増えている。短期インセンティブ報酬の採用企業は70%(462 社)、長期インセンティブ報酬の採用企業は45%(296社)だった。

一般社員だけでなく役員も「評価」およびインセンティブ報酬支給の対象とする企業もある。このうち社長のインセンティブ報酬に関し、短期インセンティブ報酬に関連付けられる経営指標は「営業利益」(49%)、「売上高」(43%)、「当期利益」(42%)、「経常利益」(31%)と、規模や収益性の指標が多く用いられている。

出典:プレスリリース

一方長期インセンティブ報酬に関連付けられる経営指標は「売上高」(33%)、「当期利益」(31%)、「営業利益」(26%)、「経常利益」(22%)と、売上高および利益が多く用いられていた。加えて「ROE」(22%)といった利益関連指標や、「株価・時価総額」(15%)も一定程度採用されているようだ。

出典:プレスリリース

なお、明文化された役員評価制度を有する企業は659社中20%だった。また、明確な評価制度は存在しないものの何らかの評価基準が存在する企業は32%で、計52%の企業で役員の評価施策が実施されている。

コーポレートガバナンス強化が課題

金融庁と東京証券取引所が取りまとめた上場企業向けの企業統治指針「コーポレートガバナンス・コード」が2018年6月に改定され、客観性・透明性のある手続きによる報酬制度の設計、報酬額の決定などがより強く求められている。

コーポレートガバナンスに関する設問では、指名委員会等設置会社をのぞく647社のうち、任意の報酬委員会を設置している企業の割合は40%(260社)、任意の指名委員会を設置している企業の割合は34%(219社)だった。また任意の報酬委員会・指名委員会の年間開催回数はともに1〜2回の企業が半数以上を占めており、形式的な議論にとどまっている可能性があると同社は指摘している。

役員指名基準については、整備している企業が27%だったものの、社長・CEOの選任基準を整備している企業は50社で、全体の8%(前年比+3ポイント)にとどまった。改訂版コーポレートガバナンス・コードに示される「客観性・透明性」が実施されているとは言い難い状況のようだ。

ゴーン氏の逮捕を受け、19日夜に日産の西川広人社長は緊急記者会見を開いた。有価証券報告書の虚偽記載、資金の私的流用といった不正行為を公表するとともに、コーポレートガバナンスの見直しと強化を急ぐ旨を述べている。